ゲーム『英雄伝説 黎の軌跡(くろのきせき)』をネタバレなし評価(未プレイの方向け)とネタバレあり感想(プレイ済み・クリア後の方向け)でレビューしていきます。
・記事作成時のプレイ時間(クリア時間):約70時間
・管理人は軌跡シリーズ作品のうち、空・零碧・閃・創をプレイ済み
おすすめ度:★★★★☆(81点)
一言感想:キャラクターの魅力は全てを解決する
要素別評価(5段階)
カテゴリ:ファンタジー・RPG
総評価:★★★★☆(81点)
シナリオ:★★★★☆
キャラクター :★★★★★
システム:★★★☆☆
演出 :★★★☆☆
(音楽 :★★★★☆ 絵・グラフィック :★★★☆☆ アイデア:★★★☆☆)
※要素別評価の理由は、ページ下部に記載しています。
『黎の軌跡』レビュー「軌跡シリーズ、共和国編のはじまり」
キャラクターが良いというのは、何より大切だと実感するRPGでした。
今回紹介するのは『黎の軌跡』です。
本作は『空の軌跡(2004年発売)』から始まった長期シリーズである『軌跡シリーズ』の最新作。
最近まで続いていた『帝国編』が終わり、今回から主人公が変わり、『共和国編』という新しい物語が始まりました。
▼約5年間続いた帝国編。今作とはメインキャラが異なる
軌跡シリーズに触れたことのない人向けに、「本作をプレイする前に過去の軌跡シリーズをプレイすべきか」という点について書いておきます。
まず、『軌跡シリーズ』は世界観と時代はどの作品も地続きとなっています。
そのため、過去作のキャラなどが別の作品に出てくるという事が頻発します(それがこのシリーズの魅力なのですが)。
今作も同様で、過去作品を知っていてこそ楽しめるという演出が少なからずありました。
結論としては、今作はこれまでとは別の国が舞台という事で新規の人も始めやすいとは思います。
しかし、やはり過去作のキャラなどは出てくるので、過去作をプレイしたほうがより楽しめます。
今作をプレイして気に入れば、過去作も履修するという入り方もありです。
さて、プレイした感想ですが…。
いつも通りの軌跡シリーズの安定感がありました。
人との絆を大切にしながら大きな事件に立ち向かい、成長してくキャラクター達。
この王道な部分は今作もぶれていません。
キャラクター面はかなり気に入っていて、過去シリーズの中では一番好きかもしれません。
主人公のヴァンが24歳の大人という事もあり、ちょっとダークな描写が垣間見える所も新鮮で良かったです。
▼主人公のヴァン。何でも屋チックな裏解決屋を営む
一方で、気になったのはシナリオが若干マンネリ化している点。
シリーズプレイヤー的には、見せ場となるシーンや事件の立て方に既視感があるように思えました。
今回はシナリオ面を中心としながら、刷新されたバトルシステムのプレイ感などにも言及しつつ、『黎の軌跡』を紹介していきます。
〇演出:制作を重ねるたびに進歩していくムービーシーン
演出面ですが、ムービーシーンは前作の『創の軌跡』に続き、しっかりと進歩が感じられる出来でした。
もちろん、いわゆるAAA級のゲームと比べれば物足りない所は沢山あります。
しかし、見ていて残念と思う回数は大分減りました。
前シリーズである『閃の軌跡1~4』までは設定にムービーが負けていたように思います。
とてつもない強敵と戦うシーンでもその場で武器を振るだけ、といった感じ。
シーンで描きたいことがピンチなのか、感動なのか、そういうところを見ている側が想像で補完する必要がありました。
それが今作では見ていて設定が伝わってくる。
プレイヤーが想像で補完することなく、シーンにのめりこむことが出来ました。
モーションキャプチャーなどを駆使してしっかりと作られたムービーになっていたと思います。
▼モーションのレベルなどは大体、OPを見れば把握できると思います
〇シナリオ:“暗さ”が散りばめられ、年齢層がやや高めになった
軌跡シリーズはシナリオゲーなので、シナリオについては長めに書いていきます。
今作のシナリオは、軌跡シリーズらしい王道なものになっていたと思います。
以下、あらすじ。
裏解決屋を営む主人公のヴァン。
ある日、彼は女学生のアニエスからゲネシスという特殊な道具の捜索依頼を受ける。
依頼のため、ヒロインと共に国中を走り回るヴァン。
その中でゲネシスを巡る色々な事件と遭遇し、仲間と一緒に成長しながら事件を解決していく。
全体通してそつのないシナリオになっていたと思います。
キャラに共感できないといったストレスは全くない。
ギャグとシリアスが上手に混ぜられていて展開にメリハリが効いている。
クリア時プレイ時間は70時間弱と長かったのですが、飽きることなくプレイできました。
特に今作のシナリオで良いと思ったのは、暗さを描けているという事。
これまでの軌跡シリーズは、割と主人公が真面目な優等生タイプが多かった。
それに引きずられ、シナリオからいわゆるグロさやエロさといった暗い部分は意図的に排除されがちだったと思います。
それが今作では、そういう暗い部分にもある程度の目を向けたシナリオとなっている。
少し重めな描写が混じったシナリオは見応えがありました。
更に、暗さを描けばかえって明るい部分が際立つということで、メインキャラたちの明るい掛け合いがより輝いて見えたというもの良かったと思います。
▼日常会話が軽快なので、全体的な雰囲気は明るく楽しい
△シナリオ:それでもマンネリ化がいなめない
今作のシナリオの良い部分を紹介する一方で、気になる点もありました。
それは、シリーズとしての描写のマンネリ化です。
軌跡シリーズの華といえばピンチからの逆転や強キャラ同士のバトルシーンでしょう。
今作はそういう華のシーンが雑に消化されていた気がしました。悪い意味で手癖でシナリオが描かれている部分が多かった印象を受けます。
予定調和っぽい展開が多いため、ピンチの切迫感が乏しい。
強キャラ感を出す描写もちょっとワンパターン。キャラが真実に気づいてるけど言わない、といった描写が多すぎます。
もっと一つ一つの描写にアイデアを注ぎ込みバリエーションを増やして欲しいと思います。
▼思わせぶりな台詞の回数がとても多い
もうひとつマンネリ化という意味で気になったのは、前作までのシナリオやキャラの引用が多いという点です。
今作のキャラや事件を立てるために、過去作のキャラの名前や事件の名前を出すパターンがかなり多い。
「過去のあの事件を超える事件だ。」といった感じで事件の描写をする。
これだとシリーズをプレイしていない人にとってはイマイチやばさが伝わらない。
シリーズプレイヤーとしては逆に新鮮さが乏しくなるので面白く見れない。
要所で過去作の描写を出すのは良いと思いますが、あまり乱発する手法ではないように感じました。
◎キャラクター:流儀を重んじる主人公とヒロイン
今作で最も良いと思ったのはキャラクターが魅力的だった点です。
特にパーティーインするメインキャラはどのキャラも好きになれる。
シリアスもギャグもいけるキャラたちの会話を見ているのは楽しかったです。
中でも気に入ったキャラは主人公のヴァンとヒロインのアニエスです。
▼中央:ヴァン、右:アニエス
ヴァンは文句なしにカッコいい。
自分の流儀を大切にし、どんな場面でも必ず筋を通すブレない姿勢が気に入りました。
彼の流儀というのは、相手の立場で姿勢を変えず、相手が困っているならその人の依頼を受けて助けるというもの。
こんな人が近くに居たら惹かれるだろうなぁと思います。
それでいて、車とスイーツには目がないという人間らしさや隙があるのもまた魅力的でした。
ヒロインのアニエスも良い。
普通の女学生、のはずなのですがやたらとメンタルが強い所が好きです。
序盤から色々な事件に巻き込まれていくのですが、基本的に気おされない。
自分なりに事件と向き合いながら、ヴァンと一緒になって事件解決に向けて戦っていくところが魅力的でした。
▼ヴァンと出会って間もないのに、助手業が板についているアニエス
物語の中で、ヴァンが持つ自分の流儀を貫くという姿勢に影響を受けながら、彼女なりの流儀を見せていくところも良い。
それでいて、日常描写では年相応な青さも見せてくれて可愛い。
攻守に隙のないヒロインだったと思います。
◎キャラクター:因縁渦巻くサブキャラ達
軌跡シリーズの良いところは、たくさんのキャラ達それぞれに関係性があり、ドラマがあるところだと思います。
今作もサブキャラ達を含めて様々な因縁があり、ドラマが生まれていたと思います。
そんなサブキャラの中で特に印象に残ったのはヴァンの幼馴染であるルネとエレインです。
▼中央:ルネ、右:エレイン
ルネは政府の諜報機関に所属するエリートという役どころ。
冷たく隙が無さそうに見えて、意外と面倒見が良い。
ぎくしゃくしがちなエレインとヴァンを色々と気遣いながら声をかけてくれるところは、一味違った兄貴分という感じでした。
一方で、エレインとヴァンの立場を上手く利用して自分の仕事を片付けていくという抜け目がないところも魅力的でした。
エレインは民間の自警団的な組織のエースで国内外で人気のある有名人。
彼女を一言で表すなら、重い。
幼馴染であるヴァンに複雑な感情を持ち、こじらせてる感じの美人さんです。
かなり出番の多いキャラなのですが、現れるたびに重い感情が垣間見える言葉をヴァンに発して去っていく。
ヴァンとエレインの会話シーンは独特な緊張感があり、見ごたえがありました。
もちろん、重いだけでなく幼馴染としてヴァンを支えてくれる所も多々あります。
幼馴染組の複雑な人間関係は、サブストーリーとしてドラマをより重厚にしてくれていたように感じました。
△キャラクター:敵キャラが薄味に思える
今作は(おそらく続くであろう)共和国編の第1作目という立ち位置です。
これは閃の軌跡1でも同じだったのですが、1作目の敵役は深掘りが薄いです。
メインキャラとの因縁にあまり濃いものはなくシンプル。
キャラ造形も単調で、メインキャラや幼馴染組のような重厚感のある作りとはなっていませんでした。
▼軽薄で残酷なクレイジーキャラは若干食傷気味です
そういう敵キャラなので、バトルをしても強く盛り上がる感じはなかったように思います。
むしろ敵のもとへたどり着くために、色んなキャラクターが助けてくれる所が本番みたいな感じでした。
因縁のある敵キャラとのバトルという部分は、今後のシリーズ展開に期待したいところです。
〇システム:アクションバトルは空気だが、特大のおまけ有
今作から、バトルにアクションの要素が組み込まれました。
コマンドバトルに移行する前に、アクションバトルで相手を弱らせることが出来るというもの。
アクションの部分は回避と攻撃くらいしか選択肢がなく、アクションバトルの面白みはそんなになかったように思えます。
ただ、良かったのはアクション要素のおかげでバトルをスルー出来るようになったという点です。
従来は敵とのシンボルエンカウントだったので避けることのできないバトルが多く発生していました。
しかし今作はコマンドバトルへの移行は任意で選べるため、アクションバトルのままシームレスに逃げることが出来ます。
そのおかげで、ダンジョンの入口からボスまで一度も戦わずにダンジョンを攻略することが出来ます。
更に良かったのは、そういうプレイを見越しているからかボスの経験値がかなり多いです。
ボスとだけ戦えば、シナリオで詰まらないくらいにはレベルが上がるようデザインされていて、余計な時間を費やす必要がなかったのは上手いと思いました。
コマンドバトルのプレイ感は割と従来通りです。
バランスは見直されているのが特徴で、被ダメが高くなったのと相手の範囲攻撃が強くなっています。
そのため、主人公のヴァンが使える技などで相手のヘイトを管理するのが重要になるのはやや新鮮でした。
△システム:どうしても気になるパートボイス
今作はセリフ量が多いからだと思いますが、メインシナリオの一部にボイスがありません。
気になるのは、同じシーンでもボイスがあるキャラとないキャラがいるという点です。
主人公はボイスがないのに、違うキャラはボイス有で喋るシーンが多々あります。
これはかなり没入感が削がれるので何とかしてほしいポイントだと思いました。
△システム:ところどころに見えるプレイ時間の水増し要素
今作はところどころにプレイ時間を水増すような演出がある気がしました。
例えば、過去作ではできた必殺技の演出スキップが今作ではできません。※
お使い的なクエストもかなり数が多く、少しストレスがあります。
終盤のダンジョンではやたらとHPが高い敵との強制バトルを繰り返すギミックがあり、結構だるい。
雑にプレイ時間を増やすくらいであれば、プレイ時間が短くても中身がつまっていた方が良いと思いました。
※10/29追記
ver1.1へのアプデでスキップが可能になりました。
総評価と感想
今作はキャラクターの魅力が作品をけん引しているように思いました。
ストーリーは、本作で完結するものとしてみればもうひと押しという所。
ですが、キャラ立てのためのシリーズ1作目としてみればよく出来ていたと思います。
本作で紹介されたキャラたちが本格的に活躍するであろう、2作目以降には非常に期待が出来ると思います。
今後の展開を楽しみに待っていようと思います。
要素別評価(5段階)の理由
シナリオ:★★★★☆
記事の通り。基本的なレベルは高いが、新鮮味に欠ける所が惜しい。
キャラクター :★★★★★
記事の通り。シリーズファンとしては、過去作キャラが活躍するシーンもあり満足度は高い。
システム:★★★☆☆
スキップ機能など、今まで出来ていた機能が一部落ちてしまっているのは残念。
バトルについては可もなく不可もなくでいつもの軌跡といったところ。クラフトはキャラの個性が反映されていて良かった。
演出 :★★★☆☆
(音楽 :★★★★☆ 絵・グラフィック :★★★☆☆ アイデア:★★★☆☆)
グラフィックはキャラは安定しているが、背景はまだ物足りない。
音楽はいつも通り良い出来。本作の雰囲気に合わせて大人っぽい曲がいくつかあったのも好印象。
ネタバレありで語りたい(ネタバレあり感想)
ここからは、肩肘張らずにネタバレありで感想を書き連ねます。
未プレイの方は、バックをお願いします。
↓
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ここからネタバレありです。
序章について
今回はダラダラとなりますが、各章ごとに感想を書いていこうと思います。
序章はアニエスとの二人旅でした。
出会いのシーンがシンプルなのに、どこか二人の始まりという雰囲気が出ていて凝っていたように思います。こういう点に演出の進歩を感じます。
▼見上げる感じがとても可愛い
シナリオとしてはサブキャラをどんどん出しながら、本作の雰囲気を伝えるためにキャラの死亡シーンも出している。
導入としてはとても上手くいっていたように感じました。
▼強キャラっぽい声から、あっさりと亡くなる人
序章からアニエスは、一味違うヒロインらしさを出してきていたのが良かったです。
割と我を出してヴァンに食らいついてくる感じがまさに助手という感じで頼れました。
戦闘中も今作は相手の火力が高いのも有りSクラで頼る場面が多かったです。
▼リィン教官よりヴァンが上手く指導している気がするのは自分だけ?
序章の締め方も良かったです。
誰にでも手を差し伸べるというヴァンの在り方を、基本料金の会話で表現する。
解決屋ならではのハードボイルドっぽさもありグッときました。
▼なお物語後半では所員が増えるからか、守銭奴化する模様
1章について
1章はフェリをメインにした話となっていました。
フェリはキャラデザは初見ではあまり気にいっていなかったのですが、プレイしていてどんどん好きになっていったキャラです。
ガイウスの系譜を継いだ息吹トークに始まり、無垢キャラとしてのボケとツッコミもいける万能キャラだと思います。
▼章ごとにトップ絵が変わるのは芸コマ。しかもイラストの出来が良い!
1章の物語としては、フェリがあまり活躍しなかったのは惜しいと思いましたが、話は結構好きです。
まず、ヴァルターのネタキャラ化が更に加速していて笑いました。
かっこつけお助けキャラ枠がヴァルターとかそりゃ笑うでしょ…。次作以降、結社と正面からぶつかれるかが心配です。
もうひとつ良かったのは終盤のオチのつけ方の部分です。
猟兵としての在り方をフェリに背負わせようとする、フェリの父。
それを別の立場から否定し、自分が人の死を背負うヴァン。
ヴァンの在り方を綺麗に深掘った良い演出だったと思います。
事務所でのヴァンとアニエスの会話も良い。
今作の二人の関係性を切り取ったお洒落な会話となっていました。
そう言えば、メルキオルはこの章が初出でした。
最初から最後まで小物でしたね…。感想終わり。
2章について
今作で最もシナリオが気に入ったのがこの章でした。
スタートから舞踊にサウナと、視覚面からも気合が入っていました。
▼ダンスシーンが見れる出来になったのは感慨深いです。零のアルカンシエルから何年経ったことか
注目点は二つ。
一つはエレインが味方キャラとして活躍するシーンが多いという点。
創の軌跡で登場して以降、常に重い感情を向けるエレインさんの会話がやっぱり面白い。
どことなく閃の軌跡のクレアさんっぽい感じがあって良い。
次回作では更に立場の違いに葛藤してほしいと思ってしまいます。
もう一つ印象に残ったのは、アーロンの物語に無駄がないという所。
夜にアーロンと街を巡る中で、アーロンの仲間たちの描写をし、アーロンの内面の描写を伏線的に行う。
そこから中盤での仲間たちの死。
終盤で回収するアーロンの孤独感の意味。
綺麗に物語が一本の線になっていると思いました。
また、中盤の霧が立ち込めるシーンは舞台演出としてゾクゾクして、物語にメリハリを生んでいたと思います。
▼アーロンの設定はヴァンと通じる所も多く、後半の展開に向けた良い伏線
▼名前ありモブが割と死ぬのは今回の軌跡の重要ポイント
気になるのは、アーロンの設定は消化しすぎていてこの先にどんな活躍をするのだろうという点です。
NARUTOっぽく、大君と仲良くなるシナリオでも書くのでしょうか…。
▼フェリに息吹キャラが板についてくるのはこのシーンあたりから
3章について
3章は冒頭からサブキャラの掘り下げが多かったと思います。
▼めんどくさい所が良いエレインさん
▼シリーズファンとしては意外な関係性。個人的には有り
さて、シナリオ面ですが3章は発散していたと思います。
今後に向けたキャラ見せがメインで、パーティーキャラの深掘りはほぼ無し。
個人的には今作でワーストの章だったかなという感想です。
創の軌跡でもあった洗脳仮面×ダンスバトルが今回も盛り込まれていました。
どっちの要素も滑るしかないと思うので、そろそろシナリオにいれるのはやめて欲しいところです。
ただ、演出面は面白かったです。
ポールダンスに色気がある。
これは驚きでした。
『閃』では描けなかった、夜の街要素は今作ならではでテンションが上がりました。
アーロンがイキイキとしているのも、本来は『閃』のアッシュでやりたかったことなのかなぁと思えて、とても良いと思います。
それだけに、ゴッチ監督のフォクシーパレードには期待したのですが非常に残念な感じ。
完全にMPを吸われる出来でした。
ゴッチ監督はキャラとしては好きなのですが、監督の才能はなさそうです。
4章について
カトル君とリゼットさんが目立つ回でした。
シナリオ的にはこの章もイマイチな出来。
今作は核兵器やらシンギュラリティやら、あとは同性愛関係やら。
現実で顕在化している問題に触れるような描写が多かったと思います。
ただ、どれも上っ面感がいなめないというか、勉強して掘り下げているという印象は持てませんでした。
半端に触れるくらいであれば、いっそ触れない方が個人的には良いんじゃないかと思います。
▼リゼ×カトは有り。掘り下げ希望
間章について
シズナさん初登場回。
キャラデザ最高、存在感空気という独特なキャラです。
▼斑鳩(変換できることに驚き)の副団長。メタ的には緩く行き過ぎて空気でした
温泉に行くまでは色んな人間模様が垣間見え、間章らしさがあって良かったです。
アニエスとエレインのヒロインレースが始まった感が強い。
特にエレインのセリフは相変わらず重すぎて引き込まれました。
なお、マクシムは許さない。
▼貴重な照れ顔。出来る助手過ぎて16歳ということを忘れそうになる
▼スキャンダル不可避な発言。セリフは好きですが結局何の伏線だったか分からなかった
温泉についた後は、いつものサービス回+設定開示回でした。
温泉で過去を明かすのは定番になりつつある気がします。
こういう時、アーロンは悪友+後輩って感じで使い勝手の良いキャラだと思います。
今作で空気な人を救う回なのか、黄金蝶さんにも出番が。
そしてやたらとグラの出来が良い。
常にこっちの衣装で出てきて欲しいんですが無理ですかね。
この後、懐かしの狸も出てきましたがやはり空気だったので割愛。
▼シャーリィとマリアベル辺りを指してると想像
そして、満を持してシズナさん登場。
初登場で神気合一を放つという特大のシリーズプレイヤー煽りをかますあたり、ポテンシャルは十分でしょう。
喋り方やキャラデザは非常に好きなので次回作以降の活躍に期待したいです。
ただ、味方キャラとしては強すぎるのでどうなるのか難しい所…。
雰囲気を明るくした後は暗くなるという王道通りという事で。
物語が佳境に入ったことを示すシーンは緊張感があり良かったです。
今作は2章の霧や間章の国家非常事態宣言など、緊張感作りが上手かったように思います。
ただ、蛇足的に言えば某キャラの死に際のカメラ連射は正直ちょっと面白かったです。
以降の展開について
5章は色んな組織が入り乱れてのバトルロイヤルとなっていました。
展開自体は面白いのですが、味方サイドは死なないのが分かり切っているので緊張感がなかったかなという気はします。
いっそのこと、この章は仮想現実を舞台にしてキャラをどんどん死なせても良かったんじゃないかなぁという感想を持ちました。
▼今作のボスたち。カリスマ性が足りない。そして絵面がキツイ
自分は遊撃士ルートを選んだので、ジンさんやフィーたちと迷宮を巡りました。
割と各キャラにセリフがあったので、差分づくりは大変だったんだろうと思います。
▼フィーのクラフトは、サラ・ラウラ・リィンに影響を受けた感があって好きです。特に下のカットが気に入りました
迷宮内では、ボスの皆さんが唐突に過去を語って散っていきました。
仕方ないとはいえ、さすがに処理が雑かなと。
ベルガルドが「知っているのか雷電」風に解説を始めるのは笑いましたが。
▼解放されたのかもしれぬ!(断言)
5章の本番はエレインの話だったように思います。
これまで以上に重い女っぷりを加速させていく夜会話シーンは今作のハイライトの一つでした。
エレインの話のオチは、引っ張った割にちょっと弱かったので割愛。
▼自覚のあったエレインカット集。今作ではアニエスと対比的に描かれていたと思います。エレインが次回作でここからどう成長するかが注目ポイントでしょう
5章の終盤、敵の首領の正体も明らかになりました。
まさかのDG教団出身という展開。
零の軌跡の時は、ここまで大きな組織になるとは思っていなかったです。
ただまぁ、正直それ以上の驚きはないキャラでした。
恐怖VS悪夢という対立構造もシナリオに落とし込まれてはいなかったので…。
終盤の感想としては、ジェラールからアーティファクトを回収できなかった守護騎士2名に文句を言いたい。以上。
▼声優さんの演技は、某英雄王風で良かった。慢心しそう
▼お前が頑張れ
ここからは終章の話に移ります。
打ち上げシーンはヴァンがやってきたことが報われる感じで良いシーンでした。
各界の実力者が普通の洋食屋に集うのは何とも軌跡らしくて好きです。
ルネとエレインとの会話も良かった。
幼馴染組のわだかまりが解けたこのシーンで、ひとつのドラマが完結したように思います。
また、終章ラストの展開に向けた伏線になっているのもポイントでしょう。
幼馴染組は、ヴァンが頼ってくるれるのを待っていた。
解決所組は、ヴァンが頼らなければ、自分の流儀に沿って自らヴァンに迫っていった。
この部分がヴァンの運命を分けたと考えると趣深かったです。
▼(多分)隠しクエストで集合した今作の依頼人の皆さん。ヴァンは押しかけられると弱い説。
クエストの数が多いのは気になったものの、クエストのシナリオ自体は凝っていて好きでした
終章は今作の考察ポイントが二つあったと思います。
一つは、メールをくれたCの正体。
手がかりが全然ないので、とりあえずエプスタイン関係の人と想像したいと思います。大統領本人とかですかね。
もう一つは、思わせぶりなサブイベが多いニナの正体。
メタ的にはポストが余っている組織がほとんどないので、今回出てきた僧兵団関係の人と予想しておきます。
さて、終章の展開で印象に残った点を2つ。
まず、レン関係は驚きました。
空の軌跡3rdで描かれた部分が改めて出てくるという予想外。
PSP版で規制により削られた虐待関係の話だったので、てっきり闇に葬られた設定だと思っていたのですが…。
クロスの名前が改めて出てきているので、今作の関係者なのかもしれません。
▼最近は万能キャラ扱いが多かったので、たまにはこういう描写も有り
▼本作ではただのいかついオジサンなヴァルターさん、良い味を出している
▼ジェラールやメルキオルとのバトルも有りましたが、復活怪人なので割愛。
今作の強さ表現は誰かとの比較が多いので、納得感があまり無かったです
もう一つは、やはりヴァンの正体開示以降の展開です。
残酷なくらいにエレインとアニエスの比較がはっきりしているのが印象的でした。
そして、ヴァンに思いの丈をぶつけるアニエスがとてもカッコいい。
ヴァンと一緒に様々な経験をして、考えて得た”自分なりの色”をぶつけるVS魔王戦。
今作のヒロインはアニエスだと実感しました。
かっけえんすよ、アニエス。好きだなぁ。
さて、零や閃の絆イベントでヒロインを決める仕組みも好きでした。
ただ、こういうふうにヒロインとしての描写がしっかりと決まるところを見ると、ヒロインはある程度は固定にした方が良いかなと思います。
▼しれっと自分への矛先を反らすヴァンさん、流石
エンディングは、各キャラの年末年始の様子がイラストで紹介されました。
イラストは閃の絵師さんが書いてるんだと思いますが、正直、パッケージのイラストよりもこっちの方が落ち着くなと思ったり。
3Dモデルとの相性もそうですし、素直にキャラが可愛くカッコいい感じがします。
で、軌跡1作目としては珍しく綺麗な大団円で終わったことに驚き。
個人的には逆に引きが弱いと感じるところもあるので、綺麗に終わっても綺麗に終わらなくてもどちらでも良いかなと思います。
▼幼馴染組のイラストが一番好きです。次回作以降もこの関係性が続いて欲しい…!
ダラダラと書いてきましたが、総括としてはとても良いゲームだったと思います。
シナリオはちょっと物足りない所もありました。
しかし、それ以上に好きなシーンや好きなカットが多く、そして何よりキャラを気に入れたのが大きかったです。
このキャラたちが次回作でどのようなドラマを見せてくれるのか…。
気になる内容が多すぎる!
大統領は何をしでかすのか。宇宙軍は本気なのか。
シズナは一体なにを守っているのか。
マリエルは遺志を継いだ成長を見せるのか。
幼馴染組は同じ方向に進めるのか。
そして裏解決事務所の面々にはどのような試練が待っているのか…。
やばい。1年後か2年後がとても楽しみです…!
以上、『黎の軌跡』の感想でした。
ご覧いただきありがとうございました。
【参考】今作よりも考察成分多めな『創の軌跡』の感想はこちら