【ネタバレ配慮】アニメレビュー『SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!』(感想・評価)

【ネタバレ配慮】アニメレビュー『SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!』(感想・評価)

アニメ『SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!』をネタバレなし評価(未視聴の方向け)とネタバレあり感想(視聴済みの方向け)でレビューしていきます。

※ネタバレありの感想は、ページ下部に掲載。

 

評価(5段階・要素別)

カテゴリ:青春

総評価:★★★★☆(82点)


シナリオ:★★★★☆

キャラクター:★★★★★

演出:★★★★☆
音楽:★★★★★ 映像:★★★★☆ アイデア:★★★★☆)

※評価の理由は、ページ下部に記載しています。

 

『SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!』レビュー「素朴で尊い、ガールズバンドの賑やかな毎日」

”尊い”はここにあった。

楽しさと友情がつまった明るい音楽アニメです!

 

今回紹介するのは『SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!』。

 

「サンリオ」が提供する、バンドを中心としたキャラクタープロジェクト『SHOW BY ROCK!!』。
本作はその一環として作られたTVアニメです。

 

『SHOW BY ROCK!!』のアニメシリーズは、過去にも作られており、2015~2016年にTVアニメが放送されていました。

 

『ましゅまいれっしゅ!!』は世界観こそ前作アニメシリーズと共通ですが、主人公などのメインキャラが変更となっています。

そのため、前作に触れていない方でも入りやすい作品だと感じました(前作のファンサービス的要素は有り)。

 

▼前作『SHOW BY ROCK!!』。戦いありギャグありの、「何でもあり」な作風が印象的

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (1)

 

群雄割拠の2020年冬アニメ。
その中でも、個人的にかなり気に入った今作。

作画破綻や省力化が目につかない、全体的に丁寧な仕上げである点は見逃せません。

しかし、特にすばらしいのは演出面

その特徴は次の2点にあるように思います。

①キャラクターの描写がとにかく”尊い”

②音を使った演出の巧みさ

 

①:尊さについて。

今作では、キャラ同士の友情が清涼感のあるわずかな百合っぽさと共に描かれていて、見ごたえがありました。
更に、その演出がとても工夫されている点が印象的です。

 

②:音の演出について。

私が注目したのは「歌」・「声優さんの演技」・「BGMと効果音」です。

このどれもに光るところが多い。
バンドを中心としたアニメだからこそ、丁寧に工夫された”音”を使った演出に引き込まれました。

 

今回はそんな2点の特徴にも触れつつ、『SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!』を紹介します!

 

◎キャラ・シナリオ:キャラが繋がりあうことによる成長の物語

まずは、キャラクターとシナリオから入っていきます。

 

本作のあらすじは次のような感じ。

北国の小さな村で生まれ育った、白っぽいきつね族の女の子『ほわん』。

オーディションをきっかけに憧れの都会、「Under North Zawa」へ旅立つ事に。

縞々猫族のマシマヒメコ、デビルミント鬼龍族のデルミン、狼娘族のルフユ達と出会い、バンドを組む事になる。のか?

きらきらがいっぱいのRockな音楽物語が、いま始まろうとしている。
よーし、やるぞ♪

 

つまりは、キャラの濃い4人による新進気鋭なガールズバンドの明るい成長物語です。

 

▼メインキャラ4人。外見も個性的ですが、内面もかなり個性的です

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (79)

 

メインキャラ4人の中で、特に私が気に入ってるのはふたり

 

1人は、主人公の「ほわん」

まったりしていて心優しい。料理上手で掃除上手。

”癒やしの擬人化”とでも言えそうな雰囲気がとても心地よいです。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (7)

 

もう1人は、「デルミン」。

バンドでは、ベースを担当しています。

冷静な喋り口ですが、感情表現は豊か。
鋭いツッコミも緩いボケもいける万能性。

キャラの会話を巧みにまとめ上げる存在感は、まさにベースといった感じでした。

 

▼貧乏で内職の毎日。応援したくなる可愛さがあります

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (80)

 

さて、続いてはシナリオです。

アニメのシナリオには大きく2つの軸があるように思います。

一つは、目的に向かって進んでいく”縦軸”。

一つは、キャラ同士の関係性を描いていく”横軸”

 

今作は、この横軸が丁寧に描かれている印象です。

キャラ同士が繋がりあうことにより、バンドとして成長していく。
そんな描写が、今作におけるシナリオの見どころでしょう。

濃いキャラ達が内に秘めたいろいろな悩み。
それぞれの悩みが繋がりあうことにより、彼女たちに変化が訪れます。

 

構成面も良く出来ていました。

1~6話までが1セットという構成だったように思います。
1~5話までに各エピソードを散りばめ、6話でそれらを用いて説得力のあるハイライトを迎える。

シナリオの主役である「ほわん」と「ヒメコ」の関係性の描写に納得感のある良シナリオでした。

ぜひ、1~6話までを一気に見通してほしいところです。

 

▼ほわんが、ヒメコと音楽に寄せる”憧れ”。その行方は…

ほわんとヒメコ

 

と、このように書いていくと雰囲気の固い作品のように思われるかも知れません。
が、そんなことは全くありません。

作風は非常に明るいです
たくさん散りばめられたギャグがとても楽しい!

シリアスの中にも、ちょうどよく入るユルい描写。

雰囲気が重くなりすぎないように気を使っているのがわかります。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (76)

後述する声優さんの楽しげな演技も相まって、楽しく見れる作品でした。

最近の作品で言えば作風は『Re:ステージ!ドリームデイズ♪』が近いように思います。

 

▼『リステ』の感想記事も作成しているので、あわせてご覧ください。

【ネタバレ配慮】アニメレビュー『Re:ステージ!ドリームデイズ♪』(感想・評価)

◎キャラ:”尊い”はここにあった

今作のキャラ描写で特筆すべきは”尊さ”でしょう。

”尊い”をあえて言い換えるなら、
「清涼感のある、わずかな百合っぽさを残した友情」
といったところでしょうか。

 

作中、メインキャラは大きく2つのカップリングがされています。

①ほわん・ヒメコ

②デルミン・ルフユ

この両者ともが、いいコンビをしています!

 

癒やし系なほわんと、クーデレ気質なヒメコ。
ヒメコのデレを巧みに引き出していくほわんの攻略王っぷりが見ていてニヤニヤしてしまいました。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (84)

 

一方で、ルフユとデルミンも良いコンビ!
ノリの良いルフユと、手痛いツッコミを入れながらも結局はノッていくデルミンも可愛らしい。

 

ただし、こういったコンビ感も1話から成立しているわけではありません。
しっかりと、作中のエピソードによって彼女たちが仲良くなる過程が描かれている。

だからこそ、彼女たちの友情が自然に尊いと思えました

 

そんな、”仲良くなる過程”を魅力的にしているのが、後述する演出です。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (82)

 

◎演出:イキイキとしたキャスト陣の演技

ここからは”音”に着目した、演出の紹介に移ります。

 

この作品のキャラの会話には、不思議な魅力があります。

会話を聞いていて、キャラが本当に楽しそうだなぁと感じるんです。
それにつられて、聞いているこちらまで楽しくなってくる。

その源泉は、やはり声優さんの演技にあると思います。

 

クセのある演じ方が、躊躇なく作品に取り込まれているように感じました。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (39)

どのキャラも、他の作品で見かけないような独特な演技がされていて、新鮮です。

ほわんの口癖「ほわっ」のバリエーション豊かな演じ方。

ルフユが見せる中二っぽいセリフでの、キャラ崩壊一歩手前なリアルな声色。

デルミンのテンポは一定だが、高低をつけることにより感情がこめられた声色

ヒメコの10代女子っぽい、良い意味で不安定感を表現した演技。

こういった演技が音響監督さん起点なのか、声優さん起点なのかはわかりませんが、チャレンジが認められるアフレコ環境なのかなぁと想像します。

 

新鮮でイキイキと伸びやかな会話劇、必聴です。

 

◎演出:音がシナリオにハマった演出の数々

キャストさんの声以外にも、アニメには”音”があります。

「歌」・「BGM」のクオリティの高さ、そして、それらがシナリオと演出にハマっている点が見逃せません。

 

まず、歌。

文句なしにOP・EDが素晴らしい。
ガールズバンドらしい、素朴で活力のある楽曲です。

OPは、物語を見ていくほどに味わい深くなる歌詞が特徴的でした。考察が捗ります(ネタバレ有り感想で軽く触れてます)。

EDは、真っ直ぐストレートな明るい雰囲気が楽しげ。作風にあった良い楽曲だと思います。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (81)

 

それだけではなく、挿入歌もたくさん使われる
だいたい、1話1曲ペースで新曲が投入されます。

そのどれもがクオリティが高い!
シーンのインパクトを一気に上げていて、満足感がありました。

気に入ってるのは第1話と第4話の使われ方。

ネタバレにならないように言うなら、1話では「始まり!」と言う感じで4話では「青春の迷路!」という感じでシナリオにハマっていました。

 

BGMと効果音もいい仕事をしています。

効果音は、デルミンのツッコミに添えられるベースの音が印象的。
キャラの個性が効果音から引き立てられます。

BGMは、なんといっても第6話の使われ方でしょう。
インパクトのあるキャラの言動に、説得力をもたせていました。

キャラの感情に視聴者を引き込む名アシストの役割を果たしています。

 

□キャラ・演出:作品にハマるかどうかが未知数な要素たち

現在、7話までを見て本記事を書いていますが、作品にハマってくるかどうかが未知数な要素があります。

 

一つは、男性バンドユニット「どこゆび」の面々
キャラ自体は楽しくて好きなのですが、全体のシナリオ構成ではやや浮いていて独立している。

同じく登場するユニット「レイジン」は、「ましゅまいれっしゅ」の先輩バンドというポジションを確立してます。

「ましゅまいれっしゅ」と「どこゆび」の面々を上手く絡ませることが出来れば充実感が上がると思いました。
とはいえ、絡ませ方を間違えると尊さがうすれる。難問です。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (85)

もう一つは、「ミューモン」による演出。

ここは人によると思うので触れにくいのですが、あえて。

 

本作のライブパートは、時折、ミューモン形態(半獣姿のSD体型)による3Dによって描かれます

普段は良いんです。
演奏をデフォルメしながら楽しげに見せられる、良い演出だと思います。

しかし、これが勝負回で使われた時、作品にのめり込めるかと言うと…。

勝負回で超ハイクオリティのミューモン演出が決まるのか、普通の姿で演奏するのか。
ここは、未知数な所だと思います。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (86)

総評価と感想

”尊い”という切り口で見ていくと、極めて出来の良い作品だと思います。

記事で触れたキャラの良さや、音を使った演出の数々により高クオリティな尊さが実感できる。

記事では触れていませんが、作画も安定しており、動作やキャラの表情にも見どころがたくさんあります

 

一方で、2016年から期間をあけたシリーズモノであるということ。
男女両取りを狙った要素の投入や、アプリへの動線が見え隠れしているということ。

そういったシリーズとしての制約が、初見では入りにくさを醸し出してしまっているようにも思います。

 

実際は、初見でも全く問題ない作品です。

そして、作品のハイライトである第6話は一見の価値がある素晴らしい出来

きらら系の日常モノや、『リステ』や『アイカツ』などの朝アニメ系が好きな方は、見ないのがもったいないと断言できる作品だと思いました。

今後の展開に期待します。

 

参考:要素別評価の理由

カテゴリ:青春

総評価:★★★★☆(82点・暫定)


シナリオ:★★★★☆

横軸を上手く広げた1作。シナリオ構成が機能しているのがポイント高め。

一方、縦軸には意外性や展開の濃さは乏しくやや大人しい。


キャラクター:★★★★★

声優陣の演技とキャラの濃さが噛み合った会話劇が魅力。

キャラ同士のカップリングに説得力がある。キャラ属性の配置とエピソードの濃さが勝因。


演出:★★★★☆
(音楽:★★★★★ 映像:★★★★☆ アイデア:★★★★☆)

歌がハイクオリティなのが何よりポイント高い。
勝負回で、音がシーンを盛り上げているのもこの作品らしい。

映像面もクオリティが高い。

派手な動きや撮影効果は控えめなものの、線の多いキャラを安定して描けている。

構図やシーンのつながりの工夫により、処理出来るカロリーで良い表現をするTVアニメのお手本と言えるようなアイデアが光る。

過去に用いた描写で展開の説得力を増やすアイデアも素晴らしい。

 

ネタバレありで語りたい(ネタバレあり感想)

ここからは、徒然にネタバレありで感想を書き連ねます。

未視聴の方は、バックをお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では内容に入っていきます。

 

第6話「ヒロメネス」感想

ほわんとヒメコの関係性が深まる、前半戦のハイライトな回。

神回でした!

 

前半は、かみ合わないほわんとヒメコに可愛さを添えて描いていました。

バンドを組むために奔走するほわん達。

マグロの漬け丼にカラオケ。
可愛らしい努力にニヤニヤしてしまいました。

特に、ヒメコの好みである”クリクリ”の楽曲をカラオケで歌うほわん
いやいや、ちょっと可愛すぎでは!

 

ただ、これが表面的なヒメコの好みしか知らないということに繋がってくるのが、この作品のニクイところですね。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (48)

 

中盤は、本格的にすれ違うほわんとヒメコ。

ヒメコの好きな海への旅行を誘うほわんに対し、辛辣な言葉。

「山の方が好きって言ってるじゃん!」

山ガチ勢、こわい。

 

冗談はさておき、ここからの夏吉さんの演技に引き込まれました

後にヒメコ自身の口から語られる彼女の人物像。

良い意味で、彼女を表現した”不安定な演技”をされていたと思います。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (54)

 

終盤は1~6話のすべてがつまった、ほわんとヒメコが分かりあうエピソード。
掛け値なしに最高でした!!

 

「うち、ヒメコちゃんのことなんにも知らない」

”仲が良い”はずの二人は、深い所ではお互いを何も知らなかった。
それを痛感するほわん。

分かり合うために、ほわんはヒメコに歩み寄ります。

「黙ってちゃ…うち、わからない。ヒメコちゃんのことがわからないよ!」

ここのシリアスな遠野さんの演技もぐっと来る!
別れる寸前なカップル感がうまく出ていてヒリヒリしました。

 

そして、ここからの切り返しが凄い。

「わからないのはこっちの方だよ。急にバイトに行ったり、帰ってきたと思ったらバンドやろうと言い出したり…勝手すぎ」

まさに正論。
ほわん寄りだった心情が、一気にヒメコに傾く。

お互いが悪くないのにすれ違ってしまう。
それを表現する、将棋であれば妙手と讃えられる巧みな一手でしょう。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (61)

 

続いて、マスターからうっすらと明かされるヒメコの過去。

ルフユ達とマスターの会話にコミカルさを挟む。
これにより、シリアスすぎないように雰囲気をコントロールしているのが上手い。

もう一つ凄いと思った点がここの描写にあるのですが、そちらは後に回し、話を進めます。

 

▼ここのルフユの表情が凄く好き

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (59)

 

ヒメコから語られる心情。

「他人が怖いくせに、寂しがりで、自分勝手ですぐに拗ねて…こうなるしかないじゃん!私だってなりたくてなったわけじゃないのに」

他人を遠ざけようとしてたのに、どんどん踏み込んでくるほわん。
ヒメコのほわんに寄せる、好意と戸惑いがぶつけられる。

 

対するほわんの反応は…海に叫ぶ。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (62)

 

突飛に見えるこの行動。
しかし、それに引き込まれてしまうのは手ブレとドラムの音による演出

そして遠野さんの感情がこもったシャウトのおかげでしょう。
ここからの力強い演技が本当に良かった!

 

「ヒメコちゃんはいっつもうちのことを考えてくれたのに…」

泣かせるギターとあわせて描かれる、回想の思い出ボム

このための1~5話だったんだ、と納得するカット!
ほわんの感情に共感しかありません。

「うち、ヒメコちゃんが大好き、ずっと一緒にいたい!」

堂々と力強く言い切るほわんは完全に主人公!

よく言った!最高にシビレました!

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (63)

 

そして、こっからのヒメコが最高に乙女

「イヤだ、ほわんにまで裏切られたら私…」

弱々しい演技が、上手いなぁと思います。

 

そんなヒメコにかけられる一言。

「うちはずっと一緒にいたいの」「なんで…?」
「決まってるよ。ヒメコちゃん、だから」

やられた…!となる聖母の如き微笑み
ヒメコ視点となる構図にしているのもニクイ。

 

ここからの泣きの演技といい、抱き返す時の手の動きといい、完璧でしたね!

 

1話の視点と構図が逆になっているのも最高にエモい。お互いを支え合う関係です

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (66)

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (88)

 

ただ、ここで終わらないのが神回たる所以でしょう。

「海を見ながら食べると最高なんだ」

ポテトが好き。
そこにとどまらず、ヒメコが自分の価値観を伝えていく。

これまでとは距離感が確実に変わったことを、前半との対比で表す良い描写。

声の演技も、打って変わって甘々な感じになっているのがたまらない。

 

そして、ラストカット。

「みんな仲良し、ともだち」

歌も手も、探り探りなヒメコと、それをリードするほわん。

ただ一言。

尊い。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (74)

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (75)

 

最終シーンはついに「ましゅまいれっしゅ」の誕生。

軽やかなギターのフェードインと共に描かれるバンド名。

綺麗に物語がまとまったラストカットでした!

 

▼EDも一部変更。ましゅましゅ本格始動といったところ

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (78)

 

さて、マスターあたりの描写で後述としていた、このエピソードのポイント。

それは、キャラの過去よりも現在を描いたことにあると思います。

 

普通のシナリオなら、1話は使いそうなヒメコの過去。それを「色々あったみたい」で済ませてしまう

普通なら成立しないシナリオ。過去を知らなければ感情移入が出来ないからです。

それを成立させたのは現在の描写。

 

デルミンの「(過去に)触れなきゃいけない時もある」というセリフが見る人を引き込む。

ほわんとヒメコが過ごしてきたエピソードが、2人のセリフに説得力を醸し出す。

本来なら描かなきゃいけない過去を、現在を描くことで省略したシナリオ構成は素晴らしいものがありました。

 

後半のシナリオにも期待です。

 

第10話「プラットホーム」感想

第10話は定番の曲作りエピソード。。
ましゅましゅの尊さが弾ける、可愛さのつまった回でした!

 

前半は、ヒメコの産みの苦しみを助けようとするましゅましゅの面々が描かれます。

相変わらずの空回りっぷり。
しかし、6話とは違って仲の良さが伝わる雰囲気が良かったです。

それにしてもルフユの幅広さはすごい!
まさか、ピラミッドパワーという単語がこの作品で出てくるとは思いませんでした。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (6)

 

中盤は、白いメン・イン・ブラックによるヒメコ拉致と言う事件が勃発!

更には、突然家族に紹介すると告白される事件まで…。

ちょっと穏やかじゃない。
貴重なほわんの照れた感じの表情が可愛すぎました。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (28)

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (29)

 

密度の濃い中盤を越えると、1話ぶりのえいやっと村へ到着。

1話でも思ったんですがこの村の雰囲気は最高ですね。
理想の田舎といった雰囲気。

そこにましゅましゅのメンバーが揃えばもう最強です。

後半は、ずっと非常に心地よい空気が流れていました!

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (35)

 

まずは、キャラの濃いほわんの家族とましゅましゅの遭遇です。

やっぱり、ルフユとばっちゃの相性が良いのに笑いました。
デルミンの「強い」という感想も独特で面白い!

そして、納屋というスダジオを通じて繋がれる『ぶちかまし』の精神
時代を超えていく心意気、短いですが熱い描写です!

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (44)

 

続いては待望の温泉回!

「温泉沸いてもフレーズは沸いてこないね」
ヒメコの若干年寄りな香りのするつぶやきから、

「温泉が沸いてくることとフレーズが沸いてくることをかけてて、お見事です」
というデルミンのボケ殺しな天然解説が入る。

やっぱりこのメンバーの会話は一筋縄でいかなくて楽しい

フレーズが湧くまで温まるという謎の空気を、当然のように作り出すデルミン。
さすがのベース力でした!

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (50)

 

そこからは、ほわんの部屋で行われる曲作り。

ルフユの無茶振りに応えたデルミンの小噺。

なんとなく、デルミンと家族の関係性を掘り下げる内容のような気がします。
いつか回収される伏線になるんでしょうか。

それはともかくとして、デルミンのメガネ姿可愛すぎでは!
メガネのつくるON状態とのギャップが新鮮です。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (58)

 

曲作り中の空気感も凄く良かったです。

木のぬくもりに溶け込む橙の光が、暖かい雰囲気を作り出している。

悩んでいても、その時間自体がきっと楽しくて大事なんだろうと思える空間が広がっていました。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (67)

 

そして、待ちに待ったヒメコとほわん回が始まる…!

寝付けないヒメコを天体観測に誘うほわん。
「見に行く?ほし!」

これだけでもう尊いんですが!

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (74)

 

そして描かれたのは、甘々な二人の会話。

オルゴールとオーロラが彩る二人の世界が幻想的で眩い!

 

そんな舞台でほわんの語る、自身の真っ直ぐな想いが刺さります。
「でも、ミディシティへ行って本当に良かった!ヒメコちゃんに、皆に出会えたから」

ヒメコも普段よりもずっと素直に応える。

「ほわんに出会って、あたしちょっと変われたかも。…だって、ほわんがあたしたちを結んでくれたんだから」

OPのヒロメネスで歌われている内容を切り取ったような会話が味わい深いです。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (85)

 

ラストシーン。

「うち、いま最高に楽しいってきもちをずっと覚えてたい。ヒメコちゃんも忘れないでね?」
「忘れないよ」
「…じゃあ、約束しよ?」

くぁぁっ…と謎のため息が出る尊さでした!!

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (100)

それに、尊いだけの描写ではありません。
この会話は8話で描かれた対立軸に触れる内容です。

楽しい過去を捨てて今を掴み取ったレイジンと、楽しい今を愛するましゅましゅ

それを補強するエピソードとなっていました。
この軸は残り2話でどこに向かうのか…期待しかありません!

 

最後に描かれたのは、1話を思い出させるましゅましゅの旅立ちです。

お父さんの旗振り本当にカッコいいんですよね…!

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (113)

 

すべてを出し切って眠るヒメコと、それを優しく見守るメンバーたち。
暖かな雰囲気で描かれる、ましゅましゅ全員の「まっしろスタートライン」で綺麗にしまった回でした!

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (117)

 

【印象的なカット・演出など】

▼FXで金を溶かしたようなカット。悩みは伝染します

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (2) SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (9) SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (10)

 

▼デルミンの苦学生な感じの質素なOFFモード、似合います

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (68)

 

▼ピックアップシーン(後半:ヒメコとほわんの夜会話)

皆が寝静まった中、こっそり話すほわんとヒメコ。
丁寧に表情の変化を描くことで、夜独特のわくわく感を切り取っています

 

①起きるほわん~星を見上げる。ヒメコの気遣う表情が印象的

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (71) SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (72) SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (73) SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (74)

 

②ヒメコに星を見に行こうと誘うほわん。イタズラをしに行くような表情がドキッとします。
ラストカットの歯を見せる笑顔は攻めたカットですが、最高にハマっていると思いました
SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (76) SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (77) SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (78) SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (75)

 

▼EDでまさかのサプライズ。ほわんとヒメコは鉄板です

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 10話 感想 (116)

 

第12話「Mashumairesh!!」感想

遂に終わってしまいました…。
久しぶりに、最終回後のロスを感じる作品と出会えて辛く、嬉しい最終回でした。

 

さて、第12話は、ましゅましゅのフェス参加を描いた回。

期待高まる最終回だったのですが、個人的な感想は…
「ちょっと惜しい!」という所でした。

では、今回は良かった点と気になった点を順に書く形式で、感想を書き連ねます。

 

まず、良かった点から。

1つ目は、中盤のピンチからの脱出のアイデアです。

デルミンのビームから、割と出番の多かった警察さんが良い所を見せる。
…まさか、あの警察さんが活躍するとは!

因果応報が効いていて、楽しげなシーンでした。
ほわんの切羽詰まった表情も良い味を出していたと思います。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 12話 感想 (4)

 

2つ目も、中盤から。
ステージ直前の、今までを振り返るシーン。

メンバーそれぞれの正直な心情が凄く可愛い
特に、ポエマーヒメコの真っ赤になる描写は最カワでした!

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 12話 感想 (5)

 

直後の掛け声のシーンも好きです。

若干恥ずかしい感じの掛け声を勢いと演技で、ワクワクするシーンに仕上げています。

特に、手がぶつかりあうカットの声の演技は本当に楽しげで、良かったです!

 

最後に、新曲「プラットホーム」。

これも良曲でした!
ましゅましゅの曲はハズレがないですね…。

楽しさと切なさのつまった曲で、一瞬の輝きみたいな雰囲気が出ていたと思います。
(余談ですが、曲調と内容的に『俺ガイル』の二期OP「春擬き」に似ているように感じました。)

ましゅましゅから視聴者へのメッセージソングとして聞くと、かなり心に来るものでした。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 12話 感想 (6)

 

さて、一方で気になった点に入ります。

まずは、「どこ指」の面々の扱いです。

かなりの尺を使って描いた割に、フェスでの活躍が薄い
もう少し本筋に絡む活躍が欲しかった所です。

 

2点目に、最終話の構成です。

今までの話から外れたような、フェスにたどり着くまでのトラブルに大きな時間を割いている
ちょっと必然性がなく、構成的という印象を受けませんでした。

 

3点目に、こちらも話の構成ですが、オチの部分です。
率直に言って、話がオチていないという気がします。

「高みを目指すこと」と「楽しむこと」、その二元論は平行線で話が終わっている。

ヒメコのセリフ。
「バンドって、なんかヤバいね!」

このセリフから、「それぞれの道を進むのが大事」というような話の方向性は見えます。
ただ、オチとしては、はぐらかした感じで、少し弱いかなと。

二元論が昇華されるような何かに、最終話は使ってほしかったという感想です。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 12話 感想 (7)

 

最後に、プラットホームの使い方

別れをテーマにした楽曲だと思うのですが…別れてないんです

これが、ほわんがましゅましゅから離れなきゃいけない、みたいな必然性があると、かなりエグラれる。
ただ、話の流れ的にはちょっとなんでこの歌詞なんだろう?という雰囲気になってしまいます。

全体の話の構成的にも、ましゅましゅがそのまま存続するというのは、少しオチてないかなぁと思ってしまいました。

 

▼一方、このカットでルフユを笑顔にさせたのはフォローが効いていて凄く好きです!

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 12話 感想 (1)

 

あと、これは作品外の話題ですが、今後のシリーズの展開について

まさかの次回作はキャラ総出演モノ。
単発的なキャラの組み合わせは面白いネタができそうですが、構成という面からはちょっと物足りなくなりそうです。

ましゅましゅの掘り下げが見たかった自分としては、すこし残念かもしれません。

 

さて、総括ですが、1~6話までは完璧な構成だったと思います。
一方で、後半は光るところはあったものの、方向性がやや行方不明になったという印象を受けます。

しかし、ほわんとヒメコ、ルフユとデルミンの可愛さは素晴らしすぎる。
その1点は、全編通りてゆるぎませんでした。

出てくるキャラクター皆に愛着が湧く。
総じて、とても満足感のある作品でした。

ありがとうございました!

 

考察:「ヒロメネス」の意味

OPと第6話のタイトル「ヒロメネス」

部分的に訳すとすれば「ヒーローの在り方」、でしょうか。

造語のようなので、ヒロメネスの意味と解釈を考察してみました。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!! 感想・評価 (55)

 

まずポイントとなる点。それは、「ヒロメネス」の作詞は、ほわんが担当しているということ。

なので、タイトルの解釈には彼女の心情に沿う必要があります。

また、ヒロメネスの歌詞にも着目する必要がありそうです。

 

ヒロメネスの歌詞は、全体を見ていくと次のような解釈のように思います。

 

1番Bメロラスト「君が眩しいくらいに僕を照らすの」

⇒ヒメコに照らされたほわん。

 

2番Bメロラスト「君が追いかけるようなヒーローになれるの?」

⇒そんなヒメコのようになりたいと目指すほわん。

 

「夢で見て知るあの日の陽炎」「色褪せる君に手を振り歌う」

⇒ヒメコと出会った後のほわんから、出会う前のほわんへのメッセージ。

 

「左手に傘 右手には花を」

⇒ここは象徴性が強いのですが、傘は光を反射し、花は光を吸収し育つ。

ヒメコという光で育ちながらも、自分も彼女を照らし返したいという意味合いでしょうか。

 

これらから想像すると、ヒロメネスの意味合いは次のようなところと想像します。

①ほわんにとってのヒーローの名前はヒメコ

②あえて”meness(自分自身)”という単語を入れ込んでいるので、ほわん自身もヒメコのヒーローになりたいという想い

 

なんというか、OPまで尊いというのは反則です。

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