『まちカドまぞく』をネタバレなし評価(未視聴の方向け)とネタバレあり感想(視聴済みの方向け)でレビューしていきます。
※ネタバレありの感想は、ページ下部に掲載。
おすすめ度:★★★★☆(75点)
一言感想:シャミ子と桃。ふたりの世界にググっと絞ったこの作品は、尊みがあふれていました
評価(5段階・要素別)
カテゴリ:日常・ファンタジー
総評価:★★★★☆(75点)
シナリオ:★★★★☆
キャラクター:★★★★★
演出:★★★★☆
(音楽:★★★☆☆ 映像:★★★★☆ アイデア:★★★★☆)
※評価の理由は、ページ下部に記載しています。
「1分で読める」レビュー要約
【超あらすじ】
普通の女子高生・吉田優子(シャミ子)がある日、目覚めると小悪魔風な角としっぽが生えていた。
魔族の力に目覚めた彼女は、自身の血にかけられた呪いを解くため、魔法少女・桃と戦うことに・・・
が、いろいろあってなぜか仲良くなっていくシャミ子と桃。
そんな2人の日常を描いた日常+少しファンタジーな、ほのぼの系作品。
■「頑張れシャミ子!桃色魔法少女と仲良くなるんだ!」
○『まちカドまぞく』の最大の魅力は、じっくりと描かれたシャミ子と桃の関係性
○シャミ子の健気さに解きほぐされていく、桃の描写が尊い
【二人の距離を彩る作品の工夫は必見!】
工夫①:「変幻自在の関係性」受け攻めの逆転
工夫②:口癖が・・・移る!
工夫③:普段は言えないことも言えてしまう?注目すべきは歌詞!
○視聴者と一緒にシャミ子たちを見守る「ナレーションさん」の存在も見逃せない
【その他、良かった点と気になった点】
◎本当に4コマ漫画?な情報量の多さと伏線回収
◎セリフのキレがすごい!シャミ子名言集
△爆発力のあるエピソード不足
※シャミ子と桃の関係性などに着目し、ページ最下部へネタバレあり感想を記載
『まちカドまぞく』レビュー 「頑張れシャミ子!桃色魔法少女と仲良くなるんだ!」
可愛いと尊いは表裏一体。
それらふたつを持っている、良作きらら系アニメです。
今回紹介するのは『まちカドまぞく』。
2014年から「まんがタイムきららキャラット」で連載中の漫画が原作です。
超あらすじはこんな感じです。
普通の女子高生・吉田優子(シャミ子)がある日、目覚めると小悪魔風な角としっぽが生えていた。
魔族の力に目覚めた彼女は、自身の血にかけられた呪いを解くため、魔法少女・桃と戦うことに・・・
が、いろいろあってなぜか仲良くなっていくシャミ子と桃。
そんな2人の日常を描いた日常+少しファンタジーで稀にシリアスな、ほのぼの系作品。
『まちカドまぞく』を見ていく中で注目したいのは、メインキャラの人数です。
本作はいわゆるきらら系※。
※「まんがタイムきらら」で連載されている漫画の総称
きらら系の名作として思い出されるのは、アニメ3期も決定した『ご注文はうさぎですか?』。
他には『けいおん!』や『きんいろモザイク』などもありました。
■『ご注文はうさぎですか?』(2014)
「かわいさだけを、ブレンドしました。」は名キャッチコピー。私の推しはココアです
ただ、この『まちカドまぞく』はそんな「きらら系」の名作群とは少し違った点があります。
それは、メインキャラが2人に絞られているという点です。
先ほどあげた作品のメインキャラはすべて5人。
メインキャラを色々な形で組み合わせることで楽しい話を作っています。
一方、『まちカドまぞく』のメインキャラは2人。
小悪魔な少女シャミ子と、魔法少女系女子な桃。
2人にしぼって描かれます。
そうするとどうなるのか・・・?
そう、尊みがグッとつまったものになるんです。
注:出番多めで可愛いサブキャラはそこそこの人数が登場します。
ずばり、『まちカドまぞく』の最大の魅力は、じっくりと描かれたシャミ子と桃の関係性にあります。
今回は、主にシャミ子と桃の2人をどのように描いているのかに着目しながら、『まちカドまぞく』がどんな作品かを紹介します。
■左:シャミ子(かわいい)、右:桃(かわいい)
◎シャミ子の健気さに解きほぐされる桃、と視聴者
まず紹介したいのは、主人公で(見た目は)小悪魔系なシャミ子です。
見た目こそ角としっぽで小悪魔系ですが、なかみはとても素直で健気です。
シャミ子は冒頭で突然、魔族の力に目覚めます。
そして、なんだかよくわからないうちに魔法少女と戦う流れに巻き込まれてしまい、魔法少女の桃と出会います。
戦いに挑むシャミ子ですが、運動神経は壊滅的、更に病弱。
つまり、戦闘力はほぼ0です。
■シャミ子は角としっぽがチャームポイント。桃によく施される
当然、初めて出会う魔法少女の桃にも軽くあしらわれてしまう。
しかし、シャミ子はあきらめません。
一生懸命に自分の役割を果たそうと筋トレ(500gのダンベル)したり、武器(割り箸てっぽう)を作ろうとしたり・・・
とにかくひたむきに、から周りしてもめげずに頑張っていきます。
この健気さが癒やされ、応援したくなるんです!
■物理も強い魔法少女・桃
ただ、その姿に癒やされるのは視聴者だけじゃありません。
なにやら過去に色々あった感じの魔法少女・桃もまた、その姿に心を解きほぐされていく。
この流れが尊いんです・・・!
◎尊みあふれる第7話!(ネタバレ抜き)
出会ってすぐのころは、お互いにぎこちない感じの会話が続きます。
魔族と魔法少女という立ち位置のちがいから、シャミ子と桃は線を引いた距離感を保つ。
それが、お互いにだんだんと自分のことを相手に見せていきます。
例えば、第7話。
シャミ子と桃は、ひょんなことから苦手なものを克服しようとトレーニングを始めます。
気力が続かないシャミ子を気づかう桃は、自分の苦手なもの(内容は本編で!)と、それと向き合う覚悟を明かすことでシャミ子に発破をかけます。
「シャミ子が頑張ってくれたから・・・わたしも苦手なものと向き合ってみるよ」
自分のことを語ろうとしなかった桃がシャミ子のためにそれを話す流れが、エモい。
それに対してのシャミ子の反応も可愛い。
「は、はいよー!・・・急に来るから変な返事しちゃいました」
珍しく距離をつめてくる桃に照れるシャミ子。
このような尊い描写を楽しむのが今作の見方だと思います。
■照れるシャミ子。作画が安定しているのも作品の大きな魅力
◎「二人の距離」を彩る作品の工夫は必見!
そんな流れの中で見えてくるのが「シャミ子と桃の距離感」の変化です。
周りに距離をおいている感じだった桃が少しずつ、シャミ子には本音をちらっと見せ始める。
シャミ子はシャミ子でなんだかんだ面倒を見てくれる桃に懐いていく。
先ほどの7話のように、変化していく流れが作中で表現されるわけですが・・・
この変化の描写に色んな工夫がつまっています。
今回は3つ、それを紹介します。
描写①:「変幻自在の関係性」受け攻めの逆転
シャミ子と桃。
基本は、桃が攻めでシャミ子が受けな関係性。
だいたい、桃がシャミ子をいじりシャミ子が健気にがんばる。
しかし、たまにシャミ子の逆襲が描かれます。
シャミ子は時折、ドキッとするようなセリフを、直球で桃に投げかけます。
そんなセリフは、シャミ子が素直だからこそ桃に効く。
普段は表情が乏しめな桃が、頬を染める姿は・・・萌えました。
■桃は基本はクール系。だからこそ、ギャップが可愛い
描写②:口癖がだんだんと・・・
私が特に良いと思ったのは口癖の描写です。
話が進むにつれて、お互いの口癖がうつっていくんです。
例えば、シャミ子がよく使う言葉「目汁」(涙のことです)。この言葉をだんだんと桃が使うようになっていく。
口癖がうつることで距離感の変化が表現されているんです。
こういったセリフの工夫が尊みを際立たせます。
■目汁。シャミ子はよく泣く系ヒロイン
描写③:普段は言えないことも言えてしまう?OPの歌詞に注目
OPを歌うのはもはや当然、シャミ子と桃のユニット「shami momo」です。
渋谷系※な可愛らしい曲と2人の声がとてもマッチした良い曲となっています。
※渋谷系:「おしゃれ可愛い」という意味合い。もっと広範なジャンルを指すケースもあり
ただ聞くだけでも楽しいのですが、注目すべきはその歌詞です。
二人の心情にフォーカスした歌詞となってます。
例えば、
町かどで見つけた 大事な宝物
たとえ君が遠く離れても かわらず大好きだよ
ずっと輝いてる 未来はここにある お楽しみはこれから
直球です。
本編では聞けないような素直な表現が良い。
歌詞全体で見ると、今作のストーリーに沿ったものとなっていて、より尊いものになっています。
■OP映像より。動き多めなカットと、可愛い静止画なカットが入り乱れる良OP
◎視聴者と一緒にシャミ子たちを見守る「ナレーションさん」
ここまで紹介してきたように、『まちカドまぞく』はシャミ子と桃の2人の世界を中心に描かれています。
ともすると、2人だけの世界に視聴者の入る余地はあるのか・・・と思うかも知れません。
しかし、その二人の世界に視聴者を自然と入り込ませる工夫があります。
それが、ナレーションです。
『まちカドまぞく』では、エピソードの切れ間にナレーションが挟まります。
演じているのはベテラン声優の梅津 秀行さん。
このナレーションが声色といいセリフのキレといい、丁度いいんです。
では、どんなナレーションかというと・・・
①ゆるい物語へのゆるいツッコミ
②シャミ子への励まし
特に、2つ目の励ましが良い。
ちょうど、シャミ子と桃の2人を見守るような立ち位置で応援します。
「頑張れシャミ子・・・〇〇で〇〇な魔族になるんだ」
みたいな感じです。
記事の上の方でシャミ子は視聴者が応援したくなるようなキャラだと書きました。
だからこそ、このナレーションにとても見ていて共感できるんです。
まさに、このナレーションが視聴者とシャミ子たちをつなぐような役割を果たしているように感じました。
■大体、遠景にナレーションで話が終わる。余韻が綺麗に終わります
総評価と感想
メインキャラを大きくしぼったことで、じっくりとシャミ子と桃の変化を見れる。
それが今作の魅力でしょう。
よく、ラノベでどんどんキャラが増えていってお気に入りのキャラの出番が減っていく現象が発生します。
あれは本当に寂しい。
が、今作ではそれはありえません。
シャミ桃のどちらかを気に入ったなら、ホームラン級に刺さる作品になるはず。
ですがきっと、本編を見れば二人共を好きになるはずです。
キャラはしぼっていますが、きらら系の特徴である女の子の可愛さはそのまま。
『ご注文はうさぎですか?』や『きんいろモザイク』が好きな方は楽しめると思います。
2人の関係性にしぼるという点では、『からかい上手の高木さん』。
ゆるい百合要素ということで、『ゆるゆり』などが好きな人にもおすすめな1作です。
その他、良かった点と気になった点
◎情報量の多さと伏線回収
キャラに注目してレビューをしてきましたが、この作品の特徴はもう一つあります。
それが豊富な情報量と伏線回収です。
この作品、セリフがとても多いです。
台本はきっとすごく分厚いと思います。
また、画面の情報量も多い。
そこかしこに小ネタが挟まれています。
■具体例:左の掲示板には千代田(桃の名字)さんの九官鳥の飼い主募集が・・・
下ではテストの補習者にシャミ子(シャドウミストレス優子)が選ばれています
それらを見るだけでも楽しい!
ただ、更に凄いのはその小ネタを伏線として有効活用してくるところです。
後から見直してみると、そういえばあの時あれが写ってた!
というような発見のあるアニメです。
きらら系で考察のような楽しみ方が出来るのは珍しいタイプだと思います。
◎セリフのキレがすごい!シャミ子名言集
シャミ子の声を演じるのは、小原好美さん。
『かぐや様は告らせたい』の藤原書記。
『スター☆トゥインクルプリキュア』のキュアミルキー役などを演じられています。
個人的には、ギャルゲーですが『Summer Pockets』でのバリエーション豊富な演技に感動し、注目していました。
■『CLANNAD』などで知られるKeyが贈る完全新作。泣けます。
メインヒロインを小原さんが演じる、ファン必修な作品です。興味がある方は下の記事をどうぞ。
セリフの読み方に独特な味があって、クセになるんです。
そんな小原さんが演じるシャミ子ですが、セリフがとても多い。
更にそのセリフにキレがあるので、小原さんの演技と相まって大変おもしろいことになっている。
シャミ子のセリフ集が作品の大きな魅力です。
■シャミ子セリフ集
「これで勝ったと思うなよ~!」
「みんなが、仲良くなりますように!」
(危機的な家計状況を指して)「焦げ付き魔族な上に、雪だるまぞくなんて・・・」
(珍しく困り気味な桃を指して)「あーっ!さては困ってるな桃!ちょっとだけ仕草にでちゃってるぞ!」
「くっくっく、魔法少女よ・・・戦いの時がきたぞ!」
「きさまと一緒にいると調子がくるうんだ~っ!」
(桃の魔法の大技を見せてもらうために)「見たいです!タイヤに乗ってのって!タイヤの上でやってみて!やってみて、乗ってやってみて!!」
△爆発力のあるエピソード不足
この作品には惜しいところがあります。
それは、BGMや派手な映像で一気に感動に持っていく・・・そんな爆発力のあるシーンが不足している点です。
全体的に、映像もシナリオも安定しているのですが、この爆発力が物足りないので少し淡泊な印象を受けました。
参考:評価(5段階・要素別)の理由
カテゴリ:日常・ファンタジー
総評価:★★★★☆(75点)
シナリオ:★★★★☆
記事の通り。小ネタを拾いながらエピソードのラストに山場を持ってくる構成は見事。
1話毎の起承転結も綺麗で、4コマ系としては珍しい作品。
ただ、爆発力のあるエピソードがやや少なめなところが玉にキズ。
キャラクター:★★★★★
きららアニメの最大の魅力はやっぱりキャラクター。
大塚舞さんのキャラデザがとても可愛い。
サブキャラクターも個性が強めでいい。お気に入りは妹の良子と情けない時のリリス。
演出:★★★★☆
(音楽:★★★☆☆ 映像:★★★★☆ アイデア:★★★★☆)
劇伴は目立ちすぎない安定した出来。
映像も作画の乱れがなく安定している。
また、シャミ子のしっぽを使った表現はアイデアが光る。
ネタバレありで語りたい(ネタバレあり感想)
ここからは、肩肘張らずにネタバレありで感想を書き連ねます。
未視聴の方は、バックをお願いします。
↓
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では。
桃とシャミ子(1~8話編)
シャミ子と桃。
この2人のカップルは、見ていて楽しかったです。
特に、6~8話の流れが尊い。
6話では病気で不調な桃がとても素直です。
「それは、失敗したハンバーグ・・・」
「勢いでいったことだけど、約束は守ろうと思ったんだ」
・・・可愛すぎる。
ハンバーグ周りの描写は、これまでの回で伏線を張られていて練られたものでしたが見事に刺さりました。
失敗したハンバーグを普通に食べるシャミ子も男らしい。
■胃が強いのはシャミ子の貴重な特技?
恥ずかしいところを見せたという桃に対しての、シャミ子のセリフも素晴らしい。
「自分のだめなところが人にバレるのを怖がっていたら、いつまで経っても前に進めません」
シャミ子のこれまでの頑張りを見ているからこそ、胸に染みるいいセリフでした。
そんな回を経て、7話では桃がどんどん自分のことを話してくる。
その姿勢に戸惑うシャミ子も可愛らしかった。
それが更にひっくり返るのが8話。
魔法少女は力を使いすぎると消える。
そんな重要な事実を話してくれなかった桃に、シャミ子は「桃に認められたい」と話します。
「とりあえず、私を死ぬほどびっくりさせる方法を一緒にかんがえろ。変身しなくていいから」
このセリフは最高でした。ベストシャミ子セリフです。
2人の距離感、BGM、演技・・・全てが噛み合った素敵なシーンだったと思います。
■尊みにあふれる最高なシーン。近さ=心の距離
9話以降の感想は、注目ポイントがあれば追記します。
第10話 感想「ご先祖は進化する!! メガネが映す暗黒部屋」
【シナリオ・キャラ面の感想】
第10話は、リリス回+良子回という自分得な回でした。
まず前半。
ご先祖様が、自由に動ける体をもらいました。
ご先祖様の人形、可愛すぎる。
桃さん、物理・頭脳だけでなく手先が器用でセンスも抜群とは・・・
流石です。
小倉さんのキャラも立ってきました。
完璧な頭脳と投げ捨てた倫理観。
きらら系にとは思えないマッドなキャラクターが刺激的で、話のテンポが加速してました。
ご先祖様のキャラ立ても良かったです。
悪役ムーブをしつつもしっかりと、因果応報をもらう。
そのもらい方は、可愛く踊らされるという平和的なもの。
このわずかなシリアス要素とゆるふわな雰囲気の両立が『まちカドまぞく』の魅力ですね。
続いて後半。
良子回・・・といいつつ、重要な伏線が次々に建てられているっぽい濃厚な10分でした。
まずは、描写の節々に、シャミ子と桃の距離が縮んでいる感が散りばめられていて楽しめました。
○56562ちゃんをたやすく突破:通い妻ポイント1up。
○あっさりお昼を作る、しかも桃の好きな醤油系のうどん:通い妻ポイント1up。
○置き調味料:通い妻ポイント1up。
という感じの通い妻感がイイ!
良子に本当の関係をごまかす、シャミ桃みかんのトリオ感も良かったです。
躊躇なくステッキで料理をする桃のためらいなさは修羅場をくぐった貫禄があります。
別室で何かをされるみかんの描写も可愛い。一体何をされたのか・・・
最後に、シャミ子にさりげなくご飯をねだる桃。
クーデレのデレはグッときますね。(確信)
さて、そんなゆるい描写の中で気になる桃のセリフ。
「大切な人にずっと隠し事をされてるほうがキツイと思う」
剥がされた表札や、良子に優しい姿とあわせると、桃の過去の何かとつながっているセリフなのかもしれません。
次回は更に桃の内面に踏み込む様子。
期待です。
【今回の名セリフ集】
「倫理だけ満点取れなくて・・・こんなの真理から程遠いよ」
「友だちになって、もっと気軽にいろんな実験がしたいなぁ!」
(桃にプロデューサーを名乗られて)「きさま、一体わたしのなんなんだ」
(馬ふんをのせられて)「世は何処まで落ちるのだろうか・・・」
「わたしが至らないばかりにこんな面白い外見にしてしまってごめんなさい」「やはりおもしろだったか」
「わたしは飯炊き魔族ではない!何系が食べたいですか!?」
「時は来た時・・・きてるぞ!!」
「「まずい、状況を知らない系女子が」」
「軍門?なにそれ、新しい柑橘類の名前?」
「おのれ魔法少女!戦じゃ~っ!」
【映像関係の感想・印象的なシーン・小ネタなど】
今回は、映像が面白かったです。
印象に残る構図の多さ、しっぽを使った演出など、見どころが沢山な回でした。
・しっぽ芸その1。みかんの視点がちゃんとしっぽにいっているのも高得点
・小倉さんの気取った動きと部屋の小道具、両方が映えるよい構図
・しっぽ芸その2。桃の視線がちゃんとずれるのが細かい
・しっぽ芸その3。これは懐いていますね
・2回写ったあたりでなんかあるかなと思った人形。まさか脱がされるとは
・キャラの身長、集中線、御札の向きで綺麗に視線をご先祖に誘導する良い構図。引きのカットには丁度いい
・しっぽ芸その4。振動するのかその尻尾
・意味深な表札カット。かつていた家族の名残?
・このカット以外も、メタ子(猫)の動きが丁寧でした。
・漫画のトーンをそのまま使ったような背景全開なアニメは苦手。
でも、この部分的な使い方は綺麗だと思いました。あとみかんの私服がかわいい
・画面越しのシャミ子を見ていることがちゃんと伝わるカット。レイアウトがしっかりとしています
・桃さん、実は危機管理フォームを気に入ってる説。そして字が綺麗
第11話 感想「夢ドリーム再び!! 桃色防衛線を突破せよ」
【シナリオ・キャラ面の感想】
想い合うから、すれ違う。
二人の距離が確実にかわった第11話でした。
前半は、夢ドリーム再び!桃の夢を再訪しました。
印象に残ったのは、夢の中の扉が開くシーン。
夢は深層心理の影響が色濃く出るといいます。
それを本能的に感じ取っているからこそ、扉が開かない時は本気でシャミ子はしょげています。
そして、扉を開くために桃との絆をつないだ弁当をだす。
武器を出す時はご先祖やら輪ゴム鉄砲をだすのに、この時は完璧な正解を引き当てるところに尊みを感じました。
「桃、ご飯を持ってきたから、中に入れて。おねがい・・・!」
真剣で必死だったからこそ、扉がひらいた後の安心した表情がとてもかわいかったです。
中盤では、お互いに秘密にしていたことが明らかになりました。
夢の中という舞台装置が、よく映えるシーンだったと思います。
体が弱かったことを隠していたシャミ子と、魔力を使いすぎると消えてしまう桃。
このシーンで2人が怒るというのが良い。想い合うからこそすれ違うというのは恋愛モノの絶妙なスパイスです。
後半では、吉田家と千代田家に隠された真実が明らかになりました。
「お父さんは、このみかん箱に、封印されています!」
・・・!?
走馬灯のように蘇る、日常の中で光るコーティングされたダンボールさん。
ゆるいんだかゆるくないんだか分からない衝撃の真実に、シャミ子たちだけでなく私も翻弄されました。
ダンボールになっても家族団らんの真ん中にあり続けるお父さん、尊敬します。
ラストシーン。
「私、本当にシャミ子の宿敵だったね」
ダンボールさんの身を張ったギャグ空間にも負けず、桃は表情を見せずに立ち去りました。
想い合うからこそすれ違うという絶妙なスパイス。まさかの1話で2度も発動してしまいました。
シャミ子の表情と暗い玄関が物語る本気のシリアス空間。
まちカドまぞくを見ているのに少し胃が痛いという新感覚に、またもや翻弄されてしまいました・・・
頑張れシャミ子、シリアス空間を打ち破る魔族になるんだ!
次回のシャミ子の活躍に期待します。
【今回の名セリフ集】
「もう少しクリエイティブを働かせて?」
「敵に滋養強壮を与えてた・・・」
「教育に悪いから教えない」「えー」
「原子力潜水空母は!?」「よしんばあったとしてもイカは釣らない!」
「みかんさん、ナイスフレンドリイファイアです!」
「桃、オブラートをあきらめないで。お母さんは希望を絶たないで」
「私、本当にシャミ子の宿敵だったね」
【映像関係の感想・印象的なシーン・小ネタなど】
▼NO.5963にシニア味を感じる
▼髪結い良子ちゃんかわいい!これはツインテに入るのでしょうか・・・?
▼桃の周囲への強い警戒心を感じる荒野な深層風景
▼OPの謎生物がまた一人回収・・・時は来た!
▼動揺すると髪をいじる桃かわいい。さては桃、困ってるな!
▼回想シーンによくある、光を落とす効果。この演出の名前がわからない・・・
▼良子ちゃんの「あっ・・・(察し)」感がかわいい。さすが軍師志望
■今週のピックアップシーン(Bパート:桃の夢が崩れるシーン)
シャミ子の趣味であるレトロゲームっぽさを意識した面白い演出。
キャラの絵にかけられた効果と背景の線がゲーム感を引き立てている。
①背景が崩れだす。周囲を見るシャミ子の動作によって、背景に視線がとぶ
②背景に流れていた青い光と同じ色の舞台。夢の中における最後の足場であることを暗示。
③崩れる2人の身体。プログラムっぽい崩れ方にゲーム感がある
④ラストシーン。光が消えると同時に鳴るゲームのSEっぽい音が好演出
▼自己紹介かな?な、みかんちゃんかわいい
▼桜姉さんは字はそんなに達者じゃなかったのかもしれない。しかしお父さん、海外の方でしたか
▼静止画では伝わりにくいですが、丁寧にお茶を床に置き、丁寧に手を引く。
ダンボールを絶対に汚さないようにする桃の気遣いが尊く、そして哀しい
第12話 感想「伝えたい想い!! まぞく新たなる一歩!!」
【シナリオ・キャラ面の感想】
物語は終わらない!
新たな関係が幕を開けた、爽やかな最終回でした。
前半は、シャミ子が桃を説得に向かうまでが描かれました。
特に印象に残ったのは、みかんとシャミ子の会話シーンです。
みかん、本当にいい子です。
師匠である桜は行方不明。更に親友の桃はショックを受けている。
それを聞いて、みかんも本当はいてもったってもいられない心境のはず。
それでも、自分の想いより桃の気持ちを優先する。
本当の意味で親友な心配りに、ぐっと来ました。
中盤では、じっくりと描かれたシャミ子と桃が新たな関係性を築きました。
桃の助けになりたい。桃と一緒にいたい。
桃のことを考え抜いてシャミ子が出した結論は、まさかの闇落ち勧誘。
シャミ子らしからぬ、どこぞの桃色魔法少女のようなちょっとクレバーな勧誘トークに、2人が過ごした時間の濃密さを感じます。
それでも、最後はいつもの命令口調。
「私の、シャドウミストレス優子の配下になれ!」
照れた時特有の命令口調が、ずっと出てるあたりにシャミ子の必死さを感じてとても可愛い。
眷属になれだの配下になれだの・・・もうプロポーズかと。尊い!
一旦は応じかける桃でしたが、我に返ってしまう。
・・・惜しかったぞシャミ子!
そこからは桃が一転攻勢。
いつものクレバーな理屈でシャミ子を言いくるめる姿の安心感がすごい。
無事、いつもの日常に帰ってきました!
すっかり元サヤにおさまりましたが、ここからが今までと一味違う。
二人の仲の進展を感じられるセリフが、桃から放たれます。
「私を眷属にしたいなら、私を倒してからにするが良い。期待してるぞ魔族よ!」
「きさま、逃げる気か!」「いや・・・シャミ子からはもう、逃げないよ」
シャミ子の口調は移ってるし、気持ちも直球で話してるし・・・
関係性が深まった桃デレの破壊力、高すぎでした・・・!
その後のポッキンアイスシーンも見逃せません。
シャミ子が一人では折れないアイスを、桃が手を貸して2人で折る。
「私は一人だと多分戦い抜けないから、一緒の目的を持つ桃に一緒に戦ってほしいんです」
先ほどのシーンでシャミ子が伝えた桃への想い。
その想いに、桃が行動で応えたんでしょう。
闇落ち誘いのシーンがプロポーズなら、このシーンはケーキ入刀のような。
作り込まれた尊みシーンにニヤニヤが止まりませんでした・・・これで勝ったと思うなよっ!
でも実は、このシーンより個人的に更にぐっと来たのは、その後のシーンなんです。
シャミ子からの果たし状(かわいい)をもらって喜ぶ桃。
その後に描かれる、ナレーションさん。
もとい、シャミ子の父・ヨシュアの語りシーン。
ここが素晴らしいシーンだと思いました。
語りに込められているのは、もう一つの尊さ。
『まちカドまぞく』で描かれる日常。
そして、「シャミ子と桃の出会い」が”想い”と”奇跡”で繋がれたものだということが明かされます。
長いですが引用します。
「神話の時代から幾星霜。
現代にいたるまで、闇の一族は光の一族から追われる存在。
・・・こんな噂がある。
最強の魔法少女の傘の元、色々なしがらみから離れ、光の一族と闇の一族がゆるく共存する特別な街が、極東のどこかにあるらしい。
住民は色んなことに慣れきっていって、総じてスルー力が半端ない。
聖域桜ヶ丘は、はたから見ると、かなり変な、まちである。」
視聴者にとってあたりまえのようにあった、シャミ子と桃を取り巻く日常。
それが、本当は桃の姉・桜の想いにより生まれた奇跡のような時間であること。
そんな大きな事実を、『まちカドまぞく』らしいゆるい語り口で気楽に伝える。
なんだか上手く言えないのですが、『まちカドまぞく』っていい作品だな、と否応なしに改めて思わせる。
これまで描かれてきた日常に、そっともう1色を足すようなシーンのように感じます。
『まちカドまぞく』という作品の尊さを違った側面から表現した、心にしみるナレーションでした。
ラストシーン。
ももーんとおめかしした桃とシャミ子の、あたりまえなゆるい会話。
そして、”優子”に伝えられる”父”の言葉。
「がんばれ優子。誰よりも優しく、強くなるんだ」
尊くて、爽やかで、優しい。
『まちカドまぞく』の魅力が全てつまった最高の最終回でした。
またシャミ子たちと出会える日を願って。
『まちカドまぞく』感想でした。
【今回の名セリフ集】
「お母さんより大分低い・・・低身長はお父さん由来の成分!」
「最近、私サプライズに慣れてきた!ドントコーイ」
「また呪い出ちゃってる、ごめん・・・え、98円?」
「題して、魔法少女千代田桃、ドキドキ闇落ちプロジェクト!」
「むしろ、良はハードボイルド小説も嗜むので、てっきりお父さんはプリズンにお勤め中なのかと」
「よ、ヨシュアぁ!?お父さん横文字ネームだったんですか!?」
「コドネ!?」
「時来てるぞ!」
「先生、私は果たして果たし状を果たしているんでしょうか?」
「今日が貴様の闇落ち記念日。お楽しみはこれからだ!」
【映像関係の感想・印象的なシーン・小ネタなど】
▼ヨシュアお父さん。角が長い。そして若い
▼思い出が濃すぎて草。特にご先祖のインパクト
▼明らかにモブじゃないような一般通過猫耳。2期があれば明かされるんでしょうか
▼渾身のご先祖アップカット。ドヤ可愛い
▼いつものご先祖。この扱いも可愛い
▼完全にプロポーズな、距離近すぎな構図
▼桃の勢いとテンポ感に笑わされました
▼とりあえず撮る良ちゃん。箱のみかんがかわいい
▼作中屈指の女子力を誇るみかんさん。みかん検定も合格です
■上の感想で触れられなかったネタ拾い
みかん「これからはもうちょっと自分を出したら良いんじゃないかしら?分かりやすく」。
みかんのアドバイスを受けて、制服の色を変える桃。
変更後の色は、シャミ子の危機管理フォームと同じ色。
桃のクーデレは尊すぎて最高でした!
▼まさかのナレーションさん=お父さん(ヨシュア)。
見た時は、図らずも、上のネタバレ配慮部分でナレーションを推していたので納得して嬉しい反面焦りました
▼LINEスタンプ用カット
■今週のピックアップシーン(Bパート:ナレーションさんの語りシーン)
ナレーションの伝聞調+ゆるい語り方による味わい深さ。
回想として描かれている光と闇の共存カットが『まちカドまぞく』の素敵な世界観を表現しています。
①まちカドを支えている”桜”からシーンが始まる
②幾星霜。歯車で時を表しているのが良い表現。OPと同様のカット。
③魔族の血縁者と魔法少女の共存
④シャミ子と桃の運命的な出会い
⑤人と魔族の共存
⑥魔族と魔法少女の共存
⑦EDの絵とつながる桜のカットで〆
▼デートが楽しみで気合を入れた桃。可愛すぎてやばい!
読んでくださった方、お付き合いいただきありがとうございました!