ゲーム『新サクラ大戦』をネタバレなし評価(未プレイの方向け)とネタバレあり感想(プレイ済みの方向け)でレビューしていきます。
・記事作成時のプレイ時間:約30時間(クリア済み)
・管理人はサクラ大戦シリーズ未プレイ
・アニメ版1話の感想を下記の記事へ書きました。興味のある方は御覧ください。
おすすめ度:★★★☆☆(65点)
一言感想:新世代ギャルゲーの到来。「ヒロインたちと過ごす」という感覚を味わえる1作
要素別評価(5段階)
カテゴリ:アクション・ギャルゲー
総評価:★★★☆☆(65点)
シナリオ:★★☆☆☆
キャラクター :★★★★☆
システム:★★★☆☆
演出 :★★★☆☆
(音楽 :★★★★☆ 絵・グラフィック :★★★☆☆ アイデア:★★☆☆☆)
※要素別評価の理由は、ページ下部に記載しています。
『新サクラ大戦』レビュー「ヒロイン達と過ごす、太正ロマンと戦いの日々」
これこそが、新時代のギャルゲー!
新しい時代の到来を予感させる作品です。
今回紹介するのは、『新サクラ大戦』。
いわずとしれた名作シリーズ「サクラ大戦」。
『サクラ大戦V』から数えて、14年ぶりにその新作が発売されました。
旧作ファンも、新しく興味が湧いたプレイヤーも遊べるように作られたという今作。
私はシリーズ未経験。
プレイ前、サクラ大戦については、旧作のキャラや主題歌くらいの知識しかもっていませんでした。
ですが確かに、シリーズのつながりがあまり強調されないのでそれほど違和感はなく、サクラ大戦の世界観に入っていくことが出来ました。
▼例えば、シリーズのお約束「勝利のポーズ」は健在。ただ、受け入れやすいように表現は工夫されています
では、今作が万人におすすめできるかと言われると・・・ちょっと厳しいです。
まず、シナリオがお世辞にも褒められたものではない。
続いて、今作はギャルゲー風のアドベンチャーパートとアクションパートで話が進んでいきますが、アクションパートの出来もひどい。
これで、かなり間口が狭くなります。
ただ、光るところもあるんです。
アドベンチャーパートで体験できるヒロインたちとの会話は新感覚!
ヒロインたちと日常を過ごすというのはこういうことなんだと、感動を覚えました。
ギャルゲーに抵抗がない人には、是非プレイしてほしい面白いものになっている。
このように、かなりクセのある作品となった今作。
ここからは、各内容を更に掘り下げて本作を紹介していきます。
×シナリオ:フリのなさが致命的、全てが唐突
まずは、シナリオから紹介していきます。
本作のあらすじは、次のような感じです。
世は太正時代。
エリート士官である主人公の神山が、新たに配属となったのは大帝国劇場。
命じられたのは、表では歌劇で、裏では戦いで東京を守る少女たちの部隊「帝国華撃団」の隊長になることだった。
かつての栄光も虚しく、解散の危機にある「帝国華撃団」を神山は立て直すことが出来るのか?
神山が立て直しに奮闘する中、東京では数年に1度の華撃団の祭典「世界華撃団大戦」が開かれようとしていた・・・。
話の進み方は、次のような感じです。
・各キャラのお当番回→華撃団大戦でのライバルチームとの試合の繰り返し
・時々、夜叉という前作のヒロイン風なキャラに関連するエピソードが挿入
全体を通して、雰囲気自体は悪くありません。
暗すぎず、能天気すぎず。
適度なトラブルが続いていき、中だるみはなくテンポ自体は良かったと思います。
▼各国の華撃団が集い、競う華撃団大戦。スカウトしたくなるくらい可愛いキャラばかり
そして、プレイした感想としては・・・シナリオは残念な出来。
全体的に、描くことが多すぎて消化不良になっています。
意味ありげな設定がもったいない形で、あまり生かされずに使われていく。
私が一番気になったのは、とにかく見せ場となるシーンに”フリ”がないこと。
要所要所で描かれるキャラのかっこいいセリフやシーン。
主人公の神山がヒロインたちの悩みを解消する。
そんな見せ場自体は、目新しさはないですが手堅いものです。
しかし、見せ場に至るまでのフリがとにかく無い。
フリがないから、共感ができないんです。
ヒロインの悩み、主人公のセリフに込められた思いや覚悟も、伝わってこない。
▼セリフ自体はかっこいい。しかし背景が見えないので響かない
作品から離れ、フリのなさについて具体的なイメージを。
有名な漫画『NARUTO』に螺旋丸という技があります。
主人公ナルトの必殺技であり、かっこいいBGMと共に描かれる作品の代名詞です。
ただ、この螺旋丸が印象に残るのはちゃんとしたフリがあるからです。
魅力的な師匠との修行や、お父さんの考案した技であるというエピソード。
ナルトという名前との親和性など。
こういう印象に残すための前フリが、新サクラ大戦には圧倒的に足りませんでした。
ナルトが修行もなく、突然覚えた螺旋丸で敵を倒すだけのシナリオが展開されていきます。
×シナリオ:命を軽んじる雰囲気
もう一つ気になったのは、「作品全体に命を軽く扱っている」節が見られること。
キャラ自体は「命を大切に」的なことを言う。
ただ、ライターは本当にそう思っているのかな?と疑問の浮かぶ展開が続きます。
倫理観に欠けるセリフや展開が多い。
そもそもサクラ大戦といえば、ゲキテイで大神隊長の叫ぶ「全員、必ず帰還せよ」というのが作品の一つの名セリフのはず。
その作品でこういう雰囲気を生み出してしまうのはちょっと致命的だと思います。
ちなみに・・・更に悪いことに先述した”フリのなさ”と命を軽んじる雰囲気は、合体します。
感情の動きは丁寧に描かれない。更に、倫理観に欠ける脚本。
結果、特定のキャラは上手く行かないとすぐ暴力に頼る、サイコパスめいたキャラと化していました。
◎キャラクター:ギャグもシリアスもいける濃い主人公とヒロインたち
シナリオはちょっと擁護できないので、良いところに目を向けましょう。
メインキャラたちは非常に良いキャラたちだったように思います。
どのキャラも、自分の個性を全面に出したギャグをこなせる懐の深さがありました。
私のお気に入りは、主人公の「神山」。ヒロインでは「さくら」と「あざみ」です。
▼神山とさくら。幼馴染ならではの息のあったノリを見せてくれる
まず、神山。
熱さと誠実さ、そして少しのスケベさをあわせ持った良い漢です。
基本的にはまっすぐにヒロインたちと向き合い、一緒に成長しながら立派な隊長になっていく。
立派な隊長になりながらも、風呂のぞきはしっかりとするという隙もある理想の主人公でした。
CVの阿座上洋平さんの演技も、信頼感のある声をしていてよかったです。
▼スケベさが出たときの純真な目が好印象な神山隊長。いいキャラでした
続いて、さくらはシンプルに可愛い。
正統派ヒロインで、主人公の幼馴染という鉄板なキャラ。
さくらから神山への好感度は最初からかなり高いのですが、更にそれがどんどん高まっていき限界を超えていく。
主人公になつく姿がグッと来る、子犬系な可愛さがありました。
CVの佐倉綾音さんの演技も可愛い。
『ご注文はうさぎですか?』のココアと『僕のヒーローアカデミア』のお茶子の中間といった演技だったように思います。
▼可愛さと芯の強さ。そして「真宮寺さくらのようになる」という夢へのひたむきさが魅力なヒロイン
最後に、あざみ。
太眉ロリ忍者という数多の属性を背負ったキャラクター。
プレイ前はあまり印象は良くなかったのですが、プレイ後はかなり好きになりました。
忍者という生き方への想いの強さと、子供らしい素直な一面。
2つのギャップにズサズサと刺されました。
ただ、アニメーションパートの眉の描き方はちょっと太すぎる。
この眉は愛しにくいので、TVアニメでは修正をお願いしたいです。
▼強い子だけど年相応。あざみは可愛い
◎演出:動きと表情が豊かな新時代のギャルゲー
さて、この作品最大の魅力はずばり、「キャラの動きの多さ」に集約されると思います。
ギャルゲーといえば、静止画が基本。
表情の差分をいくつ描いたとしても、静止画です。
ところが、今作はとても動く。普通のRPGより更に動く。
まず、表情がとても豊か!
ころころ変わる表情が見ていて飽きません。
怒る・笑う・泣くというデジタルな表情ではなく、それらの中間がしっかりと感じられます。
▼静止画では伝わりにくい、動きの凄さ。体験版やPVをおすすめします
そして、モーションも豊富です。
会話パートでじっとしている姿は1秒もありません。常に、動き続ける。
本当にキャラが生きて会話をしているような身振り手振りは、新鮮でした。
こんなギャルゲーをもっとプレイしたい。
心からそう思う演出でした。
だからこそ、以下の2点はとても惜しい。
一つは、3Dモデリングがこなれていないこと。
モデリングは全体的に固く、デザインのもつ可愛さや質感が再現されきっていないように感じます。
よく言うと、愛嬌がある顔みたいな印象。
正直、この作品の魅力を3割ほどここで損ねていると思います。
もう一つは、フルボイスでないこと。
フルボイスでないのに身振り手振りだけはしっかりとしているシーンは、若干不気味です。
サイレント映画を見ているような不思議な感覚になります。
次回作があるならば、ぜひとも修正してほしい点です。
▼誰とは言わないのですが、モデリングさえ良ければ・・・というキャラが居たのも事実です
◎演出:アニメーションパートの連打
もう一つ、演出面で良かったのはアニメーションパートの多さです。
大事なシーンは、アニメーションで描かれる今作。
その回数の多さは、特筆すべきポイントです。
TVアニメ化が決まっているからこそ、スタジオと連携ができたのかも知れませんが、ここについては満足感がありました。
○演出:サウンドの豪華さはすごい。ただし・・・
サクラ大戦の華といえば、歌とBGMでしょう。
シリーズを担当された作曲家の田中公平さんが続投されているので、今作もクオリティは高い。
主題歌のゲキテイを聞けば分かる通り、シリーズのオマージュとなるメロディも多用されていて楽しく聞けました。
CVの早見沙織さんの卓越した歌唱力や、山村響さんのあざみの可愛さを活かした歌声も必聴の出来です。
ただ、惜しいのは曲の種類が少ない所。
盛り上がるシーンではゲキテイ、悲しいシーンではこの曲といったように、同じ曲が多用されるので演出に慣れてしまうように感じました。
○システム:アドベンチャーパートは満足!
システム面に目を向けると、アドベンチャーパートは満足感がありました。
先述した、表情等の豊かさが大きいと思います。
それ以外にも、選択肢の豊富さも面白い。
ヒロインたちから会話の節々で求められる神山のリアクションを、プレイヤーが選んでいく。
その回数が半端じゃなく多く、実際に会話している気分が味わえます。
また、単調にならないよう選択肢を選ぶ際には時間制限が設けられており、適度な刺激を味わえます。
選択肢の結果も笑えるものが多く、選ぶ楽しみがありました。
ただ、真面目なシーンでふざけ過ぎている選択肢が散見されたのはマイナスポイント。
オンとオフのメリハリが感じられませんでした。
また、移動にショートカットがないのもちょっと辛い。
ヒロインに会うため、銀座の街を奔走する神山を動かすのは最初は楽しいのですが、中盤からは飽きます。
◎システム:コミュニケーションパートは大満足!
ヒロインの好感度を上げるとたどり着くのが、コミュニケーションパート。
ヒロインの目や髪を褒める。
部屋の置物を褒める。
などなど、ヒロインに関する豊富な選択肢を選び、ヒロインと更に距離を縮められるのがこのパート。
自由度はそこまで高くありません。
しかし、選んでみたい選択肢が多いのと、それに対するヒロインのリアクションが非常に可愛く満足感がありました。
普段は距離をあまりつめてこないヒロイン達が一気に距離をつめてくる、楽しいパートです。
▼あ、これギャルゲーだと再認識するパートでした。可愛い
×システム:アクションパートは最低の出来
SRPGからアクションへ。
サクラ大戦のお約束を大きく打ち破ったこの変化。
結果は・・・ダメダメです。
ゲームデザインをした人は、楽しいアクションゲームを遊んだことがあるんでしょうか。
一言で言えば、爽快感がなく単調。
ゲームを進めても新たなモーションの解放は一切ないので、間違いなく飽きます。
敵も無駄に硬い。
操作キャラごとの個性の無さもひどい。遠距離か近距離か。それ以外の個性は感じられません。
総括して、質の悪いキャラゲーレベルのアクションです。
(だめすぎて、スクショを撮るのも忘れて早くクリアしようとしたくなるくらいにはだめです。)
以下、残念な点を箇条書きで置いておきます。
所々でコンボが決まるのがポイントです。
・被弾時の硬直が長い
・落下時の硬直が長い
・理不尽な落下が多い
・小さい足場で広範囲の攻撃を避けさせられる
・モーションパターンが少ない
・敵のバリエーションが少ない
・敵が多い
・敵に魅力がない
・ステージが殺風景
・ステージが長い
・空中の敵を倒す技が2種類くらいしか無い
・その割に空中の敵が出してくる火玉が鬱陶しい
ただ、一つだけ輝く部分があります。
それは、合体攻撃。
サクラ大戦の合体攻撃といえば、戦闘中にも関わらずヒロインと主人公が独自の世界を形成するぶっ飛んだ演出が有名。
今作も、そこは立派に引き継いでいました!
アニメーションで描かれるぶっ飛んだ展開は、どのキャラも笑える合体攻撃となっておりとても楽しく見れました。
▼1カットでは意味のわからない合体攻撃。全体で見ても意味がわかりませんが、それでも楽しいのが不思議
総評価と感想
声優の豪華さ、主題歌の良さ、モーションの豊富さ。
現代の技術で、1線級のゲームとして「ギャルゲー」を作るとどうなるか。
そんな挑戦の結果、ヒロインと共に過ごすという新たな体験を味わうことが出来ました。
その点では、傑作と言えると思います。
一方で、この作品には余計な邪念が多いように感じます。
持ち曲や有名デザイナーを与えられた世界華撃団の面々。
真宮寺さくらを思わせる夜叉の存在。
側だけは旧作オマージュな演出の数々。
マーケティングがちょっと全面に出過ぎではないでしょうか。
料理に必要なのは、高級素材や調味料をぶちこむことではなく、計算された分量と適切な素材。
何でもかんでも調理しろ!と強制されたんじゃないかなぁと邪推したくなるような部分が多く、シナリオについてはなんとも残念な出来でした。
このクオリティでまとまった作品になれば素晴らしいゲーム体験が出来る!
それが見えた点でこの作品には価値があると思います。
ぜひ、次こそは計算された美しさのあるゲームを作って欲しいです。
要素別評価(5段階)の理由
カテゴリ:アクション・ギャルゲー
総評価:★★★☆☆(65点)
シナリオ:★★☆☆☆
レビューの通り。
TRPGで無理やりキャンペーンを達成したような感覚を覚える、計算がされていない脚本でした。
ただ、あざみとクラリスの当番回はそれなりに良かったと思います。
キャラクター :★★★★☆
レビューの通り。
脚本が良ければ更に印象に残るキャラになると思うと惜しい。
システム:★★★☆☆
アドベンチャーが星4.5、バトルは星1.5でこの評価。
気合の入った作品でこのクオリティ。バトルパートの担当者は猛省してほしい出来。
演出 :★★★☆☆
(音楽 :★★★★☆ 絵・グラフィック :★★★☆☆ アイデア:★★☆☆☆)
音楽については素材は良いが、コストのコントロールと使い方が下手な印象。
世界華撃団の持ち歌を減らしてBGMのバリエーションを増やすべきだったように思います。
しっとりとしたシーンで、キャラの明るい持ち歌を流すのは本当にやめてほしい。
グラフィックはモーションは良いが、モデリングが微妙。
可愛いキャラが表情豊かだからこそ、相乗効果が生まれます。
ネタバレありで語りたい(ネタバレあり感想)
ここからは、肩肘張らずにネタバレありで感想を書き連ねます。
未プレイの方は、バックをお願いします。
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では。
良かった点:あざみについて
言いたいことは色々あるのですが、まずは良かった点から。
第4話、あざみの当番回は楽しくプレイできました!
本物とニセモノを主題にしたこの話。
あざみの師匠が実はニセモノ。
それでもあざみは、忍者へのあこがれを胸に、信念をもって本物を目指していく。
そんなあざみの姿に影響され、神山も本物の隊長を目指していく。
そして終盤。
やっぱりあざみの師匠はなんと、本物の忍者であることが明かされる。
テーマ性や前フリがしっかりしている。
それでいて、目まぐるしく移り変わる展開。
とても楽しくプレイすることが出来ました。
敵が無能すぎる点や、あざみがあっさり捕まるなど粗は多いものの、勢いが勝っていたと思います。
あざみのしっかりした一面と子供らしさという、ギャップが生む可愛さも抜群に表現された良いシナリオでした。
さくらについて
※ここからは毒舌ばかりになりますので、ご注意ください。本作が気に入った方は読まないほうが良いと思います。
さて、今作のメインストーリーは、さくらと神山に注目すると綺麗に整理が出来ます。
①さくらと神山の再会
②さくらの信念に神山が心打たれ成長する
③さくらが秘める真宮寺さくらへの憧れ
④夜叉()との遭遇と、敗北により絶望するさくら
⑤初穂と神山の叱咤により、真宮寺さくらと対等に向かい合う決意をするさくら
⑥さくらと帝鍵の関係性が明かされる
⑦仲間の想いを力に変えて、戦うさくらと神山
⑧ひなたの決意を知るさくら
⑨大団円
実際にはこの流れの中に、華撃団大戦が加わり煩雑になります。
絶対いらなかったよ・・・華撃団大戦。
まぁ、他国のキャラは可愛いです。ビンタしないユイが好きです。
ともかく、一連の流れだけならまあまあな見栄え。
ただ、レビューで述べたとおり、とにかく前フリが足りない脚本でした。
順に書いていきます。
まず、②の神山の成長。
神山の艦長時代のトラウマは全然描かれていないし、さくらの想いの強さが伝わらない。
それ以前に突然、敵陣で奮闘するさくらに襲いかかる上海の意味がさっぱり分からない。
1話の終盤、ゲキテイがかかっても「お、おう・・・」としかなりませんでした。とりあえず上海殴らせろ。
⑤の神山と初穂、そしてさくらの描写も意味不明です。
ひたすら励まそうとする神山たちを無視しつづけるさくら。嫌なやつ過ぎます。
かと思えば、一緒にお風呂に入ったり、今度はブチギレたり(神山のどうでもいい発言も意味不明ですが)、情緒不安定。
ある意味リアルな怖さを感じました。
更には、グーパンでの殴り合いまで。
そんなところで『龍が如く』っぽさをみせなくても・・・。
ちょっとドン引きするシナリオでした。
しかし、それはまだドン引きの序章に過ぎない。
さらにヤバイのは⑥~⑨の終盤の展開です。
娘のために命を賭けた母と同じように、娘に命を投げ出すことを迫る鉄幹さん。
・・・シュビラシステムにスカウトされそうな逸材です。
命の大切さが描写された後、いきなりあっけなく死ぬアナスタシア。
いやいやいや・・・意味がわからない。ちなみに、初穂はラスダンで命を軽視する発言をするというサイコパス仕様。
その後、なぜかタイムスリップしてひなたと出会い、命を賭ける彼女の想いを知る。
「娘のためなら、なんだって出来るんだから」
あなたの旦那さん、その娘の命を犠牲にしようとしてましたよ・・・?
本気の実力でこれを作ったなら、ライターは一度、初心に帰ったほうが良いと思います。
社内政治の関係でしかたなくなら、SEGAは猛省したほうが良いと思います。殿様商売と勘違いしていませんか?
非常に気分の悪くなる、サクラ大戦でやるべきではない命を軽視する脚本にうんざりでした。
▼雰囲気が重くなるので、息抜きにお風呂イベントを。突入してしまいました、後悔はありません
にじみ出る顧客軽視の精神
で、脚本もひどいのですが、それ以外にもきつい場面が多々あります。
例えば、クリスマスイブ前日のイベント。
好感度の積み重ねが開花し、ヒロインと観覧車に乗り、いい雰囲気になる。
私はさくらルートでした。
「神山さん、見えますか?この街の明かりが」(オトメナンデスヨー)
「私は、この街を守りたい」(オトメナンデスヨー)
「神山さん、私、あなたのことが・・・」(オトメナンデスヨー)(オトメナンデスヨー)
うっせええよ!!!!
と言いたくなる挿入歌の嵐。
どんな判断をしたらこうなるのかさっぱりわからない。適当さや作品軽視な姿勢になっていないでしょうか。
ギャルゲーに対する愛を感じません。
「奇跡の鐘」の使い方もそうです。
積み重ねてきた仲間たちとの思い出。
それでも、ただ一人の主役を仲間たちの中から選ばなければいけいない。
オリジナルでの使われ方には、前フリがあったからこそ輝いたんだと思います(プレイしていないのに偉そうにすみません)。
ただ名曲だから使った。
とりあえず、神山にそれっぽいモノローグをさせておけばいい。
ちょっとリスペクトが浅いように思えてなりません。
だからこそ、EDにアイドルライブを入れてしまうような事態になる。
この作品のキャッチコピー。
「太正桜に浪漫の嵐!」
今作の製作陣は、シリーズを作り上げた人の前で胸を張って、このキャッチコピーを言えるんでしょうか。
作品とそれを支えてきたファンを心のどこかでバカにしている。そんな人が製作陣の中にいるように思えてなりません。
夜叉については、書くのもうんざりです。
よくあれでキャストさんにオファーできたなぁと面の皮の厚さに驚きしか無い。
レビューでも書いたとおり、今作はギャルゲーとして光る所はあります。
OPの楽曲のクオリティなど、作品に愛を込めたスタッフさんもたくさんいたはずです。
それだけに、上記のような姿勢が見え隠れするのが極めて残念。
正直、筋の通らない部分が多い作品だと感じました。本当に惜しい。
ぜひ、そういう姿勢のスタッフを排して続編を作って欲しいと思います。
だいぶ、毒が強くなってしまいすみません。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
今作は、以上です。