【ネタバレ配慮】アニメレビュー『ハイスコアガール・ハイスコアガールⅡ』(感想・評価)

【ネタバレ配慮】アニメレビュー『ハイスコアガール・ハイスコアガールⅡ』(感想・評価)

アニメ『ハイスコアガール』をネタバレなし評価(未視聴の方向け)とネタバレあり感想(視聴済みの方向け)でレビューしていきます。

※ネタバレありの感想は、ページ下部に掲載。

 

◆本レビューのまとめ

○おすすめ度:★★★★★(87点)

○どのキャラも応援したくなる、王道なラブコメ

○作品に込められたゲーム愛が凄い!ゲームが演出に活きている点が素晴らしい

ハイスコアガール main

 

評価(5段階・要素別)

カテゴリ:ラブコメ

総評価:★★★★★(87点)


シナリオ:★★★★☆

キャラクター:★★★★★

演出:★★★★★
(音楽:★★★★☆ 映像:★★★★☆ アイデア:★★★★★

※評価の理由は、ページ下部に記載しています。

 

『ハイスコアガール』レビュー・感想

ゲームが彩る、少年達の青春時代。

ゲーム愛が作品の中に散りばめられた、名作ラブコメです。

 

今回紹介するのは『ハイスコアガール』。

月刊ビッグガンガン等で連載された、完結済みの漫画が原作です。

 

本作の特徴は、実在するアーケードゲームやテレビゲーム(以下、ゲームで統一)が作品の至るところに散りばめられている点にあります。

ストーリーにも、演出にも、キャラ造形にも。
作品の根幹にゲームがある作品です。

 

それでいて、ラブコメとしての面白さも秀逸な出来

2人のヒロインどちらをも応援したくなる、ラブコメ独特のドキドキ感がたまらない。

 

今回は、そんな「ゲーム愛と王道ラブコメの良さ」に彩られた作品『ハイスコアガール』を紹介していきます。

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◎作風:「王道」+「ゲーム」=面白い!!

『ハイスコアガール』がどんな作品なのか。
まずは作風からご紹介します。

 

本作は、いわゆるラブコメ作品。

超あらすじは、こんな感じです。

舞台は1990年代の日本。

ゲームをこよなく愛する小学生・春雄はいつものように、お気に入りのゲームセンターへ向かう。

そこで目にしたのは、いつもと違う、ゲームセンターのざわついた雰囲気。

喧騒の中心にいたのは、ゲームセンターが最も似合わない少女。
良家のご令嬢でクラスでは高嶺の花な存在、クラスメイトの晶だった。

会話すらしたことのなかった2人は、やがて、ゲームを通じて仲を深めていく。

 

あらすじの通り、物語はとても王道

ご令嬢な晶と、とても庶民な春雄。
一見不釣り合いな2人が、段々と仲良くなっていく。
更には、もうひとりのヒロインまで登場!

という、ラブコメでは鉄板なストーリーです。

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しかし、そんな王道の物語を”斬新”にしているのが「ゲーム」の存在です

この作品ではゲームが、シナリオや演出の中で大きな意味を持っています

例えば、接点がなかった春雄と晶。
2人をつなぐのは、出会いの場所であるゲームセンターです。

詳細は演出パートで紹介しますが、キャラの深堀りや演出にゲームが巧みに用いられている

ゲームを混じえた描写が、本作を新鮮なラブコメにしている。更に、物語の説得力を深めてくれています。

 

また、作品の雰囲気作りにもゲームが一役買っています

 

この作品は”1990年代”を舞台に描かれます。
この時代は、ゲームの存在が揺れ動いた動乱の季節です。

アーケードゲームが爆発的に流行った、ゲームセンターの黄金期。
そして、「プレステ」に代表される据え置きゲームの発展期。

春雄たちの恋模様とあわせて描かれる、ゲームという視点から切り取られた時代の変化

これが、同じ時代を生きた視聴者の琴線に触れてくる

見ていて、ノスタルジックな感情が芽生える作風を持っていると感じました。

 

▼時々描かれる、時代背景描写。
ビル・クリントンとストリートファイターの組み合わせで時代を語るのは、この作品くらいでしょう

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キャラ紹介:ゲームをこよなく愛する”ゲームバカ”なキャラ達

続いて、本作のメインキャラを簡単に紹介します。

 

◆矢口 春雄(CV:天﨑滉平)

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本作の主人公。物語開始時は小学6年生。
性格は少しひねたところもあるが、明るく面倒見が良い。

通知表には1が並ぶが、ゲームの腕は大人並

ゲームセンターが自分の聖域な廃ゲーマー。得意ゲームは『ストⅡ』

 

◆大野 晶(CV:鈴代紗弓)

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本作のヒロイン。春雄のクラスメイト。

容姿端麗でお金持ちな家のご令嬢という、恵まれた環境で暮らしている。
・・・ように見えるが家のしつけはとても厳しく、習い事漬けの窮屈な毎日を送る。

日々の癒やしをゲームセンターで過ごす僅かな時間に求める、大変な少女。

極めて無口で作中ではしゃべらない。
が、動作による感情表現はとても豊かで、春雄はよく彼女に殴られる

 

◆日高 小春(CV:広瀬ゆうき)

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本作のもうひとりのヒロイン。物語の途中から登場。

しとやかで優しい。観察力に秀でており時々、計算高い。
いわゆる女子らしい女子なタイプ。

実家は酒屋で、アーケードゲームの筐体をおいている。

人付き合いが苦手。趣味もなく、日々を飄々と暮らす。
しかし、ゲーマー・春雄との出会いから、彼女の味気ない日々が少しずつ変わっていく。

 

◎ストーリー:キャラの描写が巧みな王道ラブコメ

ここらは、ストーリー面を紹介します。

まず、『ハイスコアガール』のストーリーには王道ラブコメの良さがあります。
主人公とヒロイン達が、大変魅力的に描かれているんです。

 

遠く離れた存在であった、春雄と晶が惹かれ合っていく姿。
2人が互いを必要としていることに、自然と納得できる描写。
そして、2人の壁となる試練の数々。

ラブコメの鉄板である、身分違いの恋模様はやっぱりグッときます
壁に立ち向かっていく春雄の姿も、素直にかっこいい!

 

そんな春雄と晶の出会いが描かれる1~3話は特におすすめ。
ただし、1話より2~3話の出来が秀逸なので、是非そこまでをセットで見ていただきたいです

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途中から参戦してくる小春もまた、いい味を出している。

小春は『ドラクエⅤ』でいえば、フローラみたいな立ち位置で登場します。
普通なら、積み重ねた思い出の違いで圧倒的に不利!多くの人はビアンカ派になりがち。

 

ところが、小春はかなり人気が高いヒロインです。

不利な状況を承知で、春雄を振り向かせようと頑張る姿が、すごく健気でした。

彼女のエピソードはとても応援したくなるものばかりです。

 

そうして形成される春雄・晶・小春の三角関係。

正直、作品を追ってる私としても、ヒロイン両方を応援したい・・・!

どのキャラも好きになる、ラブコメの王道な面白さがあります!

 

▼本当に小春もいいキャラをしているんですよ・・・頑張れ!

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◎ストーリー+キャラクター:ゲームに賭ける想いが、応援したくなる

本作のキャラとストーリーには、密接に「ゲーム」が関わっています

春雄と晶の趣味はゲームですし、彼らの出会いもゲームです。
2人が仲を深めていく過程も、ゲームを遊ぶ時間と共に描かれます。

 

彼らの芯には、ゲームがある。
これが、描かれるエピソードの説得力を生んでいるように思います。

春雄と晶は本気でゲームに取り組み、遊ぶ。
そんな時間を共有した2人ですから、そりゃ惹かれ合うよなと納得できる

それに、楽しそうに遊ぶ2人の姿を見ているだけで、どんどん応援したくなっていきます。

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◎ストーリー:長い年月が凝縮された濃い物語

この作品の舞台は1990年”代”と紹介しました。

実は、この作品は春雄の小学生時代だけでは終わりません
小学生より先がどんどん描かれていく、長い時間を扱っている点が特徴です。

 

そのため、色々なイベントが物語につまっている

普通のラブコメなら1度しか見れない、夏や冬のイベント。
更には、誰もが青春時代に経験したイベントなど・・・

様々なイベントをうまく活用して話が作られていました!

 

また、キャラの年齢が変わっていくからこそ描けるエピソードもあります。

無邪気な小学生時代から、思春期な季節へ。

時間とともに変わっていくキャラ達の距離感。
そして、それでも変わらないゲームへの愛がつなぐ関係性。

時間による変化をうまく使ったエピソードも秀逸です。

 

◎演出:ヒロインは語らない。だからこそ「ゲーム」が語る演出

ここからは演出面に移ります。

この作品の演出面での特徴は、大きく2点あります。

①ヒロインが喋らないからこそ、工夫された演出

②ゲーム愛にあふれた演出

 

まず一つ目。

キャラ紹介で書いたとおり、ヒロインの晶は無口で、作中では全然しゃべりません

ともすれば、何を考えているかわからず空気なキャラになってしまう。

 

しかし、この作品のすごいところは「しゃべらない」を逆手に取っているところ。
晶の心情を、視聴者に想像させる工夫を盛り込んでいる点にあります。

 

例えば、2話。
春雄と晶は、遠い街のゲームセンターに遠征に行く。

その帰り際、迎えに来た執事から隠れるように、晶が春雄の後ろに回る。
帰りたくないという心情が一気に伝わってきます。

これはわかり易い例ですが、他にも表情や画面の演出などで、晶の心情を想像させる工夫がつまっている。

見てる側が想像するからこそ、感情移入がすごい勢いで加速していく面白い作品でした!

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2つ目が、ゲーム愛にあふれた演出です。

このアニメのゲーム愛は、OPを見ればすぐに伝わると思います。

なんと、実際のゲーム画面がアニメーションに盛り込まれている
ゲームをパロった映像も作られています。

本編中にも、多用な作品のゲーム画面が盛り込まれている。しかも、BGMはゲーム音楽の名作曲家・下村陽子さんが担当。

ゲームファン的にはこれだけで感動ものです。

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ただ、この作品のゲーム愛はそれだけにとどまりません。

本編で春雄達がプレイするゲーム。

時には、そのゲームのシナリオやタイトルの持つ意味が、本編のエピソードと密接につながってくる
ゲームを用いた暗喩表現を巧みに使いこなしているんです。

 

この暗喩表現が、しゃべらないヒロイン・晶と相性が良い。
晶が語らない分、代わりにゲームが語りかけてくれます

 

ゲーム愛があふれており、作品の中でも上手くつながっている。

素直に上手い!と思える名演出だと思いました。

 

総評価と感想

ラブコメの王道とも言える面白さがつまった作品です。

更には、ゲーム要素により新鮮さも生まれている。

 

キャラデザにはクセがあるものの、沢山の人が楽しめる素晴らしい作品だと思います。

 

おすすめしたい人ですが、物語の舞台である1990年代を経験した方はきっと刺さります。

ゲームが好きな人にも、ゲーマーあるあるネタ等がはいっており楽しめるように思います。

 

ノスタルジーの感じる青春モノということで『からかい上手の高木さん』。

主流を外れたところに居るキャラたちのラブコメという点で『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』

などのラブコメ作品が好きな方にもおすすめできる、名作です。

 

評価(5段階・要素別)の理由

カテゴリ:ラブコメ

総評価:★★★★★(87点)


シナリオ:★★★★☆

山あり谷ありのメリハリの効いたシナリオ。

様々なイベントを使って、物語をドラマティックに描き出してる点が印象的。

キャラクターの心理描写も巧みで、それぞれの行動に納得感がきちんと生まれている。


キャラクター:★★★★★

それぞれが、様々な想いを抱えてゲームをプレイする。

題材としっかりと結びついたキャラ造形が秀逸。

サブキャラまで含めて、見せ場を上手く作っている点も上手い。


演出:★★★★★
(音楽:★★★★☆ 映像:★★★★☆ アイデア:★★★★★)

音楽はゲーム音楽らしさを残したものが、山場をしっかりと盛り上げる。

映像面は、3DCGであるながら、モデルに縛られない動作と表情を見せていて、丁寧さを感じる。

アイデア面はレビューの通り。ゲームを活かした演出の数々は素晴らしい。

 

 

ネタバレありで語りたい(ネタバレあり感想)

ここからは、肩肘張らずにネタバレありで感想を書き連ねます。

未視聴の方は、バックをお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想:1話~3話

小学生編、完!

 

晶と春雄が出会い、惹かれ合う過程、そして別れ。

綺麗にまとまった物語。
エピソードの一つ一つが甘酸っぱいのが印象的です。

 

中でも、自分が好きなのは2話の遠征。

晶をとりまく様々なしがらみ。そこから解き放たれた晶の表情が可愛すぎる!

春雄が自然体な生き方をしているからこそ、彼女を癒せたんだと思います。

夕暮れをバックに、コロッケをぱくつくシーンなんかはもう最高です。

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そして、遠征先で得た指輪が活きる第3話。

晶との別れに際して、自分に素直になれない春雄の心情が凄いリアル

思いも寄らない展開と自分の心に戸惑う彼の背中を押すのは、まさかのガイルのソニックブーム

 

ゲーム画面を用いた演出どころか、キャラまで登場させるとは・・・

作品のゲーム愛に脱帽です!

 

空港で、晶が初めて見せる泣き顔。
小学生であることの無力さや寂しさが爆発した姿は、とても刺さりました。

それでも、ラストシーンには救われます。

晶の左手薬指に光る、思い出の指輪。

この甘酸っぱさ・・・まさにラブコメでした!

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4話以降感想:後日掲載予定

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