2018/8/3公開『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ～2人の英雄～』の感想と評価です。※ネタバレ無し
おすすめ度 ：★★★★☆（72点・良作）
一言感想 ：TV版「ヒロアカ」を劇場版らしく大幅スケールアップ！
おすすめしたい人、おすすめしにくい人
○TV版や原作の漫画「ヒロアカ」が好きな人
○「オールマイト」と「デク」の師弟関係が好きな人
○迫力の戦闘シーンが見たい人
☓この映画で初めて「ヒロアカ」にふれる人
☓シナリオは「勢い」より「繊細さと深さ」だという人
要素別評価（5段階）
カテゴリ：アクション・キャラ活躍モノ
シナリオ：★★★☆☆
キャラクター ：★★★★☆
演出 ：★★★★☆
（音楽 ：★★★★☆ 絵 ：★★★★★）
燃え・勢い ：★★★★★
※要素別評価の理由は、冗長なのでページ下部に記載しています。
ここが見どころ！
・オールマイトとデクの師弟関係
この作品はここにフィーチャーして描かれています。オールマイトからデクへ、能力だけでなく、受け継がれていく信念が、この作品の結末にどんな影響を与えていくのかは最大の見どころです。
・ゲスト声優の演技
映画オリジナルキャラクターのヒロインの「メリッサ」は女優の志田未来さん、その父「デヴィット」は俳優の生瀬勝久さんが演じています。
アニメ映画あるあるの芸能人の声当てということで、正直演技への心配も当初はあったのですが、杞憂でした。
志田さんはキャラの瑞々しさを、生瀬さんはキャラの深みをそれぞれ表現していて、とても聴き応えのある演技になっていました。
・大迫力のアクションシーン
やはり「ヒロアカ」といえばこれ！
TV版より更にパワーアップして画面を縦横無尽に動き回り活躍するキャラクターたち。
キャラクターたちにどんどん壊されてしまう背景作画。
そしてシーンにマッチした熱いBGMが、大迫力のアクションシーンを作り出しており、引き込まれます。
気になった点
気になった点もありましたので、簡単に紹介します。
・展開の粗
アクション映画にありがちですが、テンポの良さを重視するために問題の発生と解決が、力技と勢い・敵役がバカになって解決、といった形で消化されるシーンがいくつかありました（少し気になる程度で流せましたが）。
・映画オリジナルキャラクターの掘り下げ不足
”オールマイトの旧友”・”無個性の娘”とドラマ性抜群の魅力ある設定で登場したデヴィットとメリッサ。
設定もキャラの性格も良い。活躍シーンもあります。
ただ、キャラの背景やエピソードが尺の都合で描写不足に感じるため、ドラマ性がやや物足りず感情移入しきれなかったのは少し残念でした。
今後、補完があると嬉しいですね。
総評
ヒロアカファン、特にオールマイトファンなら必見の出来。
夏映画に相応しい王道の熱い作品です。
TVアニメをスケールアップさせた迫力のアクションシーンと、「オールマイト」というキャラクターを更に掘り下げる原作に寄り添ったエピソードはとても楽しめました。
一方で、描かれるエピソードはあくまで原作の補完といった域を出ず、いわば「ファンディスク」といった出来に感じたため、原作やTVアニメを見てから触れたほうが楽しめる作品に感じました。
要素別評価（理由編）
シナリオ：★★★☆☆
アクション映画らしく、テンポ良く展開が進んでいき、ぐいぐい引き込まれました。主人公たちの前に立ちはだかる壁やアクシデントもバリエーションに富んでおり、それを解決するために各キャラクターに見せ場が与えられ、見ごたえは十分。
その一方で、映画オリジナルキャラクターの”オールマイトの旧友”「デヴィット」と、その娘である「メリッサ」のシナリオ面での掘り下げはやや物足りなく感じました。それぞれが、オールマイト・デクともっと密接に関わることを期待していたのですが・・・
キャラクター：★★★★☆
各キャラクターに能力を活かした見せ場が与えられており、ファンにはとても嬉しい出来です。公式サイトのキャラクター紹介ページで大きく紹介されているメンバーの見せ場は十分。逆に、それ以外のメンバーはちょい役でした（一部例外あり）。
映画オリジナルキャラクターのメリッサは、シナリオ的なドラマ性は物足りないものの、キャラデザや性格はとても可愛い、本編にも逆輸入してほしい良いキャラクターです。
そして何より、オールマイトの明かされる過去と、過去を踏まえた現在、更に未来の展望がバッチリ描かれている点が個人的に高評価です。オールマイトが好きなら必ず見ましょう。
演出 ：★★★★☆
（音楽 ：★★★★☆ 絵 ：★★★★★）
「ヒロアカ」のTVアニメではおなじみの、重量感と動きを両立させた「絵」と、熱く場を一気に盛り上げる「音楽」は劇場版でも健在です。特に絵は、1時間半にこんなに見せ場を作って大丈夫かな？とこちらが心配してしまうくらい力の入った出来です。
また、要所要所でこの作品が伝えたいことを、きちんと絵（動き・シーン・キャラの表情）で表現しているシーンがありました。
そのような演出が、この作品のテーマへの共感を呼び起こしていたと思います。
燃え・勢い ：★★★★★
PVに嘘偽り無し。巨悪に信念とプライドと勇気で立ち向かう、少年漫画らしいTHE・王道です。
以上、『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ～2人の英雄～』の感想と評価でした。
全体を通してとても満足できる出来だったので、今後、更に進化した「劇場版ヒロアカ」が続いていくと嬉しいです。
