【ネタバレ無し】映画レビュー『シュガー・ラッシュ:オンライン』感想・評価(58点)

【ネタバレ無し】映画レビュー『シュガー・ラッシュ:オンライン』感想・評価(58点)

20181221日公開、映画『シュガー・ラッシュ:オンライン』をネタバレ無しで未視聴の方も読めるようにレビューします。

おすすめ度:★★★★☆(58点)

 

一言感想 :見事な「オンライン化」により失われた、アーケード・ゲーム世界への愛

どんな作品?

○ストーリー

好奇心旺盛でワクワクすることが大好きな天才レーサーのヴァネロペと、ゲームの悪役だけど心優しいラルフ。大親友のふたりは、アーケード・ゲームの世界に暮らすキャラクター。

そんなふたりが、レースゲーム<シュガー・ラッシュ>の危機を救うため、インターネットの世界に飛び込んだ!そこは、何でもありで何でも叶う夢のような世界――。しかし、思いもよらない危険も潜んでいて、ふたりの冒険と友情は最大の危機に!?

果たして<シュガー・ラッシュ>と彼らを待ち受ける驚くべき運命とは…。

2012年に公開された傑作「シュガー・ラッシュ」の完全続編

○「ソニック」や「パックマン」など実在するゲームキャラも登場する、ゲーム世界を舞台にした異色のディズニー映画

○ラルフとヴァネロペのコンビによる、小気味の良い掛け合いを中心にテンポよく話が進んでいく明るい雰囲気の作品

 

今作品は、2012年に公開された映画作品「シュガー・ラッシュ」の続編です。

前作は、個人的にとても出来の良い作品でお気に入りの作品でした。特に次のような点が好きでした。

○これまでのディズニー映画からは想像しにくいような、ゲーム世界を物語の舞台とし、さらに実在するゲームキャラを登場させるという挑戦的な取り組みと演出を行っていた。

○一方で、作品の中で確かに「ディズニー」を感じさせる要素を巧みに取り入れており、上記の要素と上手く合わせてギャップを作り出していた。

○作品の設定、キャラの配置に無駄がなく、よく計算された脚本となっていた。

 

それだけに、今作の出来にも大いに期待して見に行って来ました。

結果としては・・・惜しいという印象です。

タイトルにもある「オンライン」世界の描き方は秀逸ですし、映像面でもキャラの表情の豊かさや動きの多さは2時間があっという間に感じる出来でした。

しかし、何より惜しかったのは脚本面です。

ここをネタバレなしで紹介するのはだいぶ難しいのですが、根幹に触れないようレビューしていこうと思います。

 

要素別評価(5段階)

カテゴリ:アドベンチャー

総評:★★★☆☆(58点)


シナリオ:★★☆☆☆

キャラクター :★★☆☆☆

演出 :★★★★☆

(音楽 :★★★☆☆ 絵 :★★★★☆ アイデア:★★★★★)

要素別評価の理由は、ページ下部に記載しています。

 

他では見れない、刺激的なシュガーラッシュの「オンライン」世界

まずは、本作品の良かった点から紹介していこうと思います。

第一にあげたいのは、「オンライン」世界の描き方です。

PVやタイトルからも分かるように、今作ではヴァネロペとラルフがネットの世界に飛び出します。

 

そのネット世界の描写がとても刺激的です。ディズニーだからこそ出来る、実在する会社ロゴ(某検索会社や某SNS会社など)を使用したオンライン世界は他では見られません。

 

また、作品の中でいくつかの会社のサーバーをラルフ達が訪れるのですが、そのサーバー内の世界の描き方も面白いです。

動画サイトのサーバーではアバターが動画へ「いいね」が押される様が描かれ、オークションサイトでは実際にオークションが行われる様が描かれており、ネットの世界を実際に歩き回ったらこんな感じなのかなと思わせてくれる面白さがありました。

他作品の例でいえば、「ロックマンエグゼ」や「サマーウォーズ」のような世界が似ていると思いますが、それらがディズニーの圧倒的なスケールで描れており、次世代の冒険感がありました。

「スパム広告」から「ディズニー映画」まで、色々なものをイジる恐れ知らずなギャグ

次に良かった点は、ギャグ要素です。

この作品では、ヴァネロペとラルフが訪れた場所のものをことごとく「イジり」ます。ネットのスパム広告からディズニー映画のヒロイン達まで、ありとあらゆるものをイジります

そのイジり方も、ネットに慣れ親しんでいる人ならきっと「あるある」とか「確かに・・・」と思わず共感してしまう面白さがあります。

私が映画館で見た際にもいくつかのシーンではだいぶ見ている人の笑い声が漏れており、楽しい雰囲気でした。

ギャグ要素の一部はPVでも映っていますので、ぜひ御覧ください。

 

シナリオの残念だったところ

では、残念だった点であるシナリオの紹介に移ります。

今作のシナリオはテンポ感やキャラの掛け合いなど、部分的には良いところもあります。

 

しかし、個人的には致命的な欠点があると思います。

それを一言で言えば、前作「シュガー・ラッシュ」への愛があまり感じられないという点に尽きます

私が続編に期待していたのは、前作の舞台であるアーケード・ゲームという「古い」世界と今作の舞台であるオンラインの「新しい」世界という2つの要素がどのようにぶつかりあい、「新しい何か」へと昇華していくのかという点でした。が、それは今作ではほとんど描かれません。

単純に、舞台は「完全オンライン化」を果たし、前作の古い世界は物語上で顧みられず、ほぼ登場しません。

 

そのような前作の要素が今作に活かされていないことは最終的に、今作で描かれているキャラクターの心の動きや提示されている価値観への共感を邪魔していると感じました。ヴァネロペやラルフの心の動きに、物語の積み重ねから生まれる説得力が足りないように思えました。

 

前作ファンだからこそ、そこからつながるその先を見たいと思っていたのですが、期待していたのものとはやや違った続編という印象で物足りない出来となりました。

 

総評

・ディズニー映画ならではの大きなスケールで描かれる「オンライン」世界は一見の価値有り。

・ディズニーだからこそ出来る恐れ知らずなイジりネタの数々に笑みがこぼれる。

・前作要素を上手く活かしたシナリオとはいえず、前作ファンとしては大いに物足りない出来。

以上、『シュガー・ラッシュ:オンライン』のレビューでした。

 

参考:要素別評価(5段階)

カテゴリ:アクション

総評:★★★☆☆(58点)


シナリオ:★★☆☆☆

記事内で触れたとおり、新しいものを迎え入れるだけのシナリオは大体が予想の範疇に収まり、新たな発見はなかった。


キャラクター :★★☆☆☆

前作で感じられたような自然な心の動きはなく、展開にキャラの心情が動かされているといった印象を覚えた。結果、共感を覚えるどころか正直、「身勝手なキャラ達だなぁ」という前作ファンとしてはあまり思いたくない感想を持った。



演出 :★★★★☆

(音楽 :★★★☆☆ 絵 :★★★★☆ アイデア:★★★★★)

絵については、動きと表情がとても豊かで飽きる間のない2時間となった。

演出のアイデア面では、PVでも登場しているディズニープリンセスが一堂に会するシーンは魅せ方や登場のさせ方がとても秀逸で、この作品でしか見られない要素だと感じた。それ以外にも、ネット世界の描き方等は、実在の要素を上手くネタに落とし込めておりとても新鮮で楽しく見ることが出来た。

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