2021年冬アニメの1話を見た上で、評価・感想とあわせて各作品の見どころ等を紹介します。
なお、記事は次のように構成しています。
①作品の期待度(1話視聴後の印象で判断)
②作品概要・あらすじ
③見どころ・感想・評価
※2018年秋~2020年秋クールの「1話視聴後評価」はこちらの『1話レビュー』からご覧いただけます
※ショートアニメ・女性向け・シリーズものは原則、対象外
2020年秋アニメ 期待度まとめ
※2021年1月19日更新
評価:★★★★★(必見・見ないと損)
該当なし
評価:★★★★☆(おすすめ・高評価)
裏世界ピクニック
バック・アロウ
ホリミヤ
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~
評価:★★★☆☆(相性がいいなら見ておきたい)
IDOLY PRIDE
俺だけ入れる隠しダンジョン
たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語
天地創造デザイン部
ワンダーエッグ・プライオリティ
評価:★★☆☆☆(様子見・化ける可能性は0じゃない)
オルタンシア・サーガ
怪病医ラムネ
ゲキドル
装甲娘戦機
弱キャラ友崎くん
評価:★☆☆☆☆(残念ながら1話切り)
蜘蛛ですが、なにか?
評価:★★★★★(必見・見ないと損)
該当なし
評価:★★★★☆(おすすめ・高評価)
裏世界ピクニック
【あらすじ】
「くねくね」「八尺様」「きさらぎ駅」……。
実話怪談として語られる危険な存在が出現する〈裏世界〉。
主人公の空魚は廃屋内の扉から〈裏世界〉を発見し、そこで鳥子と出会う。
鳥子は空魚に〈裏世界〉の探索の協力を依頼する。
探検と研究、そしてお金稼ぎのため、空魚は鳥子と行動をともにする。
非日常へ足を踏み入れた二人は様々な怪異と遭遇し、危険なサバイバルに挑んでいく。
【視聴後の感想と評価】
1話は裏世界にてくねくねをハンティングするお話が描かれました。
伝奇・怪談などがモチーフになっているという事で、そういった分野やSCPなどが好きな方には特に刺さりそうな作品。私はかなり気に入りました。
モチーフが怪談と来れば、やはり期待したいのはホラー的演出。
ホラー演出が光るのも今作の良いところだと思います。
「恐怖とは分からないこと」などと、言われたりしますが本作もそれを心得ている。
「一番やばいのは青くなった時」
というセリフには、裏世界の不可解さがよく演出されていてゾクゾクとしました。
それでいて、裏世界が恐怖の対象として描かれるだけではない所も見逃せません。
主人公は現実世界では少し浮いていて孤独を感じている。
だからこそ、日常の裏に潜む不可解な世界に親近感や期待感を覚えています。
そんなワクワクさが壮大な背景描写により描かれることで、見ている自分にも伝わってきました。
裏世界に行く方法がエレベーターの複雑な操作、というのも日常の横に裏世界がある感じがして良い演出です。
もうひとつ、キャラクターの組み合わせも良かった。
陰キャ頭脳担当な主人公と、陽キャ行動担当なヒロインというのは良いバディ感。
それぞれが影響を受けて徐々に変わっていく描写に尊みを感じます。
今後の期待点としては、モチーフとなる怪談の新鮮味のある掘り下げが見られるか。そして、キャラの描写がどのように行われていくかです。
気になる点は、物語の大目標がやや見えない点。ここが見えてくるかどうかにも注目です。
バック・アロウ
【あらすじ】
リンガリンド。その地は、壁に囲まれた世界。
壁がその地を覆い、守り、育み、育てる。リンガリンドにおいて、確かに壁は神であった。
ある日、リンガリンド辺境の地「エッジャ村」に記憶喪失の男「バック・アロウ」が現れる。
彼は自分が「壁の外からやってきた」ことだけはわかると言う。
記憶を取り戻すために壁の外を目指すアロウだが次第に、自身をめぐる争いに巻き込まれていく――。
【視聴後の感想と評価】
1話は記憶消失の少年、バック・アロウの登場が描かれました。
制作陣の個性が目立つ1話だったように思います。
谷口悟朗監督の『ガン×ソード』風の力こそ正義な雰囲気が目立つ世界観。
キャラの価値観がセリフに溶け込んだ中島かずきさんのセリフ回し。
東洋と西欧があわさった大高忍さんのキャラデザ。
それぞれの個性が発揮されていて飽きの来ない1話でした。
また、世界観の設定がシンプルに分かりやすいのも好きです。
キャラの信念がロボットの能力にそのまま影響する設定が分かりやすく、今後バトルが盛り上がるんだろうなぁと期待できます。
世界が壁に守られているという設定も、壁VS主人公という構図が容易に想像できるものでした。
作画については安定しているものの、まだ少しおとなしめな印象。
中島かずきさんの個性際立つセリフ回しに対して、『天元突破グレンラガン』などの映像と比べると少しパワー負けしているよう思うので今後に期待したいところ。
気になる点としては、ロボットのデザインがやや…かなりダサいところ。
見ていれば慣れるとは思うものの、今時点ではバトルシーンで若干首をかしげるデザインのように感じます。
見所としては、2大国と主人公勢の関係性。主人公勢と壁の外側の関係性。そして、そこにどのような価値観の対立が生まれてくるかだと思います。
冬、注目の1作になりそうです。
ホリミヤ
【あらすじ】
堀 京子は、美人で成績も良く学校ではクラスの中心的存在。
…だが、実は共働きの両親に代わり、家事や年の離れた弟の面倒に勤しむ家庭的な高校生。
ある日、ケガをした弟 創太を見知らぬ男が堀の家に送り届けに来た。
「堀さん」そう呼ばれ話してみると、実は彼はクラスメイトで――。
クラス1のモテ女子とネクラ男子が出逢ったら!︖
恋愛、友情。青春が詰まった超微炭酸系スクールライフ!
【視聴後の感想と評価】
1話はクラスの中心と周縁が出会い惹かれあい始めるストーリーが描かれました。
青春アニメを見たいなら「ホリミヤ」を見よう!
そう断言できる甘酸っぱさのある良い1話でした。
どこをとってもそつがない作品なのが印象的。
その中であえて一番良かった点を選ぶなら、それは演出です!
本作は青春アニメという事で、キャラの感情がよく動きます。
その感情の動きをダイレクトに演出で表現しているのが最高。
素晴らしい演出でどんどん感情移入することが出来ました!
例えば、クラスでは根暗な宮村くんが学校でその本性を垣間見せる。それを偶然目撃したクラスメイトが驚くというシーン。
服を脱ぐ⇒フェンスを越えると段階的にワイルドにすることで説得力を出す。
全体を映した後、一気にミドルショットに寄せることで目が合った驚きを表現。
更に、光や草の葉を散らし絵画のように情報量を多くすることでインパクトを増している。
いたずらに画面を豪華にするのではなく、キャラの感情の振れ幅により取り入れる演出の強さをコントロールしているのが非常に好きです!
シナリオ面で行くと、無駄がなくキャラ立てが上手いのが印象的。
1話の中盤でライバルキャラっぽく出てくる透というキャラ。
堀と宮村の関係を探り、宮村をけなす嫌なやつ…と見せかける。
しかし、すぐに内面をあけっぴろげにすることでギャップを作りながら良いやつであることを明らかにする。
どのキャラにも「こう見えるけど実は・・・」というギャップを作ることを丁寧に行っています。
また、好感を持てるような描写を素早くどんどん入れていくところも良かったと思います。
堀であれば、幼い弟を迎えに行く家庭的な所。
宮村であれば、子供の面倒見が良いところなど…。
気になるのは、ハイテンポで青春モノあるあるを消化しているのでこの先、どんなふうに話を落としていくのかという点です。
ともかく、青春モノが見たい人には絶対おすすめの1作です。
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~
【あらすじ】
「俺は、この異世界で本気だす!」
34歳・童貞・無職の引きこもりニート男。
両親の葬儀の日に家を追い出された瞬間、トラックに轢かれ命を落としてしまう。
目覚めると、なんと剣と魔法の異世界で赤ん坊に生まれ変わっていた!
ゴミクズのように生きてきた男は、少年・ルーデウスとして異世界で本気をだして生きていく事を誓うー!
ルーデウスを待ち受けるのは、ロリっ子魔術師、エルフ耳のボクっ子幼馴染、凶暴ツンデレお嬢様、そのほかの様々な人間との出会い。
そして過酷な冒険と戦い。新しい人生が動き出す!
【視聴後の感想と評価】
1話は引きニートが異世界に転生し、本気で生きることに目覚める話が描かれました。
1話から感じる熱量の大きさ。
「これは本気のアニメ化だな」と分かる良作だと思います。
まず、とにかく映像が丁寧です。
背景が綺麗。
キャラの動きの面白さ。
表情の豊かさなどなど。
どのシーンを切り取っても見応えがある映像ばかりで引き込まれます。
そして、丁寧なだけでなくインパクトのあるシーンの良さが見逃せません!
1話のハイライトはやはり、主人公が中級魔法を使うシーン。
渾身の回り込み作画からの、エフェクト増しましな水球。
効果の大きさを表現する村人のセリフと壁に開いた大穴。
しっかりと魔法の凄さが伝わる名シーンでした!
地味な展開でも画面を見てもらえるように散りばめられた創意工夫も見所でしょう。
1話は魔法の設定解説のシーンが多めでした。
ここを飽きさせないよう、例えば下のシーンでは画面中央の馬の顔を動かすことで面白さをつけている。
違うシーンでは父母のお熱いセリフをバックにモノローグを行っている。
そういった工夫で画面に引き込んでいく点に熱量を感じます。
一方で、なかなか感想が難しいのがキャラ設定とシナリオの部分です。
1話は要約すればニートが本気で生きようと決心する話。
だからこそ、ニートで落伍者であるということの説得力を増すために、主人公は気持ち悪くなくてはならなかった。
そこは理解できますし、成功していました。
杉田智和さんの演技が気持ち悪さに面白みを加えていたのも良い。
気持ち悪さVS面白さの熱い戦いが見れて充実感があります。
ただ、やっぱり気持ち悪いんですよね、主人公。
ここが今後、どのように転んでいくかが本作の最大のリスクであり見所だと思います。
▼でもロキシーは可愛いと思います。似たキャラを演じた経験もある小原さんの演技も合っていました
シナリオ面については1話は正直、普通のなろうです。
転生⇒魔法設定開示⇒すげえ⇒ヒロイン登場。
いつものやつです。
シーンというレベルで見ると少し面白い部分はありました。
魔法訓練のシーンでお母さんが育てた木というエピソードを入れてきた点は技術を感じます。
あとは、無職が頑張ってギャルゲ知識を使ってロキシーを励ますというのはアイデアだと思います。
無職なりに異世界で本気で生きようとする覚悟をこういう形で描写するのは、この作品ならではで好感。
映像や演出は文句なしに完璧。
だからこそ、シナリオとキャラの描写がどのようになるかで大きく作品の価値が変動するように思います。この先の展開に期待です!!
評価:★★★☆☆(相性がいいなら見ておきたい)
IDOLY PRIDE
【あらすじ】
星見市にある小さな芸能事務所、星見プロダクション。
そこから華々しいデビューを飾ったアイドル・長瀬麻奈は、またたく間にアイドルランキング・VENUSプログラムを駆け上がった。
数年後、星見プロダクションは新たなアイドルを見出すオーディションを開催。
そこへ現れたのが、麻奈を姉に持つ長瀬琴乃と麻奈そっくりの歌声を持つ川咲さくらだった。
やがてアイドルとして羽根を広げる彼女たちの前に様々なライバルたちが現れ、プライドを胸に競い合う。
麻奈を取り巻く様々な思いが錯綜する中、アイドルたちは最高峰を目指していく。
【視聴後の感想と評価】
1話はプロデューサーの過去をたどっていく構成となっていました。
しっかりとしたアイドルものを作ろうという意気込みが伝わってくる。
だからこそ求めるハードルが上がってしまう作品のように感じました。
アイドルものは個人的に好きなジャンルなので少し長めに書いていきます。
まず、良かった点。
作画は安定傾向にありました。
撮影効果も適度につけられていて、情報量の多い映像です。
全編通してキャラの描写に崩れはなく、OPのダンスも非常に高クオリティ。
なるべく手書きの良さを出そうとするライブパートは脚本家さんの関係もあり、アニメ『THE IDOLM@STER』を思い出します。
1話のシナリオにメリハリが効いていたのも好感です。
スターダムを駆け上がっていく過程と青春の瑞々しさ、そして悲劇・・・。
思わずプロデューサーへの感情移入を誘われました。
設定面では「ヴィーナスプログラム」というアイドルの評価システムを入れたのは分かりやすくて好きです。
抽象論になりがちなアイドルものに対立軸を入れやすくする設定としては最適解のように思います。関係する脚本家さんがアイドルものを多く手掛けられている経験値を感じました。
一方で惜しかった点もいくつか。
まず、シナリオ面は麻奈の描写が物足りない。
具体的には、トップアイドルとしての強さとプロデューサーへの想いの部分です。
トップアイドルの強さという点では、ライブパートが残念ながら割愛されていたのでその凄さが伝わってきませんでした。
特にライブパートを割愛したのは本当に残念です。1話全体でヴィジュアル的な見せ場が乏しい内容となっていたので、演出的な掴みの意味でもここは描いて欲しかったなぁと思います。
また、細かい点で言えばタクシーの前でプロデューサーと良い雰囲気を出しちゃうのはアイドルとしての自覚が足りないように見えました。
後者のプロデューサーへの想いの部分。
ここは意図的に伏せているんだと思いますが、麻奈がプロデューサーをどうして芸能プロに引き入れたのかの部分が描かれていないので感情移入が進みませんでした。
幽霊設定が実はプロデューサーの心の問題で、この点を今後の展開に使用してきたりなんてするとこの描写も納得は行きますが…。
セリフ回しと掛け合いに個性が少なめなのも気になりました。
プロデューサーの「自分はいつもここまでしか来れない」というセリフはとても良かったです。
しかし麻奈のセリフでは刺さるものがなく、人となりが伝わってきませんでした。
今後、大勢のキャラを立てなければいけないことを考えると不安材料のように思います。
あとは麻奈役の方の演技。
かなりアニメチックなキャラクターにもかかわらず、声が作りきれていないように思います。
この点がキャラに違和感を生んでいるように思います。挿入歌は聞きごたえがあったので一長一短ですが。
ここまで見てきて、厳し目に期待度は星3としています。
ただ、力の入った作品であることは間違いありません。
アイドルものはシナリオと調和した最高のライブパートで1度殴られれば一気に評価が上がるので、そこに期待していきたいと思います。
俺だけ入れる隠しダンジョン
【あらすじ】
稀少な魔物やアイテムが大量に隠されている伝説の場所――隠しダンジョン。
就職口を失った貧乏貴族の三男・ノルは、幸運にもその隠しダンジョンの入り口を開いた。
そこでノルは、スキルの創作・付与・編集が行えるスキルを得る。さ
しかし、そのスキルを使うためには、「美味しい食事をとる」「魅力的な異性との性的行為」などでポイントを溜めることが必要で……?
【視聴後の感想と評価】
1話は隠しダンジョンに出会った主人公の成長体験が描かれました。
正直、シナリオは全く面白くありませんでした(直球)。
壁をサクサク乗り越えて俺つええええするいつものやつです。
主人公のスキルの見せ場の作りやすさは設定として良かったとは思います。
一方で、星3評価としたのは次の観点。
「作品全体として需要に応えているか」
ここの完成度がとても高いように思えました!
まず、なろうに求められる主人公の無双感とその新鮮味。
ここは先ほどのスキルの万能性によって担保されています。
次に、チーレムモノとして大事なヒロインキャラの可愛さ。
ここが一番こだわられているように思います。
まず、メインキャラのエマに幼馴染・巨乳・金髪サイドテールという超鉄板な属性を持ってきていました。
献身的な所もあいまり、手堅い可愛さだったと思います。
更に、スキルと生命力という設定を用いてお色気シーンを多く作っている。
ラッキースケベではなくキャラが能動的にお色気シーンを作りに行くこととなる設定は、話に真剣みが増し良い設定です。
最近では『ド級編隊エグゼロス』が似たような設定を組んでいます。
そして作画に大きな崩れもないので、安心して可愛さを堪能できるものとなっていました。
EDを見る限り極端にキャラクターが増えるわけでもなさそうなので、雰囲気が大きく分かることもなさそうです。
気楽に見れる・チート設定・ハーレムモノ。
この手の鉄板作品が好きな人には安心してみられる1作となっているように思いました。
たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語
【あらすじ】
都会から遠く遠く離れた村で暮らす少年・ロイド。
軍人になる夢を抱く彼は何を隠そう「村で一番弱い男」。
やがてロイドは夢を叶えるため、王都へと旅立っていきました。
しかし、彼を含む村の人々はある重大な事実を知らなかったのです。
自分たちがかつて世界を救った英雄の末裔で、全員が人間離れした力を持っていること。
そして「村で一番弱い」ロイドも一般的には常識外れに強いことを……。
【視聴後の感想と評価】
1話は、ラストダンジョン前から来た少年に翻弄される人々を描いていました。
あらすじの通り、設定は直球のなろう系。
自分は苦手とするジャンルなのですが、今作は工夫点が多く期待できる作品のように感じました。一言でいえばシンプルイズベストな作品です。
まず、シナリオ関係。
キャラ造形がシンプルながらも属性が適度に多くギャップもあり、しっかりしています。
呪いをかけられていたが主人公に助けられヤンデレになる姫様。
冷たく見えて実は面倒見の良い魔女。
見ていて掛け合いが楽しかったです。
シナリオのフリとオチがちゃんとしているのも特筆ポイント!
モブの会話や最低限の過去回想でその後の展開を暗示するのが上手い。
1話ラストの展開も良い引きになっておりその後が気になります。
演出面も適度にしっかりしています。
回想シーンに凝った映像効果をつけて飽きさせないようにしているのが好感。
特によかったのは効果音関係。
主人公のバトルシーンに重厚な音をつけることで強さをわかりやすく表現していました。
それでいて、日常シーンでは軽快な優しげな音を多く使っており、主人公の強さと優しさのギャップという魅力がよく伝わってきました。
気になったのはラスダン設定の見せ方。
今のところは、新鮮味がない。
「こいつすげえええ」となるような驚きは生まれていないので、今後に期待です。
▼試験でなろうらしい展開を見せてくれることに期待
天地創造デザイン部
【あらすじ】
天地を創造した万能の神が、地上の生き物を造ることが面倒になり下請けの天地創造社に依頼。
神様との連絡役である天使や、デザイナー・エンジニアたちが、日々模索、奮闘しながら生き物たちを生み出す過程を描いた“生き物創造お仕事コメディ。
【視聴後の感想と評価】
動物を創るデザイナー天使たちの仕事風景を描く1作。
発想で勝負あったという印象で楽しく見れました!
理系な視点から動物をこういうふうに作るとこうなると試行錯誤していく流れは斬新で面白い。
例えばペガサスが実際に居たら重力に負けるというくだりは納得感があり「空想科学読本」を見ているような楽しさがありました。
登場するキャラ達の個性もデザイナーらしいこだわりがあり良い。
味にこだわる人、かつての成功にこだわる人、可愛さにこだわる人など。
キャラの価値観の違いから様々な動物が生まれていく流れが作品自体の個性を際立たせています。
動物への愛が感じられるのも好印象です。
間に挟まる現実の動物紹介コーナーや、OPの躍動感あふれる動物の描写にこだわりが見られます。
惜しいのは尺を持て余しているように感じた所。
発想は良いのですが、キャラの変化といった物語性のある作品とは言い難いため展開に変化がつけにくい。
30分は少しオーバーな尺で、半分くらいでもよいのかなぁという感想を持ちました。
ワンダーエッグ・プライオリティ
【あらすじ】
14歳の少女・大戸アイは、深夜の散歩の途中で出会った謎の声に導かれ、「エッグ」を手に入れる。
「未来を変えたいなら」「今はただ選択しろ」「さぁ、自分を信じてー」「エッグを割れー」
「エッグ」を割った先で、アイを待つものとは……。
【視聴後の感想と評価】
1話は主人公が謎の声に導かれてエッグを割る力を手に入れる姿が描かれました。
アニメの文脈を用いて、アニメの領域外の物を描く。
そんな挑戦的なものを感じる一作だと思います。
まず、映像については文句なしに高品質です。
特に良かったのは動作が丁寧なところと小物による暗喩が効いている所。
例えば後者については、下のカットでは散った花と祭儀場を思い起こさせる飾り花で人の死をセリフの外で表現しています。
言葉にすると安っぽくなるところを、上手く心に訴えかける映像となっているように感じました。
先述のアニメの文脈という話に移ります。
まず文脈ですが、本作は魔法少女モノの文脈に沿っているように思います。
主人公を導くマスコットキャラ(虫ですが)。
不思議な力に目覚める主人公。
敵を倒すことが主人公の望みの実現につながる。
ここら辺はアニメでよく見る設定の羅列でわかりやすい。
一方で、描かれているのは「見て見ぬふり」。
現代社会の同調圧力とそのひずみが問題提起されていて、社会派っぽい仕立てとなっている。
ここは、アニメでよく見るテーマ設定ではないように感じ、新鮮でした。
見て見ぬふりを、女の子のいじめと自殺という側面から描く。
しかし、アニメのフォーマットで生生しさだけでなく抒情的に魅せる。
こういったところは挑戦的で面白い試みだと思いました。
と、ここまではベタ褒めなのですが、問題はじゃあそれがエンタメとして好きになれるかという所。
個人的にはここが気になるところで…。
キャラデザ・キャラ設定・テーマ設定・「とさかに来たぜ」という決めセリフ。
こういった点が何処となく噛み合っておらず、キャラを好きになれる自信がイマイチ無い。
重い設定・運命と立ち向かうという点や文脈の部分では『魔法少女まどか☆マギカ』が本作と似ています。
ただ、同じく重い作品であるまどかが成立していたのは、キャラが愛されるという推進力があったからこそだと思います。
▼本作のヒロイン枠?目立つ個性が見えてくるかどうか
きっと本作はテーマやその描き方は面白くなる。
だからこそ、本当の見所はキャラをアニメ的に好きになれる仕組みがあるかどうかにかかっているように思いました。
評価:★★☆☆☆(様子見・化ける可能性は0じゃない)
オルタンシア・サーガ
【あらすじ】
聖王暦767年12月5日。
オルタンシア王国に対し、属国・カメリア公国が突如反旗を翻した。
カメリア公国の反逆、そして反乱と時を同じくして現れるようになった魔物たち。
長らく平和な世の続いたオルタンシア王国に混迷の時代が訪れようとしていた。
戦乱の世で、様々な運命に翻弄されていく騎士たち。
悲劇から始まった宿命の継承と戦いが、動き出す。
【視聴後の感想と評価】
1話は主人公が戦乱に巻き込まれるまでを描いていました。
物語の流れは『ファイアーエムブレム』シリーズを思い出させる貴種流離譚のようなものとなっています。
(ジェイガン枠も初期パーティーに居る徹底ぶり。)
シナリオは良く言えば王道、悪く言えば既視感の塊です。
王道と既視感を分けるポイントとして、個人的にはキャラの掛け合いで新鮮さが生めているかという点が重要だと思います。
その点、本作は掛け合いがかなり真っすぐすぎる。
心情をシンプルにしゃべらせているので予想を超えてくるものがない。
キャラ造形も一昔前のシンプルなもの。
そもそも、「戦記」を描く構成となっているのでキャラの焦点がややぼやけている。
総じて、1話ではかなり退屈な印象を受けました。
良かった点としてはキャスト陣が豪華な所でしょうか。
主役級・ベテランな声優さんが多く、隙が無い演技になっていました。
作画も安定傾向のため、シンプルなファンタジー戦記モノが見たい方には刺さる作品のように思います。
怪病医ラムネ
【あらすじ】
人に心がある限り、悩みを抱える者がいる。
そこに“怪”が入り込み、身体に奇妙な症状を引き起こす。
“怪病”と呼ばれるその病は、人知れず、だが確かに存在している。
現代医学では治す手立ての見込めないその病に、弟子と共に立ち向かう医者がいた。
その名はラムネ。
風貌は決して医者には見えず、どんな時も自由にふるまい、さらに口まで悪い。
けれどひとたび怪病に向き合えば患者たちが心の底に隠していた悩みの原因を、瞬時に暴いて治療する。そしてその先には――。
【視聴後の感想と評価】
1話は涙が調味料になる少女を救うラムネ先生の姿が描かれました。
設定やテーマ性は刺さる作品でした!
心が弱ったものに忍び寄る怪異。
怪異による変わった病を治す怪しげな先生。
『XXXHOLiC』を思い出すような設定ですが、人情話を面白く描けるので結構好きな作風です。
ただ、このような作品は描き方のセンスが問われるところが強い。
その点、今作はちょっとその設定を消化しきれていないかなぁと感じました。
まず気になったのは、1話の感情と調味料という見立ての部分。
正直、分かるんだけど、分からない。
イマイチ二つを結び付ける所がピンと来にくい。
次に、その涙が調味料になる病気の描き方と治し方の部分。
ここも捻りがない。
折角の珍しい病気という設定が、あまり面白さにつながっていない。
最後に、病気のオチの部分。
ここが一番よくないのですが、結局、ラムネ先生が全て解決しちゃっているように見えてしまう。
こういう作品の医者は目立ち過ぎてはいけないと個人的には思います。
もっと、患者さんの選択が目立つ構成であってほしかったと感じました。
総じて、設定を活かすような描写となっていないのが残念に思った部分です。
キャラクター面では、主役二人が自分にはあまり合いませんでした。
特にラムネ先生の「普段はおちゃらけているけど本当は真摯に怪異に向かい合っていて、視野が広い」といった感じ。
造詣自体は好きなのですが、おちゃらけパートが滑り倒しているのと真面目パートでもあまりカッコいいセリフがないので刺さりませんでした。
主役二人のパートナー感など、キャラが深掘られてくればもう少し見やすい作品になってくるかもしれません。
ゲキドル
【あらすじ】
謎の災害・世界同時都市消失から5年。
世界は混乱の中にありながらも、少しずつ復興を遂げようとしていた。
そんな世界で新たに生まれた舞台芸術があった。
3Dホログラムを用いた「シアトリカルマテリアルシステム」を使った演劇。
そこには、演劇に魅せられ光り輝くステージを目指す少女たちがいた。
それぞれの思いを胸に、今、ステージの幕が上がる。
【視聴後の感想と評価】
1話は主人公が憧れをきっかけに一歩を踏み出し、劇団に入るというものでした。
やりたいことや着想が魅力的なだけに惜しい…そんな印象です。
まずシナリオについては中身が充実した内容だったと思います。
プロローグの劇中劇と荒廃した街の描写。
主人公の天才さと弱点の描写。
有名なシアターと弱小シアターの対立などなど。
物語を盛り上げそうな題材が上手くまとめられていてワクワクします。
ただ、致命的なのは各シーンにインパクトがないことです。
演出面は少ないリソースなのが伝わってきてしまう作り…。
肝心のライブパートが定点カメラとのっぺり背景。
動きも何とか動かしているといったレベル感。
現在のトップクラスの作品と比較してしまうと、どうしても見劣りしてしまう。
劇やライブを取り入れた作品は、劇が完璧でなければ作品全体の説得力が大きく下がってしまうだけに、かなりの弱点になると感じました。
見所としては、どこまで劇というテーマを掘り下げられるか。そして、劇パートを魅力的なものにできるかといった部分のように思います。
装甲娘戦機
【あらすじ】
日常を奪われ、その肢体に戦術兵器を纏う5人の少女――〝装甲娘〟たち。
選ばれし転移者である少女たちの使命は、多元世界をまたいで蝕み増殖し続ける金属生命体・ミメシスの掃討と殲滅。
時空を超えて強いられた傭兵暮らし、それは世界の「希望」と「絶望」とを垣間見る命がけの修学旅行だった!
【視聴後の感想と評価】
1話は主人公が異世界転移し、戦いに巻き込まれるまでが描かれていました。
ロボットコスの女の子が戦う映像作品としてみれば悪くはないと思います。
そのくらい、映像のレベルは良い品質。
特にバトルパートはよく飛びよく跳ねる、賑やかな映像となっていました。
不意をつかれるようなシーンでは緊張感も生まれるコンテとなっていて見応えがあります。
EDが田中秀和さん作曲という事で、ポップで可愛らしい曲調な良曲だったのも見逃せません。
しかし、それらを帳消しにするくらい脚本がよく分からないのが今作の大きなマイナスポイント。
主人公が戦場をVRゲームと勘違いして暴れ、味方にフォローされるという面白くない展開を何分も引っ張る。
ロボットの変身シーンに尺を何分も使う。
異世界転移という急展開にフリが全くない。
など、物語に視聴者を引き込む工夫が少なく残念な出来でした。
シナリオに何らかの軸が生まれて持ち直せば面白くなるかもしれません。
弱キャラ友崎くん
【あらすじ】
友崎文也は、日本屈指のゲーマーながら現実ではぼっちな高校生。
“人生はクソゲー”だと言い切る彼が出会ったのは、学園のパーフェクトヒロイン・日南葵だった。
「この『人生』というゲームに、真剣に向き合いなさい!」
そう言い切る日南の指導のもと、弱キャラ高校生の人生攻略が幕を開ける!
【視聴後の感想と評価】
1話は友崎君が運命の出会いを果たして人生というゲームに挑んでいくまでが描かれました。
ラノベを工夫せずにアニメ化するとこうなるという見本のような作品でした。
本当に1話からモノローグが多すぎる。
否応なしに主人公と読者が同一化することとなるラノベと違い、客観的にキャラを見ることになるアニメでこれをやられると共感がしにくくなります。
更に本作の価値観が独特のため、その悪いところがより際立ってしまっていました。
価値観については「人生をゲームとして捉える」というのは何とか受け入れられます。
ただ、高校生の生活がゲームを中心に回っている本作の世界観はそのままではかなり浮いていて厳しく感じられました。
キャラデザや作画は大分よいと思います。
本作の肝の一つとなるであろう、姿勢や表情の変化をきちんと表現している点。スマブラのコンボ抜けといった動作を映像に落とし込んでいる点などは好ましく思いました。
EDもシュガーソングとビターステップを思い出させる曲調で良い。
今後としては、主人公とヒロインの価値観に共感できるような工夫が生まれてくるかどうかがポイントになってくるように思います。
評価:★☆☆☆☆(残念ながら1話切り)
蜘蛛ですが、なにか?
【あらすじ】
女子高校生だったはずの主人公<私>は、突然ファンタジー世界の蜘蛛の魔物に転生してしまう。しかも、生まれ落ちたのは凶悪な魔物の跋扈するダンジョン。
人間としての知恵と、尋常でないポジティブさだけを武器に、超格上の敵モンスター達を蜘蛛の巣や罠で倒して生き残っていく……。
種族底辺・メンタル最高女子の迷宮サバイバル開幕!
【視聴後の感想と評価】
1話は主人公が蜘蛛として転生し何とか生き残る様子が描かれました。
かなりきつい1作。
そもそも蜘蛛というビジュアルがかなりきつい。
それに耐えつつ本篇を見ると更に内容もきついという二段構え。
微妙ななろう系に見られる、話が進まない、紋切りセリフ、キャラが痛いの3重苦によるダメージが蓄積していきます。
また、なろう系あるあるをボケのネタとして使っていますが、ボケとして成立するほどなろう系に好感を持っていません。
EDの謎のテンションにもちょっとついていけず共感性羞恥が刺激されます。
総じて視聴はかなりキツイ内容でした。