管理人が2019年夏アニメの1話を見た上で、評価・感想とあわせて各作品の見どころ等を紹介します。
※随時更新。
なお、記事は次のように構成しています。
①作品の期待度(1話視聴後の印象ベース)
②作品の見どころ・1話を視聴した後の感想と評価
③作品の良かった点と気になった点
※ショートアニメ・女性向け・二期ものは対象外としています。
2019年夏アニメ 期待度まとめ
※2019年7月16日更新
評価:★★★★★(必見・見ないと損)
ヴィンランド・サガ
彼方のアストラ
評価:★★★★☆(おすすめ・高評価)
炎炎ノ消防隊
ダンベル何キロ持てる?
ロード・エルメロイII世の事件簿
評価:★★★☆☆(相性がいいなら見ておきたい)
荒ぶる季節の乙女どもよ。
うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。
かつて神だった獣たちへ
グランベルム
コップクラフト
Dr.STONE
魔王様、リトライ!
Re:ステージ! ドリームデイズ♪
評価:★★☆☆☆(3話まで様子見・もう少し継続視聴)
可愛ければ変態でも好きになってくれますか?
女子高生の無駄づかい
ソウナンですか?
手品先輩
BEM
まちカドまぞく
評価:★☆☆☆☆(残念ながら1話切り)
ありふれた職業で世界最強
異世界チート魔術師
ナカノヒトゲノム【実況中】
続いて、2019年夏アニメを、各作品ごとに評価・感想とあわせて紹介します。
評価:★★★★★(必見・見ないと損)
ヴィンランド・サガ
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
月刊アフタヌーン連載の漫画原作。
中世の北欧を舞台に、ヴァイキング達の生き様を描いた作品。
1話では、極寒の地「アイスランド」に住む少年トルフィンが、自然に愛された地「ヴィンランド」への憧れを強めていくさまが描かれていました。
1話段階では、物語のキャッチーさや派手さは薄い。
ですが、伏線の散りばめにより推進力を持ったシナリオと、中身のつまったキャラの会話劇が展開される・・・
骨太でどっしりとした作品という印象です。
さて、今作の良いところは、なんでもない生活のワンシーンでも視聴者を画面に引き込んでいく演出力にあると思います。
雪国の情景とマッチしたピアノ主体のBGMが美しい。そのBGMを邪魔しない程度に挟み込まれる環境音が心地よい。
そんな音の描写をまじえがなら、丁寧に描きこまれた背景を舞台にキャラが自然に動き回ります。
撮影により上手くのせられた光や影も画面の質感を、これでもかと言うくらい高めています。
全てのシーンに見応えを感じました。
キャラの描写も良いです。
謎めいた過去を持つ父親のトールズは多くを語らず、常識を超えた行動で己の価値観を叩きつけてくる。その無骨な描写にしびれました。
そして何より素晴らしいのは、そういった全ての作品の良さは1話の主題である「トルフィンが抱くヴィンランドへの憧れ」に繋がってくるという点です。
アイスランドの美しさと厳しさを伝えてくる生活描写も、謎めいたトールズの行動も、1話で起きた印象的なトラブルも・・・その全てがトルフィンの持つ「ヴィンランドへの憧れ」に視聴者が共感することに効いています。
作品の中で描きたいこと、視聴者に感じてほしいことがよく整理されている。そして、そのゴールのために計算されて映像が作られていると感じました。
傑作の予感がします。
【その他、良かった点と気になった点】
◎どのキャラも描写が自然だが個性が発揮されており、生きている感じがした。
△3話一挙放送→2週間休みはさすがに悪手な放送形態。
△可愛い女性キャラが少ない。
彼方のアストラ
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
※7/13 :評価星4⇨星5へ変更。
少年ジャンプ+で連載されていた完結済みの漫画原作。
完結済みでかつ、「マンガ大賞2019」で大賞を獲得している評判の良い作品ということなので、安心して見そうです。
西暦2063年、「大自然の中、生徒だけで5日間を過ごす」という惑星キャンプに参加した高校生の主人公たち。
しかし、そこで発生したとある事象により”宇宙に遭難”してしまった彼らが、故郷に帰るために宇宙を旅する物語。
1話段階での設定や登場するキャラの造形から、2003年に放送されていた惑星遭難+ジュブナイル成長モノの名作『無人惑星サヴァイヴ』を思い出しました。
さて、1話では宇宙での遭難というアクシデントに巻き込まれながらも、それに立ち向かい、やがて団結していく主人公たちの姿が描かれていました。
この作品の良いところはずばり、「直球な青さ」だと思います。
後のことを顧みず体当たりでアクシデントと戦っていく少年達の青さ、独白や会話により表現される少年たちの青く真っ直ぐな心情など・・・
見ているこっちが少し恥ずかしくなるような「青さ」のあるシナリオが展開されていくのですが、それが逆に小気味いい。
全力で直球な彼らのやりとりは、見ていて何となく初心を思い出すというか、ワクワクする。そんな作品です。
そんな青いキャラクター達が「宇宙漂流」を通じてどのように成長してくのか。
それが、今後の見どころであり主題だと思います。
1話ではストーリーとあわせてキャラそれぞれの「何が欠けているか」が明確に提示されていたので、期待できそうです。
7/13追記:2話は惑星探査編。惑星の描写の豊富さ、キャラの成長描写、起承転結の綺麗さなど、すべての要素にブラッシュアップがかかり、更に面白さが向上していました。星4から星5へ上方修正します。
【その他、良かった点と気になった点】
◎キャスト陣が豪華で、難しいギャグ多めの会話でもテンポが良い。ちょっと引いた感じのツッコミが到るところで冴えていた。
◎BGMが小細工なしに正面から熱いシーンを上手く盛り上げており、雰囲気がよく作れていた。
△作画は安定しているものの、シナリオの都合もあり、全体的に動きは少なめ。2話で改善。
※『彼方のアストラ』は当サイトにて各話感想(ネタバレあり)を行っていますのでよろしければご覧ください。
評価:★★★★☆(おすすめ・高評価)
炎炎ノ消防隊
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
週刊少年マガジン連載の漫画原作。
人体自然発火現象により、人としての自我を失い火を吐きながら暴れる「焔ビト」。
「焔ビト」専門の消防士である特殊消防隊に入隊した新人主人公の活躍を描く。
原作者の前作である『ソウルイーター』と同様に、能力バトルモノです。
映像面では、能力バトルをリッチに描くため、炎や火花などのエフェクトがふんだんに使われています。
また、カメラワークもグリグリ動かしており、総じてバトルシーンは見ごたえが抜群でした。
BGMもオーケストラを用いた豪華なものとなっており、1話終盤の盛り上がりどころはガッツリとテンションの上がるシーンになっていました。
シナリオ面では、主人公の過去のトラウマと現在の戦いを上手く対比させ、トラウマ脱却の第一歩を踏み出す主人公の姿を上手く描けていたと思います。
総じて完成度の高い1話でしたが、一方で、キャラクターの個性や掛け合いがやや薄味なように感じました。
長所と短所の描写が弱い。
また、セリフがやや紋切り型でインパクトが弱めな印象です。
今後、演出面のレベルの高さにキャラクター描写が追いついてくることを期待しています。
【その他、良かった点と気になった点】
◎OP・EDは影がある世界観とそれ立ち向かう主人公たちの懸命さが表現されていて良い。
◎主人公の緊張すると嗤うという癖は個性的。
△わずかに間のとり方に違和感を覚えるシーンがあり、時々テンポが良くない。
△能力バトルの少年漫画としては、1話はちょっと暗い。
※『炎炎ノ消防隊』は当サイトにて各話感想(ネタバレあり)を行っていますのでよろしければご覧ください。
ダンベル何キロ持てる?
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
※7/7:評価星3→星4修正(星3が増えたため細分化)
マンガワン等にて連載中の漫画原作。
増えていく体重が気になってしょうがない女子高生がジムに通って、筋肉道を極めていく日常系+筋肉なコメディ作品。
作風としては、ギャル系主人公によるツッコミと清楚系お嬢様ヒロインのボケが光るテンポの良い日常系です。
そして、この作品が持つ最大の特徴はやはり「筋肉」でしょう。
OPからCパートまで、25分に筋肉ネタがつまっています。
更に、「フェチズム強めな女子キャラ描写」と「溢れんばかりの筋肉描写」の奇跡のバランスにより、何故か健全な作品になっている斬新さに大変驚きました。
間違いなく面白い作品です。
結構丁寧に解説してくれる筋トレ描写も興味が惹かれます。
見ている間はジムに行ってみようかなという気になりました。
筋肉から離れると、キャスト陣がキャラにハマっていて良かったと思います。
新人のファイルーズあいさんが演じる主人公の等身大な演技と、雨宮天さんが演じる完成された演技による清楚系ヒロインは絶妙にマッチしています。
そして、OP・本編・EDと大車輪の活躍をしている石川界人さんの爽やかにやべえ奴な演技も見逃せません。
石川プロなにやってるの・・・
正直、星4評価でも良いくらい完成された1話です。
ただ、筋肉による出落ち気味な魅力以外の良さが出てくるかが、かなり疑問符だったのでギリギリ星3評価としています。今期は星3が多いため、相対評価で星4に修正。
OPに出ている新キャラの追加によりギャグの種類が上手く増えれば、かなりの良作になるかもしれません。
【その他、良かった点と気になった点】
◎筋肉ボケのために丁寧に描きこまれた作画は非常に良い。線が少ないわけではないのに崩れずよく動いており、力が入っていた。
◎OP・EDのインパクトが凄い。筋肉に洗脳されそう。
◎ギャル系ツッコミ・色気+筋肉フェチな清楚系ボケ・爽やかお兄さん+筋肉ボケと、キャラ造形と組み合わせが上手い。
ロード・エルメロイII世の事件簿
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
TYPE-MOON BOOKS及び角川文庫出版の小説原作。
作品の位置づけとしては、2011年のアニメ『Fate/Zero』に登場したキャラ「ウェイバー・ベルベット」の後日談にあたる。
聖杯戦争により命を落とした師匠の権威を維持するため、仮初のロードである「ウェイバー・ベルベット」は様々な難事件に魔術と知恵を駆使して挑んでいく。
1話はFate/Zero以降、ウェイバーに何が起き、現在の状況に至ったかを解説する回想となっています。
Fate/Zeroでウェイバー陣営派だった自分にとっては非常に面白い内容となっていました。
征服王イスカンダルと聖杯戦争からウェイバーが受けた影響と価値観が色濃く描かれており、懐かしさと感慨を覚えました。
よく、作品が完結した後に短編で後日談を見せてくれるパターンがありますが、そんな感じの1話だったと思います。
上記のように、Fate/Zeroからのつながりも良いのですが、もう一つ重要なのは今作から新規に登場するキャラでしょう。
女性キャラとしては、ライネスとグレイの二人が登場しますが、二人ともキャラデザが秀逸です。キャストも水瀬いのりさんと上田麗奈さんと実績十分な二人があてられており、隙がありません。
今後の注目点としては、正直、今回の1話ではこの作品メインである「事件簿」要素が見えなかったため、そちらが面白いかどうかがポイントになると思います。また、ヒロインポジになるグレイの出番が多いかどうかも注目したいところです。
【その他、良かった点と気になった点】
◎映像は陰影を強くつけ、線を丁寧に描いた高水準なものとなっており良い。
◎ロケハンを行った上で作成された海外の背景描写は丁寧で見応えあり。
◎ライネスのキャラデザや描写が非常に良い。かわいい。
△掛け合いやエピソードにもう少し息のつける場面がほしいところ。1話は少し窮屈な印象。
評価:★★★☆☆(相性がいいなら見ておきたい)
荒ぶる季節の乙女どもよ。
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
別冊少年マガジン連載の漫画原作。
高校生の少女たちが、性に関する悩みや付き合い方にふりまわされていくさまを描いた青春作品。
1話は、友達との会話により性を意識し始めた主人公が、成長した幼馴染を直視できず思い悩みドツボにハマっていくという感じでした。
25分間、脚本家の岡田麿里さんが持つ女性的な視点がつめこまれた異色の作品だと思います。
テーマとしては、「思春期における性との折り合い」ということで割と好き嫌いが別れる分野です。
個人的には、そこを中心にされてもあまり興味がわきません。
ただ、素晴らしいのはその演出だと思います。
落語か文学かと言えるような、連想ゲームの如く日常のあらゆるものを性に結びつけていく発想力は刺激的。
過去と現在を自然にクロスさせながら、主人公の悩みを深ぼっていく手法も効果的です。
そんなレベルの高い演出が下敷きにあるからこそ、性に思い悩む主人公の本気さが伝わってきて面白みがありました。
万人受けするものではないと思いますが、深夜アニメではあまり見られない新鮮なジャンルです。
今後の見どころとしては、EDでちらっと写った各ヒロインに対するヒーローポジションの男性キャラが、魅力的に描けているかという点だと思います。
【その他、良かった点と気になった点】
◎近年の地上波ではめったに聞けないエロ系ワードが飛び交うある意味で貴重な作品。
◎青春らしい色鮮やかさと一瞬の儚さを表現するような水彩画系の塗りが作品にマッチしている。
△男性からすると、「等身大の女性」を押し付けられてる感があり見ていてちょっとキツイ。
うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
小説家になろう連載の小説原作。
親を失った少女ラティナを、冒険者の主人公が引き取り育てていくハートフルファンタジー。
1話のシナリオは、意外性はなく淡々とラティナと主人公の出会いから、主人公がラティナを育てる決意を固めるまでを描いています。
映像面では作画は線少なめ、動き少なめで省エネ傾向。場面のつながりも時々危ういところがありました。
ネガティブな要素を先に紹介しましたが、一方でこの作品は、(おそらく)少ないリソースをセンス良く使っている点が長所だと思います。
まず、作品の見どころとなるヒロイン「ラティナ」に関する作画は妥協がありません。他のキャラより明らかに線の多いキャラデザであるにもかかわらず、よく動き、崩れもありませんでした。
子供らしい無邪気さが表現されており、とても可愛らしく描けています。
次に、ラティナの心が動くシーンについては、印象的な演出となるよう心がけて作られているように思います。
主人公との出会い、初めての街、これからの住居となる屋根裏部屋などのシーンは光の使い方やBGMの入れ方が上手く、良いシーンとなっていました。
今後については、演出だけでなくシナリオ面で印象的な物が見られるか、また、作画が本格的に力尽きないかが注目ポイントになると思います。
かつて神だった獣たちへ
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
別冊少年マガジン連載の漫画原作。
舞台は戦時下の近代ヨーロッパ風の世界。
「神」とも称された人間兵器部隊を率いた主人公が、兵器となった代償により豹変したかつての仲間たちと戦いながら、最愛の人を手に掛けた親友への復讐を果たすべく旅をする物語。
平穏からシリアスへのメリハリが効いた物語と、人狼やセイレーンなどの幻獣のような力を持った登場人物達のド派手なバトルが見どころです。
1話の感想としては、改良型『フェアリーゴーン』(2019年冬のオリジナルアニメ)と言ったところでしょうか。
共通点が多い『フェアリーゴーン』と今作。
・近代ヨーロッパ風の舞台
・人体実験により生まれた人間兵器が主人公。
・親友が敵
一方で、フェアリーゴーンと異なり今作の良かった点は、物語に興味を持ってもらうための「人」をよく描けていた点にあると思います。
最初に、「神」としての圧倒的な戦闘力を描く。
その後、それぞれのバックボーンや恋愛関係など、「人」としての存在を描く。
これにより、神であり人、そして獣に堕ちていく主人公たちの悲哀さが一層際立ったつかみの良い1話になっていたと思います。
今後の注目点としては、悲劇の先にどのような救いがあるかという点です。
シリアス一辺倒では視聴する意義が見いだせません。どのように物語が展開されていくのか、期待です。
【その他、良かった点と気になった点】
◎BGMが場面にマッチしていた。ある場面では神の戦いをイメージさせるような雄大さを、ある場面では悲壮感を醸し出していて演出効果は抜群。
◎キャスト陣の演技がよい。特に、「宇宙よりも遠い場所」以来、久しぶりに能登麻美子さんの演技をじっくりと聞いたが、大人な色気と澄んだ声色があわさり魅力的。
◎主人公の「理想の上司」感が良い。次話以降、どの様になるかは期待しつつも心配。
△全体的に暗い。
グランベルム
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
『Re:ゼロから始める異世界生活』の監督等によるオリジナルアニメーション。
平凡な日常を生きる女子高生の主人公が、7人くらいの魔術師同士のバトルロワイヤルに巻き込まれ、ヒロインと共にそれに立ち向かっていくストーリー。
1話は個人的に最大の悪手と考えている、設定羅列+とりあえずバトルシーンをつめこんでおこう形式でした。
1話が異世界でのバトルと設定解説だけで終わります。
知らない人たちのバトルシーンほど興味のわかないものはありません。
それに加えて、よく知らないキャラクターの割に、やたらと顔芸が多めなのも作品への没入感を妨げます。
バトルの映像面では、魔術師が手繰るロボット同士の戦いということで、エフェクトがかなり凝っていました。
ただ、ちょっとエフェクトを使いすぎで映像が見にくくなっていた気がします。
一方で、主人公とヒロインの掛け合いは『宇宙よりも遠い場所』等の 花田十輝さんらしい、常識のやや斜め上な会話となっており面白かったです。
正直、星2よりの1話でしたが、次回予告から2話は日常描写が多めになりそう+表情豊かなキャラ描写がありそうなことを考慮し、ギリギリ星3としています。
※7月15日追記
2話では、主人公のバックボーンが提示されました。これにより、シナリオ上の見どころが整理されたように思います。また、提示にあたってはレイアウト面での工夫が丁寧にされており見ごたえがありました。
映像面については、OPから本編終了まで撮影の工夫がされており興味深かったです。机への光の映り込みや終盤の花が舞うシーンなど、上手く画面をリッチに仕上げていたと思います。撮影関係はこの作品の見所の一つだと思います。
※『グランベルム』は当サイトにて各話感想(ネタバレあり)を行っていますのでよろしければご覧ください。
コップクラフト
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
ガガガ文庫刊行の小説原作。
異世界と繋がり”人種のるつぼ”と化した街において発生する、特殊な事件を担当する刑事の物語。
30代のベテラン刑事(主人公)と異世界の貴族(ヒロイン)によるバディもので、雰囲気はハードボイルド風です。
1話では上述の主人公とヒロインが出会い、行動を共にするまでが描かれていました。
今作は、主人公とヒロインの距離感に関する演出が良かったです。
プライドの高い二人が、相手に舐められないように噛み付き合いながらも、段々と互いの力量を見定めていく。そんな手探り感ただよう描写が良い。
これが物語が進むに連れて徐々に信頼に変わっていくのだろうと思うと、今から期待が高まります。
また、今作の肝であるハードボイルドさは、主人公を演じる津田健次郎さんの渋い演技を中心として作品内の随所に醸し出されていました。
シナリオについてもハードボイルドな作風にふさわしくスリリングなものとなっており、今期では貴重な1作となりそうです。
一方、見ていて気になったのは、安定はしていたものの止め絵が目立ち省エネ傾向な作画。そして、ヒロインの声色と演技がやや固く若干の違和感があった点です。
今後は、主人公とヒロインの信頼関係の深化や、メリハリのあるシナリオ展開が見られるか、そして作画が力尽きないかに着目していきたいと思います。
【その他、良かった点と気になった点】
◎オーイシマサヨシさんの楽曲によるOPは、舞台となる街の活気と奥深さが感じられて良い。
◎EDはヒロイン役の吉岡茉祐さんが歌っており、こちらは声がしっかりと乗っており上手い。
Dr.STONE
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
週刊少年ジャンプ連載の漫画原作。
突如として地球上の人類が石化してから3千年。
石器時代まで文明の水準が落ちた世界で、科学の力により文明を取り戻そうと奮闘する主人公たちの活躍を描く作品。
見どころはやはり、科学の知識を駆使するシーンでしょう。
知識を現在の状況に上手く当てはめて、一つ一つ生活の水準を上げていく描写は面白みがありました。
キャラクター面では、主人公となる高校生二人組は頭脳担当と体力担当とうまいこと長所が別れており、ジャンプ漫画らしいコンビ感が楽しめます。
二人の信頼関係が強い点も、バディものに相応しい雰囲気につながっており良かったと思いました。
気になった点としては、テンポ感は良いものの演出があっさり気味なため、印象的なシーンがあまりなかった点。
キャラ造形がスタートから完成されており、今後どのように深ぼっていくのかの方向性が見えなかった点、ヒロインの個性が弱そうな点などです。
キャラクターが増えて、今後どのように科学による活躍と両立させながらキャラを動かしていくのかが見どころになると思います。
魔王様、リトライ!
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
小説家になろう連載の小説原作。
自らが作ったゲーム世界に「魔王」として転移してしまった主人公の冒険を描いた作品。
まず悪いところから入りますが、この作品の作画は並レベルです。
シナリオの展開も正直チープ。また、舞台設定はなろう系ではありふれた異世界転移物となっています。
しかし、悔しいけれど何故か面白い。
そんな作品です。
この作品はずばり、ギャグモノです。それも、異世界ギャグの良作『この素晴らしい世界に祝福を!』のような王道のギャグとはまた異なる・・・
いわゆるシュールなギャグで攻めてくる作品となっています。
そもそも、主人公のキャストが渋い声で定評のある津田健次郎さんな時点で普通の異世界物とは一線を画します。
渋くダンディな声で、「外見とマッチした魔王風の演技」と「内面である普通の青年の演技」が使い分けられるさまは、『オーバーロード』で見たようなシュールな面白みがあります。
続いて、画面構成もギャグとしてみればとても面白いです。
唐突に入れられる集中線や、ヒロインを背負いながら主人公が真顔で黙々と走り続けるシーンは、シュールな笑いを生みます。
スキルを使用した際に差し込まれる、チープなフォントによるスキル名の表示もまたシュールで良い。
そのようなシュールな笑いが、ありふれているけどテンポの良いシナリオ展開とともに断続的に襲いかかってくるため、十分に楽しめました。
決して大作ではないものの、シュールな笑いという確かな武器を持ったこの作品は、趣味があえばきっと楽しめる作品だと感じます。
【その他、良かった点と気になった点】
◎主人公とヒロインの掛け合いが素朴で暖かな雰囲気で良い。
◎BGMの種類が多様。ともすると、つまらない設定解説となってしまう場面でも、印象に残るBGMが流れることで画面に飽きさせない工夫がされている。
△大作感や王道の面白さは乏しく、万人におすすめはできない。
Re:ステージ! ドリームデイズ♪
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
小説及びソシャゲ原作。
謡舞踊部の廃部を阻止するため、アイドル活動のきらめきを競う「プリズムステージ」での優勝を目指す女子中学生たちの挑戦を描く。
一言で言えば、「過去にウケた要素を上手く組み合わせた作品」という印象です。
・廃部阻止のため、アイドル活動を行うという物語は『ラブライブ!』
・明るく、少しオーバーな身振りを伴う会話劇、そしてわずかに百合っぽい雰囲気とノリは『アイカツ!』と『ラブライブ!』
・姉との確執?により自信を失っている主人公というキャラクター造形は『ガルパン』と『咲』
既視感はあるものの、各作品の「王道」な部分をうまいこと抽出し組み合わせることで、安定感のある作品となっていると感じました。
要所要所の演出が、舞台風の身振りにより印象的に作られている点も良かったです。
最後に、1話で使われた楽曲がどれも耳馴染みがよく良曲だったのは今後に期待がもてます。コンテンツが積み重ねてきた4年以上の歳月が光る部分だと思います。
惜しい点としては、やや間延びするシーンが見られたこと。キャラデザや色彩が子供向けアニメ風となっており、深夜アニメの流行からはやや外れている点です。
今後、決め回で来るであろうライブシーンがどのような演出となるか、また、主人公の成長をどのように描いていくかが注目ポイントだと思います。
【その他、良かった点と気になった点】
◎OPを急に打ち切る演出はインパクトと設定説明の2点に効いており上手い。
◎BGMは”豪華なギャルゲー”といった雰囲気のものとなっており耳馴染みが良い。決めシーンでの使われ方が上手く、まさに王道の演出といった印象を受けた。
◎キャラクターは狂言回し・生真面目系・内気な天才と新鮮味はないものの手堅い設定となっており、安定感がある。
※今作は、当サイトで個別に紹介記事を作成しています。よろしければ、あわせてご覧ください。
評価:★★☆☆☆(3話まで様子見・もう少し継続視聴)
可愛ければ変態でも好きになってくれますか?
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
MF文庫J連載のライトノベル原作。
変態気質な美少女たちとの青春を描くラブコメ作品。
1話のコンセプトは良かったと思います。
終盤のオチまでは、ひたすら健全な青春ラブコメを描く。
そして、ラストシーンでようやくこの作品ならではの変態要素を入れ込む。これにより、変態要素のインパクトを強めると言う構成でした。
ただ、前半の健全部分がイマイチ面白みに乏しいため、あまりインパクトに繋がっていないように感じました。キャラの掛け合いが当たり障りなさすぎて、新鮮味がない。また、ラノベっぽい冗長な言い回しが要因かと思います。
また、主人公の言動が若干癪に障るのも気になりました。
美少女に囲まれてるやつが「リア充爆発しろ」とか言い出すのは、宣戦布告と受け取っていいのでしょうか。
キャラデザやキャスト陣の演技は良かったので、外見的な可愛さはあるヒロインたちだったと思います。今後、作品のウリである変態要素が追加されて面白みが出てくるのかに注目です。
【その他、良かった点と気になった点】
◎妹役の本渡楓さんによる淑やか純情系の演技は声質にあっており、良かった。
◎キャラ説明をポーカーをまじえて行うなど、画面に気が配られている印象はあった。
女子高生の無駄づかい
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
コミックNewtype連載の漫画原作。
個性的な女子高生たちの日常を描くコメディ作品。
淡々と、主人公のツッコミと周囲のボケが繰り広げられていく4コマっぽい作りでした。
主人公たちの掛け合いは結構面白いです。特に、主人公の容赦のないツッコミが鋭く笑えます。
キャラデザが手堅く可愛い雰囲気なのも好ましいです。
一方で、この作品にはウリの部分が欠けている気がします。
日常系+なにか(ゆるキャンならキャンプ、ごちうさなら喫茶店と欧米風の町並みなど)の、なにかの部分が無い。
さらに、作品を通じてのテーマや1話の中での起承転結もあまり見えてこない。
総じて、作品の軸になる部分が見えてこず、作品への強い関心はわきませんでした。
※『女子高生の無駄づかい』は当サイトで個別に紹介記事を作成していますので、あわせてご覧ください。
ソウナンですか?
【どんな作品?視聴後の感想と評価】※7/7星3→星2修正(星3が増えたため細分化)
週刊ヤングマガジン連載の漫画原作。
無人島に遭難した女子高生たちが、遭難経験豊富な主人公の指導により意外と元気にサバイバルする、勉強になるコメディ作品。
状況に動じない主人公とそれに振り回される女子高生たちのテンポの良い掛け合いが面白い。
そして、ベア・グリルス氏のドキュメンタリーを見ていると錯覚するような、サバイバル知識の数々が個性的で新鮮でした。
無人島が舞台ということで、キャラを深掘るインパクトのあるイベントはなさそうなのが惜しい点です。
しかし、15分のショートアニメということもあり、掛け合いとサバイバル知識の2点で十分に楽しめそうな1作だと思います。
【その他、良かった点と気になった点】
◎作画は安定傾向。
◎サバイバルネタを絡めたボケが秀逸。
手品先輩
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
週刊ヤングマガジン連載の漫画原作。
手品部のたった一人の部員で、かわいいけどポンコツな「手品先輩」と、巻き込まれ体質な「助手」のドタバタな日常を描いた少しエッチなコメディ作品。
長所は、全体的に賑やかな雰囲気で手品先輩が可愛い点でしょう。
しかし、短所はたくさんあります。
まず、作画では表情の描写が安定していない。
そして、特に残念なのは全体的に手品先輩の身体が硬そうに見える点。ここはもっと力を入れてほしかった・・・
シナリオと演出面では、ヤマとオチが極端に弱く平坦な印象を受けました。
15分の中に4話もエピソードをつぎ込んでいる点もこれに拍車をかけます。
前期の「ぼくたちは勉強ができない」でも思ったのですが、短編集では心に残るシーンが作りにくいので、上手く短編を組み合わせて長編にする工夫がほしいところです。
【その他、良かった点と気になった点】
◎EDは作曲が北川勝利さん、歌手が鈴木みのりさんというワルキューレを思い出すタッグで聴きごたえあり。
BEM
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
言わずと知れた古典『妖怪人間ベム』のリメイク作品。
人間になりたい妖怪「ベム」が、人間よりも人間らしく、平和を守るために怪物たちと戦うアクションもの。
1話の印象としては、自分で上げたハードルを超え切れなかったという感想です。
まず、作品やPVから漂うオーラは凄い。
坂本真綾さんのOPとJUNNAさんのED、ジャジーな曲調のBGM、ダウンタウン感の伝わってくる背景など・・・
作品全体を通してのダークな雰囲気作りは上手く行っていると思います。そして、それに伴いエピソードやアクションシーンへのハードルが大幅に上がります。
しかし、肝心のエピソードやアクションが弱い。
エピソードは意外性はなく、シンプルな構造となっています。また、ダークな舞台の割に、起きている事象にエグさがなく、物足りない。
キャラクターも正直、紋切り型の粋を出ません。
アクションシーンについても、動きはそれなりにあるものの、緩急やレイアウトの面白さは乏しく、こちらもちょっと物足りない。
普通の作品に求められる水準はそこそこ満たしているものの、所々の出来が良すぎるせいで全体を通すとバランスを欠いた作品だと思いました。
今後は、あえてリメイクしたからこそ見れるような現代的な価値観と「人間になりたい優しい妖怪」という王道な切り口を融和させる要素が見られるかが、注目ポイントだと思います。
まちカドまぞく
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
まんがタイムきららキャラット連載の漫画原作。
家庭の事情で、一夜にして闇のちからに目覚めた少女が、まほう少女を倒す宿命に果敢に立ち向かう物語(ゆるめ)。
1話は、丁寧な作りだったと思います。
作画は体のバランスや顔の書き込みが丁寧で、「きららアニメ」に求められるキャラの可愛さが光ります。
作品のウリであろう、主人公とヒロインの尊さを感じれそうな掛け合いも片鱗が見えました。
OP・EDは耳馴染みがよく、特にOPはカット数も多く比較的豪華なものになっていたように感じました。
しかし、25分を見通してなんだか疲れるアニメだったというのが感想です。
おそらく、それは多い割にイマイチ面白くない小ネタ系ギャグに起因します。
キャラの文脈に沿わない細かいボケが特にツッコミもなく乱発されています。30秒に1回位のペースで。
美少女だから良いものの、これが芸人だったら迷わず席を立っているレベルのギャグでした。
前評判によれば、作品自体は緻密な伏線によるシナリオの完成度をウリにしているようです。
作品のポテンシャルはあると信じて、ギャグ周りのノリが改善されることを祈りながら視聴を継続しようと思います。
【その他、良かった点と気になった点】
◎ヒロインである魔法少女の変身シーンは短いながらもよく動き丁寧。
◎さすがJCというべきか、背景は描きこみがしっかりしており良い出来。
△第2話の予告が、作画監督の違いからか大分キャラデザが変わっており、体制に不安が残る。
※2話視聴後追記
思ったより崩れておらず、キャラもこなれてきて大分見やすくなった。今後に期待。
※今作は、当サイトで個別に紹介記事を作成しています。よろしければ、あわせてご覧ください。
評価:★☆☆☆☆(残念ながら1話切り)
ありふれた職業で世界最強
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
小説家になろう掲載の小説原作。
異世界に飛ばされた主人公が、アクシデントでダンジョンの最奥に落ちてしまい絶体絶命。起死回生の策をもってダンジョンから脱出をはかろうとする。
原作へのリスペクトが無いんだろうなぁと想像する1話でした。
まず、作品の時系列をいじったり省いたりしているようですが、結果としてアニメ本編だけではどういう状況で何が起きたのかが分かりません。
dアニメのあらすじによる補完が必須です。
更に、サブリミナル気味に一瞬だけ回想シーンが入って現在に戻り、また回想シーンが・・・という繰り返しが続くのも分かりづらさに拍車をかけます。
また、時系列をいじっている割に、そこまでして見せたかったシーンがどこなのかが見えにくい。
普通はヒロイン登場までこぎつける等のアイデアが考えられますが、1話では主人公がひたすら独り言を叫ぶシーンばかりです。
主人公の独白が鬱陶しく聞こえるのも気になりました。
見ている側は脈絡もなく主人公が危機に陥っても関心がわきません。
一方で、主人公は孤独実況とでも言えるでしょうか。目の前で起きたことや思っていることを延々と一人で叫び続けます。(例:僕の左腕が食べられてるぅぅぅ、喉が渇く腹が減ったぁぁ等)
総じて、キャラやシナリオを面白く見せようという気がないように見える出来となっていました。『ナカノヒトゲノム』が笑えるクソアニメであるならば、『ありふれ』は笑えないクソアニメと言えるかも知れません。
作画、CG、BGMなどは気になる点はあるものの見れるレベルであるため、大変残念な1作でした。
異世界チート魔術師
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
小説家になろう連載の小説原作。
異世界に飛ばされた主人公がチート級の魔力を授かり国を巡る陰謀に立ち向かう物語。
徹頭徹尾、どこかで見た展開が続く作品。
金太郎飴のように、異世界モノのベタベタな展開が続きます。
展開だけではありません。キャラ造形、キャラの掛け合い、背景、キャラデザ・・etc。全てに既視感があります。
作画や演出面も光るところはない。
良かったのはキャスト陣の演技とBGMくらいという、無色透明な作品でした。
なぜアニメ化に至ったのか、謎解きがしたいところです。
ナカノヒトゲノム【実況中】
【どんな作品?視聴後の感想と評価】
人気ゲーム実況者達が、1億再生回数を突破するまで監禁される「リアル脱出ゲーム」に巻き込まれる物語。
1話を見た感想としては、中々にクレイジーな作品が来たという印象です。
作画はセーフなレベル。キャラデザはそこまで癖が強くなくそれなりです。
演出もやっている事自体は変ではありません。
しかし、何かがおかしい。
会話やキャラの関係性、キャラのテンションやシナリオの起承転結など、幅広い部分で「本来であれば必要なもの」が抜け落ちているんだと思います。
スタートとゴールは普通なのに、その間のコースがぽっかりと存在しないような違和感を覚えました(伏線だったら逆にすごい)。
見かけ上は平然としながらも常識から外れたことを淡々と行う・・・アニメ界のサイコパスとでも言うべき作品です。
1周まわって、最終的にどうなっていくのかが気になります。
以上、1話視聴後評価記事でした。