ゲーム『ライザのアトリエ2 〜失われた伝承と秘密の妖精〜』をネタバレなし評価(未プレイの方向け)とネタバレあり感想(プレイ済みの方向け)でレビューしていきます。
・記事作成時のプレイ時間:40時間
・管理人はアトリエシリーズ全作品のうち、約9割をプレイ済み
おすすめ度:★★★☆☆(57点)
一言感想:全体の完成度は上がっているだけにシナリオが残念な一作
要素別評価(5段階)
カテゴリ:日常・ファンタジー・RPG
総評価:★★★★☆(57点)
シナリオ:★☆☆☆☆
キャラクター :★★☆☆☆
システム:★★★★☆
演出 :★★★★☆
(音楽 :★★★★☆ 絵・グラフィック :★★★★☆ アイデア:★★★☆☆)
※要素別評価の理由は、ページ下部に記載しています。
『ライザのアトリエ2』レビュー「シナリオの大事さを再認識する一作」
2作目ならではの良さと悪さが出た1作でした。
今回紹介するのは『ライザのアトリエ2』
2019年に各所でバズった『ライザのアトリエ』の正統続編です。
続編という事で、前作と話やキャラのつながりがあるため本作からプレイすることはお勧めしません。
興味がある方は、前作『ライザのアトリエ』から入ることをお勧めします。
▼「アトリエシリーズ」自体と合わせて『ライザのアトリエ』を以下のレビューで紹介していますので、参考にあわせてご覧ください。
さて、『ライザ2』ですが昨年の勢いのまま更なる進化を…
と、期待していたのですがちょっと厳しい出来というのが率直な感想。
2作目という事でシステム面は進化していました。
バトル・調合・UI周りは改良が進んでいて心地よいプレイ感。
では何が厳しかったかといえば、とにかくシナリオです。
前作の出来は何処へ…
プレイしても達成感が得られない。
無味乾燥なシナリオが続いていくのがとても残念に思いました。
今回は良かった点と悪かった点、それぞれに目を向けながら本作をレビューしていきます。
〇システム:爽快感重視のバトル!!
まずは良かった点から。
特によかったのはバトルです。
前作は大味なバトルシステムでした。
・状態異常が複雑で管理が難しい。
・プレイスピードが速く状況がつかめない。
・結局、勝てる状況を作り出して相手を圧倒するのが最強
などなど。
今回もバトルの大味さはあまり変わっていないと思います。
ただ、良くなったのはバトルに爽快感が出たという点です。
爽快感の要因はアイテムの使用感にあります。
まず、バトルの大きな流れは以下のように進みます。
①通常攻撃を続けゲージを稼ぐ
②ゲージを使ってスキルを放つ
③スキルを使うとアイテムが使えるようになる
④アイテムを使うと戦況が大きく有利になる
このように、戦闘開始からアイテム使用までの流れが明確になるよう改良されています。
苦労して自作したアイテムで大ダメージを与え、敵を倒した時の爽快感は格別です。
アイテムが中心にあるアトリエシリーズらしさに目を向けた良いバトルになったと感じました。
〇システム:自由度が増したフィールド探索
本作の一つの目玉と言えるのがフィールド探索でしょう。
従来出来なかったいくつかのアクションが解禁されています。
泳ぎやロープアクションによってフィールドを回ることができ、探索してる感が味わえました。
ライザが可愛いグラなので相乗効果が生まれている点も見逃せません!
そうして渡り歩いた先には重要なアイテムやランドマークがあったりもするので探索のし甲斐がありました。
▼泳げます。泳いだ先にあらたなフィールドがありワクワクしました
▼ちなみに今作は服が濡れます(重要)
△システム:遺跡探索という苦行
ここからは残念だった点。
今作は遺跡を探索し歴史の謎を紐解くというのが一つのテーマとなっています。
そのため、遺跡のあちこちを巡りピースを集め、組み合わせ、謎を解くというパズル要素が取り入れられています。
しかし、これが意外と苦行です。
ピース集めが解禁されるのは、なんと遺跡を一通り巡った後。
そのため、すでに探索した場所にもう一度行くことになって面倒です。
パズル要素についても、頭を使うところはなく淡々と〇連打で終わります。
▼パズルは左と右で似た文章となってるものをつなぐというもの。
謎の解禁も右の文章が正しい文章になるだけです
そうして解禁された謎も心惹かれない。
モチーフ自体は悪くないのですが、演出が全くなく文章で紹介されるだけです。
いうなれば、歴史の教科書を読んでるような感覚でした。
謎解きで明かされる過去の人たちの葛藤と現在がつながるような工夫が欲しかったところです。
×シナリオ:謎が浅い、出来事も浅い…
今作最大の弱点。
なんといってもシナリオが残念でした。
不愉快になるというわけではないのですが、無味乾燥です。
シナリオの大きな流れは…
①「フィー」という珍しい生物と出会う
②王都周りの遺跡を探索するうちに、フィーと遺跡の関係性が明らかになっていく
というもの。
見ての通り、主人公のライザがほぼ置いてけぼりでフィーが主体のシナリオとなっています。
ただ、このフィーのキャラが薄い。
確かにフィーの外見は可愛い。
しかし、シナリオではフィーと可愛く鳴く以外は出番がほぼない…。
▼可愛いは可愛いんですけどね…
遺跡とフィーの関係性に驚きがあるかというとこちらも微妙。
凝った演出もなくひたすら事実が羅列されていくだけなので、遺跡とフィーの関係性は頭に入りにくい。
最後にオチの部分はネタバレありの方に書きますが、こちらも首をかしげるもの。
正直に言えば、オチはやや不愉快な描写でした。
多分、やりたかったのは映画『インディジョーンズ』や『ダヴィンチコード』みたいなやつなのかなぁと思います。
ただ、そういった作品は遺跡探索はギミックに富んでますし、物語の謎だってもっと深いものになっている。
また、謎解きだけではありません。
追う・追われるの関係性によるスリルや、ウィットに富んだ会話、濃いキャラたちの見せ場など…
色んな工夫がつまったうえで2時間の作品となっています。
それと比べると今作はギミックのないインディジョーンズ、謎が浅いダヴィンチコードといった形で中々に厳しい。
全体通してシナリオに驚きがない、変化がない、達成感がありませんでした。
シナリオのレベルが高いとは言い難いアトリエシリーズの中でも、かなり下位の出来のように思います。
個人的にはキャラ崩壊による不愉快さのメルル、無味乾燥なライザ2で並ぶ感じ。
かなり残念なシナリオでした。
△キャラクター:描き方に愛が感じられないキャラ達
前作ではキャラクターたちのつながりが上手く描かれていたと思います。
師匠ポジのアンペルとリラ。
お兄ちゃんなレントと弟なタオ。
親友のクラウディア。
バランスの良い家族感のあるキャラ達でした。
それが今回は、同じキャラたちが登場はするものの、ただそれだけといった感じ。
仲が良いと会話では言うのですが、具体的な動きがないのでそれが中々伝わってきません。
もっと、ライザ1の冒険がどのように彼らに影響を与えてその後を過ごしたのか。
その点に想像力が膨らむ描き方をしてほしかったです。
そして何より、キャラクターシナリオの出来が良くない。
設定がちぐはぐだったり、共感できなかったり、オチがおかしかったり…
ちょっと驚くくらい微妙です。
例えば、新キャラのゼフィーヌ。
彼女はカフェの看板娘ですが、料理は厨房のマスターが作っているという設定。
しかし、シナリオでは彼女がどんな味付けの料理を出せばカフェに来る人が喜ぶかを悩むというものになっている。
それであれば、料理もゼフィーヌが作っているという設定にすればよかったのでは…?
悩んでる感を出されても結局、工夫するのはマスターでは…?
といった感じで疑問符が浮かぶシナリオばかりでした。
△その他:細かい点などなど
細かい点は良くなったところもありますが、引き続き気になる点も…
まず、良くなったのはセリフの自動送りの実装です。
それ以外で気になった点は…
・フィールドでの杖振りのモーションが遅い
・ザコ敵の配置数が多すぎ
⇒結果、無用なバトルが増える。落ち着いて素材を選べない
・色違い敵キャラ多すぎ
・ジェム還元で選択したときに勝手にリスト先頭に戻るのが不便
・畑が遠い
・頻繁に挟まる小イベントを見るのが面倒。
まとめて一連のイベントを見れるアンロック式にしてほしい。
それと、ゲーム本篇からは離れますがもうひとつ残念だったのがDLC「クーケン島採取ツアー」の販売方法です。
このDLCは前作の舞台、クーケン島を訪れることが出来るというファン心をくすぐるもの。
しかしこれは、通常の倍以上するスペシャルコレクションには含まれていません。
発売直前にデジタルデラックス版というDL限定商品にのみ配信されることが発表されました。
自分はDL版派なのでダメージはなかったのですが、大金を払ってくれる熱心なファンの方にこういう対応をするのはちょっと…。
もう少し、ファンの方を向いたシリーズ作りをしてほしいものです。
総評価と感想
シリーズファンとしては何とも残念な作品でした。
ライザのラッキーパンチをシリーズの今後につなげてほしいと思っていただけに、特に残念。
率直に言ってシリーズファン以外の強くお勧めできる作品ではありません。
恒例のシリーズ3作目は持ち直して良作になることに期待します。
※ネタバレに踏み込んだ感想は更に下の「ネタバレあり感想」へ!
要素別評価(5段階)の理由
今回は記事の通りであるため割愛。
ネタバレありで語りたい(ネタバレあり感想)
ここからは、肩肘張らずにネタバレありで感想を書き連ねます。
未プレイの方は、バックをお願いします。
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では始めます。
キャラシナリオについて
一応、裏ボス含めてクリア済みです。
まず、キャラシナリオ。
これはレビューでも書いた通りひどい出来でした。
例えばデニスのシナリオはコンテストに挑んだけど失格になったよ、というもの。
プレイヤーへのいやがらせかな?という感じ。
描写数が多いタオとパティの関係性もひどい。
せめて二人の馴れ初めを描くとか、タオを魅力的に描くとかもっとあったような…。
二人の恋路に全く興味がわきませんでした。
シナリオも突然パティが父親に切れ、父親は成長を喜ぶという…
何を見せたいのかよく分かりません。
▼キャラ設定やデザは好きなので余計に残念
アンペルやリラも好きなキャラでしたが今回はただの解説役でろくなイベントすらもらえていない。
ライターが変わったとしても、ここまで質が下がるのはちょっと予測していませんでした。
メインシナリオについて
最後にメインシナリオ。
全体通して、ライザの選択がないというのが致命的な弱点だったと思います。
王都に来るのは他人に頼まれたから。
遺跡を巡るのも流れで巡るだけ。
そしてラストは、師匠が言うままにフィーを手放す。
今までのアトリエなら無茶苦茶でもフィーを何とかする方法を模索していたと思います。
それがノータイムでさよなら、というのは打ち切り漫画並みの雑さです。
▼ぽっと出の古代の王
更にはその後、じゃあ王都から帰るかと即村に帰るライザ。
いやいや、カフェで街の人に頼られて喜ぶイベントあったじゃないかと。
クラウディアと一緒の時間を大事に過ごしたいって言ってたじゃないかと。
今作をプレイした時間自体を否定するようなEDはかなり残念な物でした。
前作は「ひと夏の冒険」というコンセプトがしっかりしていました。
それだけに今作のシナリオの質の低下はかなりダメージが大きい。
個人的にはシリーズのプレイを続けること自体に迷いが生じるような作品だったように思います。
次回は手放しで褒めれる作品をプレイしたいなぁと思います。
否定的な感想ばかりで申し訳ないのですが、『ライザのアトリエ2』の感想でした。
ご覧いただきありがとうございました。